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August
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「ゆう?もうお出かけするの?」
「はい。電車を使う予定ですし、待ち合わせに遅れないように早めに出ようと思って。」
「そ…っか。やっぱり僕が送っていこうか?」
「いやいや、もし他の学生さんに会ったりしてもまずいと思いますし…。」
「駅まででもだめ…?」
「大学に近いし、なおさらまずいですよ。」
「えぇ…じゃあ、駅まで着いたら連絡してね。他にも、何かあったら、いや、何もなくても、すぐ連絡ちょうだい。」
今日は広瀬たちと遊びに行く日。
俺たち一年生はもう講義がなくて、平日だけどみんなで集まれるってことになった。
本格的に夏休みに入ると遠方から上京してきた面々は帰省したりしちゃうから、早めに集まっておこうってことで、今日に決まった。
先生も今日は授業がなくてお休みの日らしい。
その代わり、午後からは学会に行くって言ってた。
だから、本来なら発表の準備とかをするべきところ、なんだと思う。
それなのに、先生は昨日の夜からずっと俺についてきて、心配ばっかりしてくる。
もう俺は子どもじゃないのに。
電車を使うと危ないとか、夜遅くまで出歩いちゃだめだとか、いろいろ言われる。
やっぱり、大学の教授だからってところもあるのかもしれない。
「行ってきます。」
この家から一人で外に出るのは初めてかもしれない。
毎日車で通っている道だし、スマホの地図のアプリもあるから迷子になったりすることはないけど。
そうだ、これだったら後期から先生と一緒に大学行かなくても大丈夫かも。
一人で通えるようになれば、好きに登下校できる。
明らかに高そうな住宅が立ち並ぶなかを、きれいな人たちが歩いている。
子どもでさえも俺よりいい服を着てて、ちょっとだけ恥ずかしい気分。
あんまりファッションとか気にしてなかったけど、大学生だし、ちょっとくらいは気にした方がいいのかな。
あとで先生に相談してみよう。
先生はあんまりこだわりなさそう、に見えて、すごくおしゃれだ。
いつもたいていグレーのスーツを着てるけど、夏になってジャケットを脱ぐと、そのセンスがよくわかる。
毎日、違うワイシャツ着てる気がする。一般人が着こなすにはハードルが高すぎる柄物のシャツとか。ネクタイもいっぱい持ってるみたいだし。
仕事がない日も、きれいな服をよく着てる。
黄色とかどこの国なのかわかんないような柄とかも、先生が着るとかっこよく見えるから不思議だ。そのままモデルみたいにランウェイ歩いてても違和感ないと思う。姿勢良いし。
よく考えてみれば、広瀬もいつもおしゃれな服を着てる。
髪の毛もマッシュ?とかいう、今の流行りの髪型っぽいし。
全身黒とか、俺がやったら絶対喪服になるな…。
やっぱり、姿勢がいいのが大事なのかな。
ちょっと意識してみよう。
そうこうしてるうちに駅に着く。
まだ完全に夏休みじゃないし平日だっていうのもあって、そこまで混んでない。
ICカードを使って改札を通ったところで、誰かに呼び止められる。
「あれ、永瀬?」
振り返ると、そこには広瀬が立っていた。
「はい。電車を使う予定ですし、待ち合わせに遅れないように早めに出ようと思って。」
「そ…っか。やっぱり僕が送っていこうか?」
「いやいや、もし他の学生さんに会ったりしてもまずいと思いますし…。」
「駅まででもだめ…?」
「大学に近いし、なおさらまずいですよ。」
「えぇ…じゃあ、駅まで着いたら連絡してね。他にも、何かあったら、いや、何もなくても、すぐ連絡ちょうだい。」
今日は広瀬たちと遊びに行く日。
俺たち一年生はもう講義がなくて、平日だけどみんなで集まれるってことになった。
本格的に夏休みに入ると遠方から上京してきた面々は帰省したりしちゃうから、早めに集まっておこうってことで、今日に決まった。
先生も今日は授業がなくてお休みの日らしい。
その代わり、午後からは学会に行くって言ってた。
だから、本来なら発表の準備とかをするべきところ、なんだと思う。
それなのに、先生は昨日の夜からずっと俺についてきて、心配ばっかりしてくる。
もう俺は子どもじゃないのに。
電車を使うと危ないとか、夜遅くまで出歩いちゃだめだとか、いろいろ言われる。
やっぱり、大学の教授だからってところもあるのかもしれない。
「行ってきます。」
この家から一人で外に出るのは初めてかもしれない。
毎日車で通っている道だし、スマホの地図のアプリもあるから迷子になったりすることはないけど。
そうだ、これだったら後期から先生と一緒に大学行かなくても大丈夫かも。
一人で通えるようになれば、好きに登下校できる。
明らかに高そうな住宅が立ち並ぶなかを、きれいな人たちが歩いている。
子どもでさえも俺よりいい服を着てて、ちょっとだけ恥ずかしい気分。
あんまりファッションとか気にしてなかったけど、大学生だし、ちょっとくらいは気にした方がいいのかな。
あとで先生に相談してみよう。
先生はあんまりこだわりなさそう、に見えて、すごくおしゃれだ。
いつもたいていグレーのスーツを着てるけど、夏になってジャケットを脱ぐと、そのセンスがよくわかる。
毎日、違うワイシャツ着てる気がする。一般人が着こなすにはハードルが高すぎる柄物のシャツとか。ネクタイもいっぱい持ってるみたいだし。
仕事がない日も、きれいな服をよく着てる。
黄色とかどこの国なのかわかんないような柄とかも、先生が着るとかっこよく見えるから不思議だ。そのままモデルみたいにランウェイ歩いてても違和感ないと思う。姿勢良いし。
よく考えてみれば、広瀬もいつもおしゃれな服を着てる。
髪の毛もマッシュ?とかいう、今の流行りの髪型っぽいし。
全身黒とか、俺がやったら絶対喪服になるな…。
やっぱり、姿勢がいいのが大事なのかな。
ちょっと意識してみよう。
そうこうしてるうちに駅に着く。
まだ完全に夏休みじゃないし平日だっていうのもあって、そこまで混んでない。
ICカードを使って改札を通ったところで、誰かに呼び止められる。
「あれ、永瀬?」
振り返ると、そこには広瀬が立っていた。
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