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第二章:転生先は並行世界
屋敷脱出
伊吹は京香に言われるがまま、後を追いかける。
伊吹達は万が一屋敷に危害を及ぼす人物が来た場合、どのように対処するかは何度も避難訓練を行っていた。
地下室には外へ逃れる為の隠し扉が用意されており、数日分の着替えや現金などが入った旅行鞄が用意されているのだ。
伊吹は京香から不審人物達が無理矢理屋敷内に押し入って来た事を告げられ、京香と共に外へ逃れる決断をした。
京香がスマートフォンで近隣の住民へ連絡を取り、近くまで車で迎えに来てもらうよう段取りを付けた。
不審人物達が乗って来た車が、屋敷に停めてある三ノ宮家の自家用車を塞ぐように停められていたので、車を出す事が出来なかったのだ。
(まるで映画みたいだな、ちょっとワクワクしている自分がいる)
伊吹は地下室で普段着の甚平から白いタートルネックとジーンズに着替えた。
パッと見て男性であると分かりにくい事を優先している為、季節外れではあるがそれを着るしかなかった。
京香も侍女服を脱ぎ捨ててワイシャツとスラックスへ着替えた。
伊吹は久々に京香の下着姿を目にし、どうしようもなく胸の鼓動が高鳴るのを感じた。
本来であれば警察署へ駆け込むべき状況であるが、不審人物達が警察官を連れてやって来たので判断が難しい。万が一警察署で侍女である京香の方に疑いを持たれれば、伊吹を守る者がいなくなってしまう。
京香は近くで身を隠すよりも、一度大きく距離を離してから身を隠す方が良いという判断を下した。
「東京へ向かいましょう。男性保護省は現時点でどこまで信頼が置けるか分かりかねますが、少なくとも橘香と美哉は信頼出来ます。
状況が整理出来るまで、都内の安全なホテルに身を隠しましょう」
京香は伊吹にスマートフォンの電源を落とすように言った。京香と美子のスマートフォンには、伊吹の現在地が分かるようにアプリがインストールされている。万が一美子のスマートフォンが奪われた際、悪用されない為の対策だ。
伊吹は地下室を出て、京香の後ろを着いて行く。腰を屈めてゆっくり庭の隅を歩いていると、屋敷の中から怒鳴り声が聞こえて来た。
「なりません、どうか耐えて下さい」
屋敷に残っている美子の身を案じ、戻ろうとする伊吹を京香が諭す。
何よりも伊吹が一番大事。祖母である心乃春の遺言を思い出し、伊吹は奥歯を噛み締めて歩みを進める。
屋敷の駐車場から衝撃音が響く。それも複数。
「これで襲撃犯の車も動かせないわ!」
「絶対に殺すな! 伊吹様に穢れが伝染る」
「可能なら出血も控えるように」
「屋敷が汚れるものね」
「あの警察官達は?」
「無力化済みよ」
聞き覚えのある声が伊吹の背中越しに届く。ご近所さん達が駆け付けたようだ。まるで訓練された部隊のように落ち着いている。
「生まれて来た事を後悔させてやる」
「伊吹様には指一本触れさせない」
「全部の指を折ればいいわね」
「ついでに両足もいっとこう」
「殺せ殺せ殺せ!」
「だからダメだってば」
(ご近所さん、だよな……?)
そんなやり取りに驚きつつ、伊吹は屋敷の敷地から出て、さらに進む。
屋敷から少し離れた場所で停車している車が見えた。運転席に誰かが乗っており、京香の姿を確認して合図を送っている。
京香は伊吹に先を行かせ、後ろを振り返りながら車へと近付く。
「いたぞ!」
二人が車に乗り込む直前で襲撃者に気付かれてしまい、京香は伊吹を後部座席へ押し込む。
「ダメだ! 置いていけない!!」
「すぐに追いつきますから!」
車から降りようとする伊吹に首を振り、運転手に早く車を出すよう叫んだ。すぐに車は急発進し、山道を下って行った。
祖母の死。屋敷への襲撃。身を挺して自分を逃がしてくれた侍女達。荒ぶるご近所さん達。
(大丈夫、これが映画なら絶対にハッピーエンドのはずだ……)
伊吹達は万が一屋敷に危害を及ぼす人物が来た場合、どのように対処するかは何度も避難訓練を行っていた。
地下室には外へ逃れる為の隠し扉が用意されており、数日分の着替えや現金などが入った旅行鞄が用意されているのだ。
伊吹は京香から不審人物達が無理矢理屋敷内に押し入って来た事を告げられ、京香と共に外へ逃れる決断をした。
京香がスマートフォンで近隣の住民へ連絡を取り、近くまで車で迎えに来てもらうよう段取りを付けた。
不審人物達が乗って来た車が、屋敷に停めてある三ノ宮家の自家用車を塞ぐように停められていたので、車を出す事が出来なかったのだ。
(まるで映画みたいだな、ちょっとワクワクしている自分がいる)
伊吹は地下室で普段着の甚平から白いタートルネックとジーンズに着替えた。
パッと見て男性であると分かりにくい事を優先している為、季節外れではあるがそれを着るしかなかった。
京香も侍女服を脱ぎ捨ててワイシャツとスラックスへ着替えた。
伊吹は久々に京香の下着姿を目にし、どうしようもなく胸の鼓動が高鳴るのを感じた。
本来であれば警察署へ駆け込むべき状況であるが、不審人物達が警察官を連れてやって来たので判断が難しい。万が一警察署で侍女である京香の方に疑いを持たれれば、伊吹を守る者がいなくなってしまう。
京香は近くで身を隠すよりも、一度大きく距離を離してから身を隠す方が良いという判断を下した。
「東京へ向かいましょう。男性保護省は現時点でどこまで信頼が置けるか分かりかねますが、少なくとも橘香と美哉は信頼出来ます。
状況が整理出来るまで、都内の安全なホテルに身を隠しましょう」
京香は伊吹にスマートフォンの電源を落とすように言った。京香と美子のスマートフォンには、伊吹の現在地が分かるようにアプリがインストールされている。万が一美子のスマートフォンが奪われた際、悪用されない為の対策だ。
伊吹は地下室を出て、京香の後ろを着いて行く。腰を屈めてゆっくり庭の隅を歩いていると、屋敷の中から怒鳴り声が聞こえて来た。
「なりません、どうか耐えて下さい」
屋敷に残っている美子の身を案じ、戻ろうとする伊吹を京香が諭す。
何よりも伊吹が一番大事。祖母である心乃春の遺言を思い出し、伊吹は奥歯を噛み締めて歩みを進める。
屋敷の駐車場から衝撃音が響く。それも複数。
「これで襲撃犯の車も動かせないわ!」
「絶対に殺すな! 伊吹様に穢れが伝染る」
「可能なら出血も控えるように」
「屋敷が汚れるものね」
「あの警察官達は?」
「無力化済みよ」
聞き覚えのある声が伊吹の背中越しに届く。ご近所さん達が駆け付けたようだ。まるで訓練された部隊のように落ち着いている。
「生まれて来た事を後悔させてやる」
「伊吹様には指一本触れさせない」
「全部の指を折ればいいわね」
「ついでに両足もいっとこう」
「殺せ殺せ殺せ!」
「だからダメだってば」
(ご近所さん、だよな……?)
そんなやり取りに驚きつつ、伊吹は屋敷の敷地から出て、さらに進む。
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京香は伊吹に先を行かせ、後ろを振り返りながら車へと近付く。
「いたぞ!」
二人が車に乗り込む直前で襲撃者に気付かれてしまい、京香は伊吹を後部座席へ押し込む。
「ダメだ! 置いていけない!!」
「すぐに追いつきますから!」
車から降りようとする伊吹に首を振り、運転手に早く車を出すよう叫んだ。すぐに車は急発進し、山道を下って行った。
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