94 / 399
恋の忘れ形見
おんぶからの背負い投げ
しおりを挟む子泣きジジイを背負いながら牛歩を続け、やっと凪の部屋に辿り着いた。
―ガチャ‥‥
「‥‥重いぃ‥‥畜生‥‥。
凪ぃ‥‥氷枕を‥‥。」
私は半分床に崩れそうな体勢でベッドの脇に着くと、凪の頭の下に冷たい氷枕を差し込んだ。
「‥‥あ、寝てる。」
凪は寝息を立てている。
安眠している様子だ。
「‥‥この抗生物質を服用したということは、単なる風邪のようですね。」
すると千鶴が、耳元で何か知的なことを喋ってきた。
「マジで?よく分かるわね。」
私は首回りを千鶴の腕で拘束されたまま、机に置かれた薬の抜け殻を見つめて呟いた。
「まぁ、僕に分からないことはありませんから。」
不敵な笑いをこぼすと、千鶴は私の肩でしれっとそう言い放つ。
「これを服用して、しばらく寝ていれば熱は引きます。
安心して下さい。」
千鶴がニコリと笑いながらそう言い切ったものだから、私はその言葉通り安心した。
しかし、まるで千鶴の着ぐるみを着ているようなこの状況に、首と腰を痛めるのだった。
「‥‥ちょっと、いい加減どきなさいよ‥‥!
ヘルニアになるでしょーがっ。」
「もう少しいいじゃないですか。」
チッと私は舌打ちをする。
そして再び凪の部屋の外まで、変態を背負いながらズルズルと歩いた。
―バタン
首に絡まる千鶴の腕をガッシリと掴むと深呼吸をする。
その後、溜めていた怒りを一気に噴出するかのように、床へソレを放つ準備をする。
「さぁ澪、僕らもッ‥‥ぐあ!」
―ブンッ!
―ズドォォン!!
「ハァ‥‥ハァ‥‥。
は、初めてやったぁ‥‥背負い投げ!」
見事に豪快な背負い投げが決まった私は、チャンピオンのごとく高らかに笑い声を上げた。
そしてその傍らでは潰れた輩が1名、床に顔を押し付けている。
「‥‥さすが‥‥澪。
日増しに強かになって‥‥。
僕は夫として妻の成長を身を持って感じることが出来て‥‥とても嬉しいですよ。」
「なぁーにカエルみたいに床に四ん這いになりながらカッコ良く決めてんのよ。
てゆーか、いつ私はおんどれの妻になったんじゃい!」
私はそう言い放つとソファに座り、煙草を吹かした。
凪のフリしてたから学校で吸えなかったしね。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる