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恋はさざ波に似て②
嫌いじゃないかも
しおりを挟む「ねぇってばー、えいえい!」
「うっ!あ、ちょっと!
何すんのよ馬鹿!!」
1人で観察に耽っていると、
突然脇腹をつつかれ思わず大声を張り上げてしまった。
「……あ」
しまった。いつもの調子で……。
咄嗟に脳裏に浮かび上がった変態に、中指を突き立てたい気持ちでいっぱいになった。
馴れ馴れしく、ベタベタ触ってくるもんだから……
ついうっかり攻撃態勢になっちゃったのよ。
しかし、額に浮き出た青筋はすぐに消える。
だって、相手はあの南条セイヤなんだもの。
脇腹つつかれてムカつく反面、
すみません!と土下座をしてしまいそうな雰囲気に飲まれた。
「……嫌いじゃないかも~」
「は?」
「え?」
レミさんの介抱をしていた総大くんと、マヌケ面の私が一様に気の抜けた言葉を漏らした。
その一方、南条セイヤは背景に花を散らせている。
まるでボールにじゃれつく仔犬のごとく。
「……うわぁ、僕、女の子に怒鳴られたの初めて!何か、イイ!
きゃはー!ちょっとそーゆー趣味に走っちゃうかもぉ~」
両手でほっぺたを押さえ付けて
『ど~しよ~困ったぁ』
とか口走りながら、南条セイヤは思春期の女の子さながらにモジモジし始めた。
その様をただ呆然と見つめていた私の脳内では、『何コイツ』の
一言で埋め尽される。
言葉にならないわ。
「困ったのはこっちッス!
駄目ッスよ!?絶対駄目!!
アネゴに手ぇ出したら、オレに火種が飛ぶんスからね!」
まるで突然変異を起こしたかのように、みるみる内に顔中がパープルに染まった総大くんは、南条セイヤの華奢な肩を掴んで乱暴に揺さぶった。
「え~、何でさぁ。
別にソーダイの彼女じゃないんでしょー?」
「なんて恐ろしいことを!!
そんなこと冗談でも口にしちゃいけないんス!
どこであの人が聞いてるか、
分かったもんじゃないっ!!」
「お、恐ろしいのはアンタじゃん……何そんな動揺してんのー。
バッカみたい」
「ええ!バッカでもバッハでも何でもイッスよ!
何が何でもこの女性には手を出さないで下さいぃ~……!
後生のお願いです……南条さぁん」
「はぁ~?意味不明だねぇ、
ミオちゃんっ」
いや、だから総大くんの話を聞いておやりよ。アイドル様。
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