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恋の忘れ形見②
千鶴以外で私を見抜く人
しおりを挟む「‥‥君、よく見たら‥‥
もしかしてお姉さんの方?」
「‥‥あ、ハイ。そうですけど。
‥‥よく分かりましたね。」
突然の質問に緊張しながら、私はよそよそしい返事を返した。
「‥‥はぁ~やっぱりね。
昨日、私の講義に出てたでしょ?」
え、嘘‥‥バレてた?
そう思うと、滝のような冷や汗が一気に出た。
先生のマネキンみたいな顔を直視しないようにして、何て答えようか必死に言い訳を考えると、私は煙草を急いで灰皿に押し付けた。
「‥‥大丈夫よ。
そんなに慌てなくても別に怒りはしないから。」
私が思いつめた顔をしていると、先生はクスクス笑いながらそう言った。
「‥‥あの、ゴメンなさい。
妹が熱を出して‥‥それで単位が足りないって言うから、その‥‥。」
「いいっていいって。
どうせ欠席でも、見て見ぬフリしてたから。」
「‥‥そ、そうですか。」
雨宮先生は、とても教師の言うこととは思えない台詞を吐きながら手をヒラヒラさせていた。
何か‥‥イメージよりもサバサバした人だなぁ。
「私ね、結構よく見てるのよ。
学生のこと。」
「‥‥はぁ。」
「こう見えても、観察力だけはスゴイんだよね。
‥‥まぁ、それに対して何か変化があろうとも、別に口出ししないから教師としては失格なんだけど。」
「‥‥はぁ、そう‥‥なんですかぁ。」
顔に似合わずよく喋る人だなぁ~、と私は先生の綺麗な顔を凝視してしまった。
「もう、大人しい人ね。
もっとリアクションしてよ。」
「‥‥え?あ、すみません。
えっと、よく妹と私を見間違えませんでしたね先生。」
何‥‥この人。
やたらフレンドリーじゃないの。
授業中の冷たい雰囲気とは裏腹に、まるで別人だわ。
「うん。
だって君達、雰囲気が全く違うじゃない。空気っていうの?
まぁ、双子の姉がいるって知ってたから分かったことなんだけどさ。」
「‥‥なかなかいませんよ?
1発で私達を見分ける人なんて。
親ですら間違うくらいですし。」
私は感心しながらそう言った。
「そうなの?そしたら私、やっぱりスゴイのね。」
「‥‥はい、スゴイと思います。」
何故だろう、急に親近感が湧いてきた。
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