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赤ちゃんは泣き叫ぶ
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俺の前世、最期の記憶はカラオケである。
現役で志望する大学に入る事が出来ず、浪人をしていた俺。
朝から晩まで勉強漬けの毎日。
身体を動かす事なく常に同じ体勢で机に向かい、睡眠時間もしっかりとは取らず、意地になって受験勉強だけをしていた。
そんな俺の二ヶ月に一回の楽しみが一人カラオケだったのだ。
声を出す、汗を流す、感情を発露する。
体内から何かを出すというのはとても気持ちの良いものだ。
フリータイムで入り、気が済むか声が枯れて出なくなるまで歌い続けた。
入試本番まで残り僅か。
最後のお楽しみのつもりが、本当の最期のお楽しみになってしまったらしい。
立ち上がり、拳を握り締め、腹の底から声を出し歌っていたら突然目の前が真っ暗になり、そこで記憶が途切れた。
多分あの時脳内の血管が破裂したんだろうな、かなり不規則で不摂生な生活をしていたから。
両親、そしてカラオケの店員さんには申し訳のない事をした。
そこから少し時間の感覚が飛ぶ。
自分がボーッとしていた事にやっと気付いた、と言う表現が近い気がする。
俺は天井を見上げていて、手と足が何だか動かしにくくて、お尻が何だかむずむずしていた。
お米を炊いたようなふんわかした匂いを感じて、無理矢理に動かした手の指先、爪で頬を引っ掻いてしまって、何だか突然悲しくなって。
俺は大声で泣き叫んでしまった。
『どこだよここは!?
何で手と足が動かないんだよ!?
んでケツ気持ち悪いし!!
ついでにほっぺた痛てぇ!!』
いくら叫んでも自分の声が聞こえない。
聞こえるのはフニャフニャという情けない声だけ。
それが自分の声だなんて、すぐに気付ける訳ないじゃないか。
そんなフニャフニャな情けない声を聞き付けてか、上品そうな女の人が現れた。
ゆったりとした白いドレスを来た赤毛の綺麗な白人さんだ。
そんなか弱そうな人が俺をひょいと抱き上げたんだ。
超ビビった。
俺を軽々と抱き上げるこの女の人。
綺麗だけど、俺との体格差を考えると巨人と言って差し支えない。
殺される、最悪食われる。
恐怖が心の中を染め上げた。
『いやいや、えっ!? 怖い怖い怖い~~~!!』
カラオケで鍛え上げた喉であらん限りの声を振り絞って叫んだ。
その瞬間、俺が見上げていた天井が吹き飛んだ。
天井だけでなく壁も家具も部屋ごと全て。
大丈夫だったのは、俺を抱き上げた女の人だけだった。
目をまん丸にして驚いているのが分かったが、俺はそのまままた気を失ってしまったのだった。
現役で志望する大学に入る事が出来ず、浪人をしていた俺。
朝から晩まで勉強漬けの毎日。
身体を動かす事なく常に同じ体勢で机に向かい、睡眠時間もしっかりとは取らず、意地になって受験勉強だけをしていた。
そんな俺の二ヶ月に一回の楽しみが一人カラオケだったのだ。
声を出す、汗を流す、感情を発露する。
体内から何かを出すというのはとても気持ちの良いものだ。
フリータイムで入り、気が済むか声が枯れて出なくなるまで歌い続けた。
入試本番まで残り僅か。
最後のお楽しみのつもりが、本当の最期のお楽しみになってしまったらしい。
立ち上がり、拳を握り締め、腹の底から声を出し歌っていたら突然目の前が真っ暗になり、そこで記憶が途切れた。
多分あの時脳内の血管が破裂したんだろうな、かなり不規則で不摂生な生活をしていたから。
両親、そしてカラオケの店員さんには申し訳のない事をした。
そこから少し時間の感覚が飛ぶ。
自分がボーッとしていた事にやっと気付いた、と言う表現が近い気がする。
俺は天井を見上げていて、手と足が何だか動かしにくくて、お尻が何だかむずむずしていた。
お米を炊いたようなふんわかした匂いを感じて、無理矢理に動かした手の指先、爪で頬を引っ掻いてしまって、何だか突然悲しくなって。
俺は大声で泣き叫んでしまった。
『どこだよここは!?
何で手と足が動かないんだよ!?
んでケツ気持ち悪いし!!
ついでにほっぺた痛てぇ!!』
いくら叫んでも自分の声が聞こえない。
聞こえるのはフニャフニャという情けない声だけ。
それが自分の声だなんて、すぐに気付ける訳ないじゃないか。
そんなフニャフニャな情けない声を聞き付けてか、上品そうな女の人が現れた。
ゆったりとした白いドレスを来た赤毛の綺麗な白人さんだ。
そんなか弱そうな人が俺をひょいと抱き上げたんだ。
超ビビった。
俺を軽々と抱き上げるこの女の人。
綺麗だけど、俺との体格差を考えると巨人と言って差し支えない。
殺される、最悪食われる。
恐怖が心の中を染め上げた。
『いやいや、えっ!? 怖い怖い怖い~~~!!』
カラオケで鍛え上げた喉であらん限りの声を振り絞って叫んだ。
その瞬間、俺が見上げていた天井が吹き飛んだ。
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大丈夫だったのは、俺を抱き上げた女の人だけだった。
目をまん丸にして驚いているのが分かったが、俺はそのまままた気を失ってしまったのだった。
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