40 / 52
40:確定申告
しおりを挟むそうそう。
会社役員ともなると、会社員の年末調整だけでなく別途確定申告をしなければならない。
会社からの役員報酬とは別に、持ち株に対する配当金も受け取っており、社長も専務もさらに別で投資をされているので、収入が複数になる。
詳しい税務処理については税理士の仕事になるが、俺も次の春には確定申告を受けなければならないのだ。
役員になって役員報酬を貰い、さらに配当を受けるというだけでなく、俺は仮想通貨の売却益があるからな。
しっかり申告しておかないと怖い人達に痛くない腹を探られるハメになってしまう。
とはいえ確定申告かー、何となく苦手意識があるんだよな。
などと考えていると、ようやく社長が出社された。
「おはようございます」
「……おはよう」
朝だからか、いつも以上にテンションの低い社長。
いや、ノリノリで挨拶されても困るけども。
この間は投資の話を振って失敗したから、今日は会社の話を振るべきかな。
いや、俺が会話のきっかけを作らんとダメなの?
仕事のやり方は見て盗めとか言うけど、社長ってばここで雑誌を眺めてるだけなんだもの。
これだけ見てたら社長って楽ちんな仕事なんだなぁって勘違いしそうになるわ。
あ、そうだ。
このデスクに溜まってる報告書を渡して、どうやって見ればいいのか教えてもらうというのはどうだろうか。
なかなかいい手のような気がする。
「社長、各部署からの報告書が来ていました」
ソファーへ書類の束を持って行って、テーブルに置く。
「そうか、後で目を通すよ」
後じゃなくて今見ろよ。
ここで引き下がってはならん。
俺の方から一歩踏み込まないといつまで経っても経営について学ぶ事が出来ない。
「先に読ませてもらったのですが、いくつか質問をしたい事があるので教えて頂けませんか?」
これだけ言ったんだ。
社長もニコニコ顔で俺に社長の仕事というものを教えてくれるはずだ。
ほら、読んでいた雑誌から目を話して俺を見て、口を開いたぞ。
「もうすぐ得意先が工場へ立ち会いに来られる。
話は後にしてくれ」
あ、そうっスか。
はいー。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる