君は笑ういつか見たバラのように

白宮博英(カフェイン過剰摂取)

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一話 運命(?)の出会い

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「何…?誰…?」
彼女は困惑しているようだ。それもそうだろう。今の時刻は午前4時25分12秒。まさか人が起きているなんて、いや、自分と同じ考えの人がいるとは夢にも思わないだろう
「君こそだれだい?僕はゴミ拾いをしに来たんだけど」
「私もよ、今ゴミ拾いをしているの汚い海岸は嫌いだから。
そんなことより私が聞いているのは君の名前。誰なの?」
「……君から名乗るのが礼儀だと思うけど? まぁいいか。僕は白神天。 白色の白に神様の神、天使の天で白神天」
「いい名前ね。覚えやすいし」
「君は?」
「私は倉里由奈 お倉の倉とさといもの里、理由の由に奈良の奈」
 砂浜に文字を書きながら彼女は自分の名前を紹介する、僕もそうしたほうが良かったのかもしれない
「さといもって里っていう漢字だっけ?」
「伝わればいいのよ伝われば」
 そんなものだろうか、まぁ気にするほどのことでもない
「で?」
 彼女が突然質問をする。話の主導権を持ちたいタイプなのだろうか
「白神君はなんでゴミ拾いをしてるわけ?まさかアルバイトじゃないわよね?」
「部活なんだよ。高校の。清掃部。」
 清掃部と聞いて彼女の顔がゴミでもみるかのような目になる。
 ここには誰もいない、海に放り投げてやろうか。こう見えても中二まで柔道を習っていた。
「何その部活、そんなのに青春をそそいでるわけ?」
 何が悪い。うん、やはり海に放り投げようか
「ただ街をキレイにするの?そんなのアルバイトでいいでしょ。ほら、毎週日曜にある地域大掃除」
「そんなのはどこか嫌なんだ。お金がないから、お金が欲しいからゴミ拾い。偽善だよ。」
「街がキレイになるんだからいいじゃない。」
「そうかな?目的が違うと思うよ。清掃部は単純に街の清掃、地域大掃除の目的はお金。清掃部のほうが美しい」
 自分の部活を美しいと言うのはなかなか恥ずかしいものだ。
「そんなものなの?ごめん、私には理解できないや」
 話を切り上げられた。まぁこのまま行くと永遠に終わらない口論になっていただろうから気にしないことにした。
 ところで気になっていた質問を投げかけてみる
「そういえばなんで君はここでゴミ拾いをしてるの?高校は?」
 彼女は「待ってました」と言わんばかりに喋りだす
「私は今日からあの高校 群竜東ノ第一高校 に転校するの。ゴミ拾いをしてるのは体育の授業で夏は海に入るって聞いたから。さっきも言ったけど汚い海岸は嫌いなの」
 群竜東ノ第一高校は四年制の学校だ。
 ちなみに気付いてるかもしれないが僕、白神天が通っている高校だ。
 生徒は合計287人、偏差値は52とそこそこといったところ、クラスは一年につき4クラスちなみに本来全校生徒は288人で転校生は受け入れてないのだが、受験時に志願者が71人しかいなかったので倉里は転校することができたということだ。
「群一に転校するのか、よろしく。君があの転校生なんだね。」
「え?話題になってるの?嬉しいなー。」
「そりゃもちろんアイドル並みにね。」
 うそだ、男子か女子か知らないことをいいことにみんなイケメンか、可愛いのかぐらいの話しかしていない。くだらないなと思う。
「ほうほうなるほど。じゃ、私は今日からアイドルってわけだ。よろしくねー!!」
 ……調子に乗りやがった……。
 嘘はほどほどにしたほうがいいのかもしれない。
 結局その日は雑談ばかりでゴミはあまり拾うことはできなかった。空き缶5個、ポリ袋2枚、ダバコ10本、流れついた木の枝2本。
 ……部長に怒られるかもしれない

 寮に帰ったのは午前6時40分だ。同室で同じC組の紫村空斗を起こしたあとシャワーを浴びて食堂へと向かう。朝食は午前7時から7時45分までと決められている。
 今日はわかめご飯、鮭の塩焼き、わかめの味噌汁、海藻サラダといった献立だ
 海に近いのが原因かは知らないが毎日やたらわかめが出る。美味しいから気にしないけど
 朝食を食べ終え、眠気覚ましにホットコーヒーを飲んでいるとクラスメイトの西上大和から声をかけられた。C組の委員長であり、この寮のボスとして崇められている。実際はそんな権力はないけど。
「ごめんな今日行けなくて。昨日ミーティングとかで寝るの遅くなっちまってよ。」
 今朝なゴミ拾いのことを言っているのだろう。彼は清掃部の部員だ。
「大丈夫だよ」
 だいたい午前4時に起きてゴミ拾いに行くとうこと自体おかしいのだ。しかも、今は夏の6月15日だ。
 寮から1200mも離れた海岸まで自転車を走らせるのはなかなかハードだ。
 地球温暖化の影響か知らないが、明け方でも気温は21℃まで上がる。しかも海沿いなので湿度が高い。
「いやほんとにごめんよ。アイスか何か奢るわ。」
 彼の自分が悪いときは素直に認める。この性格がボスと呼ばれる理由なのかもしれない。
 そうだいい機会だから寮について教えよう。
 寮は一年生と二年生、三年生と四年生が合同となっている。
 一、二年生の男子寮『蒼雨』、女子寮『紅玉』の二寮。三、四年生の男子寮『希門』と女子寮『将翼』で構成されている。名前については賛否両論あるが、学校創設当初から変わっていないらしい。
 噂では初期の寮の名前は『シロツメ寮』だの酷いものでは『怪談寮』なんてものもあるが、デマだろう100%
「大丈夫だってそれよりその会議はどうだったの?なんか決まった?」
「おう、ゴミを各部屋で分別してもらうっていう条件でさ。」
 ニヤリと笑った相当すごいことが決まったようだ。
「みんなも聞いてくれ!!今まで禁止されてたコーラ、アップルジュース、スプライト、カルピスの持ち込みが許可されたぞ!!」
 耳が痛い。西上ではなく周りの人の声でだ。
 しかし、ビックニュースに変わりはないだろう。今まで許可されてきたものはせいぜいお茶と水、それからコーヒーに甘くないカフェオレ程度だ。
 今回様々な飲み物が解禁されたことにより毎年5月と12月に行われるパーティーも盛り上がるだろう。
「何やら楽しそうじゃないか」
 生徒や西上が騒いでいると、担任の南大樹先生が話しかけてきた。
 群竜東ノ第一高校赴任3年目、29号通歳で担当科目は歴史だ。やたら生徒に人気がある。
「新しいルールか、いいね。また自由になった。」
「先生はどう思います?」
「ん?いいと思うよ。条件もしっかりしてるし、何より生徒が喜んでいる。私は不利益にならないならそれで良い」
 確かにそうだ。南先生の話には説得力がある。
「何より。」
 先生がニヤリ戸笑った。嫌な予感がする。
「パーティーが盛り上がる。」
 …僕と同じ考えだ。
 内心でショックを受けながらしっかり冷めたコーヒーを飲んだ。
 したくを済ませた後、学校へ向かう。寮を出たのは午前8時40分だ。これなら9時10分から始まるHRに十分間に合う。
 クラスメイトの紫村や志度と雑談しながら学校へ向かう。学校についたのは午前9時ちょうどだ。教室に荷物を置き、適当に自動販売機でお茶を買う。炎天下の中歩いたので喉がカラカラだ。自動販売機は外にあるのでまた暑い思いをしないといけないのが難点だけど。
 そのときだった。職員室から出てくる倉里が見えた。転校の手続きをしているのだろう。関係ないので気にしない。
 その後教室に戻るとHRが始まる1分前だった。席につき、後ろの子と雑談でもしながらHRが始まるのを待つ。僕はこの時間が嫌いではない。
 HRが始まった。南先生の2分程の話が終わると転校生の紹介になる。
「入っておいで倉里君」
 先生は男女関係なく「君」をつける。今回はそのおかげで男女かわからないというサプライズの用な感じになった。
 静かな音を立てながら倉里が教室に入ってくる。「かわいい」「キレイ」「シャンプー何使ってるんだろう」生徒の声が聞こえる。それほど倉里のインパクトは強いということだ。
 前に立つと流れるように黒板に名前を書く。
「倉里由奈です。夏樹川高校から転校してきました。特技はペン回し、好きなことはテニスです。よろしくお願いします。」
 みんなが驚く。夏樹川高校というと偏差値67の超進学校だ。何故彼女が偏差値が15も低い群一に転校してきたのかわからないのだろう。思い当たるとするなら群一は14ある運動部のうち7つの運動部が過去5年以内に全国大会に出場してることだが…
 …理由があった。  
 彼女は好きなことはテニスだと言っていた。なら当然テニス部に入るだろう。
 群一のテニス部は男女共に2連続で全国大会に出場しているし、昨年に至っては男子はベスト4、女子はベスト8になっている。
 更に8年前には4度目の全国制覇を男女共に成し遂げている県内屈指の強豪校だ。部活人気はワースト5だけど。
 対して夏樹川高校は頭はいいが部活は弱いのお手本のような学校だ。過去5年の最高成績はサッカー部が予選で1勝したくらいのものだ。当然テニス部も話にならないくらい弱い。なんでも19年連続で負け続けているらしい。  
 部活が強い。夏樹川高校からここに転校してくる理由なんてそんなものだろう。
 倉里があいさつをした後、HRは終わり、その後は比較的いつも通りだった。いつも通り授業を受け、休み時間を紫村や西上と過ごし食堂でもらった弁当を食べる。流石にわかめは入ってなかった。
 変わった事があるとするなら西上にレモンアイスを奢ってもらったこと。それから清掃部部長の来美勝矢に褒められたことぐらいだ。後者はちょっと意外だった。
 その後は部室で次の清掃場所の説明を受け、それで解散となった。
 道中に同じ清掃部の西上と話す言葉もいつも通り正直どうでもいい話だ。
「次のテストの自信はある?」「夏休みいつからだっけ?」「夏休み始まったら旅行行こうぜ」「オススメの漫画ある?」「寮に帰ったらゲームしようぜ」「今日の夜ご飯何だと思う?」
 こんな感じの会話だ。
「何話してるんだよお前達っ!!」
 話をしていると紫村が声をかけてきた。
 そうだ。せっかくだから彼の紹介もしておこう。彼は紫村空斗。身長は平均より8センチ程高く、体重は2キロほど多い痩せ型だ。部活は運動部であるサッカー部と文化部である放送部だ。群一では運動部と文化部、もしくは文化部と文化部の組み合わせであれば2つまで部活に入ることが可能だ。
 ちなみに僕は写真部にも一応入っている。
 話を戻すが、彼がメインでやってるのはサッカー部だ。一年生ながら中学時代、全国大会で第3位を飾った明日華中学のエースだったこともあり、レギュラーに選ばれている。
「雑談だよ。」
 一応彼の質問に答える。それは彼もわかりきってることだろう。別の質問をしてきた。
「へー。ところでさ、レースゲームの話ししてなかった?」
 聞こえてたらしい。始めから聞いていただろとツッコミたくなる。
「正解。紫村も入る?今LINEで聞いたら5人しかできる人いないらしくてさ。」
 西上が聞く、僕的には誘わないで欲しかったけど。
「入る!!入る!!『レツツピ』だろ?入るよ勿論」
 レツツピというのは最近発売されたレースゲーム、レッツスピードゲームの略だ。マシンを自分好みにカスタマイズできる点が人気の理由だ。ちなみに紫村が得意なゲームの一つである。
「オッケー!!今日こそお前を倒す!!」
「やってみろよ委員長!!三連覇をしてやるぜ」
 結局その日は寮に帰った後午後7時か夕食の8時半までレツツピをした。
 紫村、西上、僕、鴨川、黒絵、浜下、西松、郷元の8人でしたが、優勝は全て紫村だった。
 その後みんなで夕食をとり、僕はその後風呂に入って寝た。西上も今日はミーティングがないから寝るらしい。紫村達は夕食後もレツツピを続けるらしい。懲りない奴らだ
 それにしても何故紫村はあんなに強いのだろう。テクニック以前にスピードが段違いなのだ。僕らのマシンを時速100キロだとしたらㇱのマシンは200キロくらい出てる気がする。
 それを考えていたら寝るのが10時半になった。明日はゴミ拾いに行けないかもしれない。
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