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恋の忘れ形見
妹のフリして別クラスに潜入⁉︎
しおりを挟む‥‥何より1番笑えるのは、1年以上経つのに未だにそのことを引きずっている自分だ。
日本中にカスミという名前の子はたくさんいる。
それは、カスミに限ったことではない。
『澪』や『凪』、例えば『加奈子』だって同じことだ。
なのにカスミという名前そのものに怯えている私は、馬鹿以外の何者でもない。
同じ人間なんていない。
例えカスミが100人私の周りに存在しようが、その全員が浮気相手なワケがないのに。
もしかしたら、その中の1人は親友かもしれない。
‥‥いつの間にか、学校が近付いてきた。
全然歩いた気がしないのに。
まるで学校の方から私の方へ迫ってきたかのように、時間はあっと言う間に過ぎ去った。
あ~‥‥。駄目駄目!
余計なことを考えるな!
大体そんな昔のこと、もうどうだってイイじゃない?
私は自分に何度もそう言い聞かせると、202教室を目指した。
「‥‥えっと、ここよね‥‥?」
1度も入ったことのない教室、知らない人達、初めて聴く講義‥‥。
緊張の種なら山ほどある。
知らず知らずの内に、私は心臓の高鳴りを感じていたのだった。
ま、失敗しても今の私は凪ってことになってるし!
私は悪くない、悪くない!
‥‥どう考えても気休めにしかならない呪文『私は悪くない!』
―ギィ‥‥
教室のドアを開けた私を真っ先に襲ったモノ、それは‥‥。
女子特有の高いお喋りの声と、蒸せ返るような香水の混ざった匂いだった。
‥‥何、ここ。
教室内にいる女子達は、ギャルかギャル。
もしくは、ギャルばかりだった。
普段ならあまり関わらないような人種の集まりだ。
まぁ、一言で言えば『あまりにも騒がしい』。
私が所属している生活福祉学科もそれなりに騒がしいけど、基本は穏やかで真面目な雰囲気のクラスなのでそのギャップに驚いてしまった。
凪はいつもこんな環境にいたのか‥‥。
ていうか、この人達は勉強しているのだろうか。
ギャハハと笑う一角の前を通り過ぎ、窓際に向かって歩を進める。
バレませんように‥‥!
そう祈れば祈るほど、私の体はゼンマイ式の人形みたいに動いた。
体がガチガチだ。
「なぎぃ!?」
冷や汗を垂らす私に向かって、大きな声が投げられた。
それに反応し、ギクリと顔を上げる。
声の主は腰まで垂れた長い黒髪で、その上に何本かの白いメッシュを入れている‥‥。
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