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ep.01

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「…どうしたの、急に。」



『急にじゃ、ない…っ

ずっと…4年間ずっと…っ!』 


「………。」


「なんで…なんで海外に…っ。

一緒に仕事出来るだけで
良いって思ってたのに…。

どうして…っ。」




一言、また一言と、
自分の気持ちを吐き出す度に

胸が張り裂けそうなほど
苦しくって。

へなへなと
座り込む私に





「ああ、その話?

朝からみんな
そればっかだな~。

俺、行かないんだけど。」



『………へ?』



「確かに話は来てたけど、

向こうは向こうの重役に
任せとけば良いじゃん?

業績も
しっかり保ててるし。

いずれは行くかもしれないけど
今すぐ行く必要ないから。」          





彼が放ったのは

本当に
予想外な言葉で。




『う、そ…。』




嬉しさ?安心感?


私の目からは
更に涙が溢れた。




そんな私の手を
優しく取りながら



「誤解は、解けた?」


『はい…。』




立たせてくれた、
とこまでは良かったのに。



「じゃあ…話を戻そうか。

…俺の事がなんだって?」


『……ははは。

えっと…忘れてください。』





早とちりで
勢いで告白してしまった事、

それを改めて聞き返された事が
物凄く恥ずかしくて。


ササッと立ち上がり
社長室を出ようとー…

したのだけれど。






「ちゃんと聞かせてよ。

俺の事がずっと…なんなの?」



『ー……っ!』



ガッと腕を掴み
私の体を引き寄せながら
耳元で囁かれた

そんな
イジワルな言葉。



『好き、です…。

ずっと前から
社長の事、好き…んんっ…!』



その甘さに負け

改めて伝えようとした
私の言葉を遮り

押し付けるように
重ねられた唇。


驚きから
ほんの少し開いた口を
半ば強引にこじ開け

激しく絡み付いてくる
熱い舌。



『ディープキスは、初めて?

息上がっちゃって。

…可愛い。』



「しゃちょー…っんん…!」





何度も何度も交わされる
とろけるようなキスに

全身が痺れるような
その甘い感覚に

落ち着きを取り戻しかけていた
私の心を再び熱くなった。





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