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件
真冬の夕暮れ、日銭を稼いだ帰り道、ナタリーは男たちに金を奪われた。
必死に取り返そうとした彼女は、誤って凍てつく川へと落ちてしまう。
遠のいていく意識の中、ナタリーを救ったのは一人の青年だった。
彼は凍えきったナタリーを自分の下宿へ連れて帰り、甲斐甲斐しく看病してくれた。
やがてすっかり元気を取り戻したナタリーは、自分にできる唯一の恩返しを彼にする。
――それから三年。
二十一歳になったナタリーは、父親が拵えた借金の肩として、悪徳高利貸しの手に売られてしまう。
娼館へ送られるはずだった彼女だが、粗末な身なりのせいで見すぼらしい少年と勘違いされ、辛くも娼館送りを免れることに。
その代わりに送り込まれたのは、王都に幾つかある劇場の一つ、バークレー劇場の楽屋だった。
ナタリーはナットという少年を装い、貧乏劇場の小間使いとして働くことになる。
バークレー劇場のオーナー、ジミー・シュバイツァーは、ハンサムな容姿とは裏腹にパトロンの女の意のまま。
しかし演劇のこととなれば我を忘れるほどの演劇馬鹿。厄介事を起こしては、劇場の者たちを振り回している。
そんなジミーに何かと苛立たされながらも、ナタリーはいつしか彼に惹かれていく。
やがて、劇場の主演女優に思わぬ危機が訪れたとき、ナタリーは男装を捨て、自ら舞台に立つことを決意する。
そこで初めて明かされる、ナットの本当の姿――。
思いがけず現れた一人の娘の才能に、劇場は大きく動き始める。
そしてナタリー自身もまた、舞台の上で新たな人生を歩み始めることになる。
三年前、凍てつく川から彼女を救った青年と、再び巡り会っていたことも知らぬまま――。
文字数 2,250
最終更新日 2026.10.01
登録日 2026.10.01
ヴィンセント伯爵令嬢マーレイは、華やかな美人ゆえにお高くとまっており、男遊びが激しいと人々から誤解を受けているが、勝気な性格ばかりが表立つものの、実は繊細な心を持つ初心な乙女だ。
ある日、婚約者であるバルモアから婚約破棄を宣告される。
婚約破棄の理由は、マーレイからの冷酷な仕打ちの数々とのこと。
全く身に覚えのないマーレイだが、実はバルモアにはフローレンスという愛人がおり、彼女を妻に迎えようと画策していたのだ。
社交界ですっかり笑われ者となったマーレイは、悲しみを隠して気丈に振る舞う。
そんなとき、シェカール公爵サーフェスから極秘裏に呼び出された。
この呼び出しを契機に公爵に見初められたなら、娘の起死回生、汚名返上になると踏んだ父は喜んで承諾し、マーレイは彼の屋敷へと赴いた。
サーフェスは命じた。
「童貞の私に恋愛指南してくれ」と。
仮面舞踏会で運命の出会いとやらをした「かすみ草の淑女」なるレディに求婚するために。
だが、その「かすみ草の淑女」こそ、正体を隠したマーレイだった。
R18には※をしています。
完結作を誤字脱字訂正して再投稿です。
文字数 13,101
最終更新日 2024.07.06
登録日 2024.07.04
アニストン子爵令嬢マチルダは、無実の罪を晴らさなければならなかった。
姉イメルダの婚約者であるアンサーを誘惑したという罪を。
それには、マチルダに恋人がおり、相思相愛であると証明しなければならない。
だが、マチルダには恋人はおろか、好意を持つ相手さえいない。
思案の末に訪れたのは、男娼を派遣する娼館だった。娼館の主人らしき男は知的でハンサムで若々しく、だけど皮肉屋で、マチルダと衝突してしまう。
そして、マチルダの恋人を披露する日。
現れたのは、娼館の主人であるロイ・オルコット。彼は何と、自分はブライス伯爵家の三男だと皆を欺き、マチルダの恋人を完璧に演じた。
R18には※をしています。
以前の完結作を誤字脱字見直しての再投稿です
文字数 21,614
最終更新日 2024.05.10
登録日 2024.05.06
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