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恋はさざ波に似て
シークレットミーティング
しおりを挟む「残念ながら歌は聞いたこと無いけど、ジャケットかっこいいね」
ジャケットカッコイイネ。
口が勝手に動いたわ。
「でっしょー!夜、聞かせてあげるからぁ」
そりゃあ楽しみで眠れないや。
すっかり南条セイヤの話が長引いた為、私と篠原さんは集合時間に遅れてしまった。
しかしあとわずかの時間で意中の人物に会えるのがよほど嬉しかったのか、他のニヤケ顔の皆からはあまり咎められず、そのまま台風のように畑野ゼミ一行は三ツ星会館へ向かうのだった。
が、このまま悠長に幕は下りなかった。
物凄い剣幕で旅館から走り出した皆に追い付こうと、運動不足の私はその後を死ぬもの狂いで走る羽目になり、肩で息をつく間も無く到着した会場の熱気に圧倒されることになる。
ここまで驚くことになるとは露知らず。
ここにいる全員はどこで『南条セイヤ、シークレットミーティング』の情報を知り得たのだろうか。
ざっと500人は超えるであろう女子の波が、こじんまりとした会館を埋め尽くしていた。
「まさかこんなに来るとはね……」
「皆、東京からわざわざ来たのかなぁ?
……痛っ、足踏まれた!
ふざけんなぁっ」
ちょっと待て。
これは新手の拷問か?と言うくらいの人混みだ。
隣の子の腕が私の腕に食い込むし、背中は後ろにいる子の胸で押されるし、ホント最悪。
人に酔うとはこのことだ。
本格的に帰りたくなってきた……。
などと脳内愚痴祭りをうっかり開催したあげく、寸前『ふざけんな』と言いそうになった。
蒸せ返る女子達の汗と香水の臭いで更に青ざめてきた私を余所に、時間は残酷にもゆっくりと流れていく。
……勘弁して欲しい。
30間分もただ黙って突っ立っていると、ロクなこと考えやしないもの。
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