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恋の後始末
上の空
しおりを挟む退院から一週間が過ぎ、何時間も椅子に拘束される講議にも、そろそろ慣れた。
この日の午後は、黒板の文字をひたすら書き写すだけの講議。
頭の良い医学生なら意味も理解できるんだろうけど、私からすれば訳のわからない漢字と専門用語の羅列ばかりだ。
それに、ここ最近はずっと千鶴との夜を1分おきに反芻してしまうので、それも手伝って余計に講議の内容に集中できずにいる。
元々、友達と恋バナなんてする習慣もなかったから、講議に集中できない理由を話すことは、親友の加奈子にでさえはばかられるものだった。
久しぶりに見た彼女の変化を挙げるとすれば、切りすぎた前髪くらいのもので、他は以前会ったままの優しい女の子だった。
退屈な講議が終わった後、加奈子といつもの学校の食堂2階の喫茶店へと足を運んだ。
「澪ちゃん、やっぱり体調悪そうだよね。
大丈夫?まだ本調子じゃないようだけど」
「え、そう?」
「うん。講義中も辛そうに顔をしかめたり、
窓の外を向いてぼーっとしたり、先生の話を聞くどころじゃないみたいだったけど」
「あはは。まあ、そうね。確かにまだ調子が良くないのかもしれない。でも、単位は取らなきゃね!」
体調は、ほぼ全快している。私が上の空である理由はもっと他のところにあったのだが、それが周囲には体調不良に見えたようだ。
しかし、かえって都合が良い。
私は一定のリズムで、カルボナーラのベーコンにフォークを抜いたり差したりの繰り返しをした。
そんなことで、安定しない思考のリズムが整うのだと信じ込むように。
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