転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界に彩りを

なつのさんち

文字の大きさ
160 / 243
第十章:イチャイチャほのぼの

宮坂燈子

「ちょっと、これ見てよ!」

 燈子とうこ伊吹いぶきにスマートフォンの画面を突き付ける。
 そこに表示されているのはYoungNatterヤンナッター安藤乃絵流あんどうのえるタグで呟かれたイラスト。
 デフォルメされたドット絵お面の副社長に、「ね、ちゃんと編集してくれるよね? ね?」と追い縋っている妹ちゃんというキャラクター。

 伊吹が見る限り非常に可愛らしく描かれており、素敵なファンアートに仕上がっている。

「めっちゃ可愛いじゃん。いいねした?」

「してません! だから編集してって言ったのに!!」

 ぷんすかと怒っている事を強調する燈子。まさにこのイラストの通りなのだが、本人は何を不満に思っているのだろうかと伊吹は苦笑する。

「もしかして本物の方が可愛いのにっていう理由で怒ってる?」

「ちーがーいーまーすー!!」

 ほっぺたを膨らましてさらに怒ってますという強調度合いが増す。
 伊吹はそんな燈子を抱き寄せる。

「じゃあどうしたらいい?
 どうしたら機嫌を直してくれる?
 キスする?
 おっぱい揉む?」

 膨らんでいた頬はすぐに赤く染まり、あわあわと口を震わせる。

「とこちゃんはかーいいからね、大丈夫だよ?
 誰が何と言おうと僕のお嫁さんはかぁいいんだよ?
 何の心配もいらないだよ?
 だって、とってもとってもとーっても、可愛いからね」

 顔を覗き込み、自分以外が視界に入らないようにしながら、燈子の目を見て可愛い可愛いと口にする伊吹。
 燈子はどこに見て良いか分からず、ずっと目が泳ぎ続けている。

「とこちゃん、僕の目を見て。僕を見てくれないと嫌だよ」

 伊吹は燈子の頬に手を当て、じっと燈子の目を見つめる。
 燈子も頑張って、伊吹に目線を合わせようと頑張っているが、照れきっている今では目が言う事を聞かない。

「大丈夫、ゆっくり息を吸って、ゆーっくり吐くんだ」

 すーっと息を吸い、ふーっと吐く。そして、意を決して伊吹の目を見つめ返す。
 その瞬間、伊吹が燈子の唇を奪った。

「ん~~~!!」

 見つめ合ったまま重なる唇。垂れ下がった伊吹の目尻。鼻を抜けるコーヒーの香り。舌に感じる僅かな苦さ。ほんのりと甘いチョコの味。
 熱く、湿った感触。

「バカーーー! もうっ、ホントにもうっ、お兄さんは!!」

「あれ? とこちゃん、お兄さんって言わないって言ったよね?」

 言い返されて、言葉に詰まる燈子。
 婚約者となり、さらには肌を重ねた際に決めた伊吹の呼び名。
 自分の方が年上なのだから、いつまでもお兄さんと言い続けるのはどうかと思うと言い出したのは自分の方だ。

「……いっくんはずるむっ!?」

 燈子が呼び直したのを確認して、さらに唇を貪るように奪う伊吹。
 親愛のキスではなく性衝動としての粘膜接触に、たまらず燈子が声を上げる。

「ほら、声まで可愛い。全部可愛いよ、大好きだからね?」

 ようやく燈子を開放し、ニコニコと燈子の頭を撫でる伊吹。
 完全に手の平で転がされている事に気付き、燈子はされるがままになる。

「ホントに可愛いと思ってる?」

「もちろん。僕は幸せものだ。こんなに可愛い奥さんがいるんだから」

 伊吹は改めて燈子を膝に乗せ、左手で肩を抱きながら右手で頬に触れたり、耳たぶを摘まんだり、二の腕を撫でたりしている。

「いっくんと出会ってから私の人生ががらりと変えられちゃった。責任取ってね?」

 燈子は現役の美大生であり、将来はイラスト関係の仕事に就くつもりだった。
 そして人工授精の順番が回って来たら子供を授かり、藍子と助け合いながら子育てをするもんだと思っていたのだ。

 今では三ノ宮家さんのみやけの第二夫人予定であり、宮坂家みやさかけでいうところの福乃ふくののような役割を期待されている。

 福乃は自らの娘である紫乃しのに燈子の補佐をするよう言いつけている。
 燈子からすれば紫乃は腹違いの姉であり、年も六歳上の紫乃を従えるなど思ってもみなかったのだ。
 紫乃の方は、心中は別としてもすっかり燈子を奥様として敬う姿勢を見せており、燈子は未だその関係性に慣れていない。

「もちろんだよ。一緒に幸せになろう。何も問題ないよ。
 全部嫌になったら逃げ出して、田舎の屋敷でゆっくり暮らそう」

 伊吹に限ってそれはないな、と思う燈子。例え田舎に引っ込んだとしても、じっとはしていられないのではないだろうか。

 結局は自分が、自分達が伊吹を支えてやらないとならない。
 伊吹の負担になるような事は絶対しない。燈子は改めてそう誓う。

「全部が嫌にならないよう、一つずつ向かいあって考えていこう。
 急がず慌てず、丁寧に進めていこう。
 大丈夫、いっくんなら出来るよ」

「ありがとう。いつまでも隣にいてくれる?」

「もちろん。嫌だって言われてもひっついてるからね!」

 二人は笑い合い、また唇を重ねるのだった。
感想 23

あなたにおすすめの小説

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?

ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。 それは——男子は女子より立場が弱い 学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。 拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。 「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」 協力者の鹿波だけは知っている。 大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。 勝利200%ラブコメ!? 既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

貞操逆転世界に転生してイチャイチャする話

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が自分の欲望のままに生きる話。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

この世界、貞操が逆で男女比1対100!?〜文哉の転生学園性活〜

妄想屋さん
SF
気がつけば、そこは“男女の常識”がひっくり返った世界だった。 男は極端に希少で守られる存在、女は戦い、競い、恋を挑む時代。 現代日本で命を落とした青年・文哉は、最先端の学園都市《ノア・クロス》に転生する。 そこでは「バイオギア」と呼ばれる強化装甲を纏う少女たちが、日々鍛錬に明け暮れていた。 しかし、ただの転生では終わらなかった―― 彼は“男でありながらバイオギアに適合する”という奇跡的な特性を持っていたのだ。 無自覚に女子の心をかき乱し、甘さと葛藤の狭間で揺れる日々。 護衛科トップの快活系ヒロイン・桜葉梨羽、内向的で絵を描く少女・柊真帆、 毒気を纏った闇の装甲をまとう守護者・海里しずく…… 個性的な少女たちとのイチャイチャ・バトル・三角関係は、次第に“恋と戦い”の渦へと深まっていく。 ――これは、“守られるはずだった少年”が、“守る覚悟”を知るまでの物語。 そして、少女たちは彼の隣で、“本当の強さ”と“愛し方”を知ってゆく。 「誰かのために戦うって、こういうことなんだな……」 恋も戦場も、手加減なんてしてられない。 逆転世界ラブコメ×ハーレム×SFバトル群像劇、開幕。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!