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恋の忘れ形見③
研究室でのティータイム
しおりを挟む「あ、先生。ちょうど探してたんです!」
私は首を傾げる雨宮先生にそう言うなり、肩にかけたバッグから凪のレポートをゴソゴソと探った。
「あら、私に何か用なの?」
ウキウキとした表情の先生は、私の顔を覗き込んできた。
「えっと‥‥この前渡しそびれた‥‥あった!
土屋凪のレポートです。
随分遅れちゃったんですけど、大丈夫ですか?」
自信無さげに私がそう言えば、先生は『ああ、全然大丈夫よ?』と、友達感覚でレポートを受け取ってくれた。
「それよりせっかくわざわざ来てくれたんだから、私の研究室でお茶でもしない?」
先生は垢抜けた顔に笑顔の皺を作りながらニコニコと言ってきた。
「え、いいんですか?」
「ん?いつでも来ていいのよ?」
『何言ってるの?』と言わんばかりにウェルカムな先生に対して少しだけ戸惑いなからも、その言葉に甘えることにした。
「じゃあ‥‥ちょっとだけお邪魔します。」
そうして両手に資料を抱えた雨宮先生の後に着き、大学4階にある研究室にお邪魔することになった。
廊下から窓の外を見れば、すっかり空は薄い藍色に染まっている。
蛍光灯がカチカチと点灯し始めた。
「入って入って~!」
先生は楽しそうに体を弾ませながら私の背中を押しやった。
ドアを開いたその先は、まさに異空間。
ティディベアがいたる所に並べられているし、ほのかにバニラの香りがする。
まるで小さな女の子の部屋みたいだ。
ここが大学の研究室だということを忘れさせるほどに、なんともメルヘンな空間だった。
「あ‥‥何か、可愛いですね。」
私はそわそわしながら四方八方に目をやる。
「そお?やっぱり?」
先生はニッコリしながら資料をデスクにドッサリと置いた。
「まぁ座ってよ。今、お茶入れるからね~!」
コポコポと電気ポットが鳴いている。
茶色い革張りのソファに腰を沈めさせると、何だかカフェにでも来たかのような錯覚に陥る。
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