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恋の忘れ形見③
これといって話題の無い2人
しおりを挟む「あの‥‥。」
「ん~?」
紅茶を入れる先生の後ろ姿に、おずおずとした言葉をかけた。
「こんな時間に、良かったんですか?
っていうか‥‥私が来ても?」
「え~?何で?」
「何で‥‥って。その‥‥。」
ゼミ生でもない私が、当たり前のようにお邪魔しても良かったのだろうか?
しかも、昨日初めて話したばかりなのに。
と言いたかったのだが、なかなか口がモゴモゴして上手く言えない。
「いいじゃない。暇だったし。」
「はぁ‥‥。」
何だ、暇潰しかい‥‥。
私はそう思うと、窓の外を不自然に眺めた。
「って言うのは、嘘。
ホントは寂しかったのよね。」
先生はそう言うとこちらを振り向き、私の前に出来たての紅茶を置いた。
「あ、どうも。」
私がぎこちなくそう呟くと、先生は『どういたしまして』と可愛らしく返してきた。
「1日が、やけに長く感じちゃって。
講義が余計に長~く感じるのよねぇ。」
私の向かいのソファに腰を下ろした先生は、ズズズと紅茶をすすりながらウンザリしたように愚痴った。
友達と会話しているみたいだ。
「あ、私もそう思う時ありますよ。」
高そうなティーカップを手に取って、私も同調した。
「ねぇ~。」
「はい。」
‥‥‥‥‥。
電気ポットのゴポゴポという潰れた音と、パソコンの起動音だけが部屋を木霊している。
つまり、沈黙が流れているということだ。
これと言って話題は、無い。
だって、会ったばかりの人と何を話せばイイというのだろう。
私は人見知りする方なのになぁ‥‥。
などと思案を巡らせながら、いつの間にか回想モードに入っていた。
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