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恋はさざ波に似て
歓声ならぬ断末魔
しおりを挟む「みんな元気ー?」
――ギィアアアアアァァア!!!
ちょっと……おい、歓声じゃなくって悲鳴だろコレ!断末魔だろ!
しかし突っ込む前に、鼓膜が破けそうだ。
ここはドームじゃないが、おかまいなしに総勢うん百人の女の叫び声がついに現れた南条セイヤを攻撃した。
……ついでに私も。
思わず耳を塞いでしまった。
「元気だねー。
僕も会いたかったよぉ」
――セイヤァァアアアアア!!!
だから、もっと可愛らしく叫べないのだろうか。
まるで石器時代だろ。
だが私がそんな心配をするも、南条セイヤは歓声?をシャワーを浴びるかのごとく余裕の表情で突っ立っている。
テレビで見るのと同じ仕草で、首を傾げて。
「ねぇ~絵美ぃ。
こっからじゃあんま見えないぃ」
「私に言われてもね~。
文句なら先生に言いなよ」
「せんせーのバカ!
セイちゃん独り占めって言ってたじゃんか!」
「しー!
横からゴチャゴチャ煩いですよ!
私のセイヤの声が聞こえないじゃないっ!」
畑野先生は鼻息を荒げながら、鬼の形相で数十メートル先の南条セイヤを凝視している。
ああ……口紅が崩れて悲惨な顔になってるよ、先生。
都市伝説宜しく口裂け女になり果てた先生から視線を外し、私は仕方無くステージの方を眺めた。
篠原さんじゃないけど、確かに良く見えないわ。
凪に『写メ撮ってきて』なんて語尾にハートマーク付けながら頼まれたけど、これじゃ前の子の後頭部しか撮影出来ないっつーの。
そうこう思考を腐らせているうちに、南条セイヤの甘ったるい声が例の『さざ波メランコリー』を語り始めたことに気付いた。
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