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恋の焼け跡④
お母様
しおりを挟む「時々、お兄様が外出したのを見計らって、壁に貼られたお姉様の写真をずっと眺めていました。それで、思ったんです……。
お兄様がお姉様のハートをキャッチして、藤堂の人間になるよう何とか上手くやってくれないだろうかと」
ハート……キャッチ……。
「だって、そうしたら、わたくしと、ずっと一緒にいられるじゃないですか」
「え、でも何で。ずっと気になってたんだけど、どうして私なんかをそんなに好いてくれるの?」
そう、千鶴も。
「……お姉様、とってもお母様に似ているんですもの」
スッと、細い指が宙を指した。
その指の先を目で追えば、テーブルの上に小さな写真立てがあった。
私は無言で指されたその写真立てを手に取り、そんなに自分と似ている人間が妹以外に存在するのかを確かめた。
「……これが、お母さん?」
「はい」
後頭部に何かがぶつけられたような衝撃が走る。
電気が走ったかと思えば、熱湯が注がれたように熱くなった。
なんということだろう。
私が、目の前にいる。
目の前の、写真の中で微笑んでいる。
ショックで息が止まった。
そんなはずがない。
だけど、どうして?
どうしてこの人が懐かしいの?
私によく似たこの女性は、赤ちゃんを抱えている。
「その赤ちゃんは、わたくしです。その写真が、わたくしとお母様が一緒に写った最後の写真ですわ」
「……さい、ご?」
「最後、そう、最期の写真です。お母様は、もう随分昔に亡くなりましたの……」
胸が張り裂けそうだ。
亡くなったと聞いたからではない、懐かしさで裂けそうなのだ。
もうこの世にはいない。
それは知っていた。
皐月さんは、私が10歳の頃に………………。
何、何でそう思ったのかしら。
全然知らない人なのに。
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