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第六章:VS魔王国
42:墓標
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魔王城内部。薄暗くじめじめしている、訳でもないようだ。清潔感漂う城内を、ディアーブルの案内で進んで行く。
大きな階段を登り、行き着いた先は大広間。いや、謁見の間だろうか。謁見する相手であるはずの魔王の案内で謁見の間に着く。
そして案内された僕は、魔族の天敵であるはずの勇者と呼ばれる存在。
謁見の間、いやここに至るまでの道中に、本来であれば魔王四天王であったり、魔族軍の将軍や噛ませ犬的なザコキャラがいてもいいような気がするんだけれども。しかしザコキャラどころか敵キャラとエンカウントする事がない為に戦闘が起こりようがない状態だ。何せ、魔王自ら城内を案内しているのだから。
謁見の間をそのまま通り過ぎ、奥の扉を開けばそこは玉座の間だった。
本来座って待っているべき魔王はここに。そして玉座には誰も座っていない。
玉座後方、少し離れたその場所に、床から天井に伸びた太い石柱があった。空気の壁で遮断された結界、その内部は妖光という言葉を思わせる、光と闇が交互にゆらゆらと揺れる妖しい光に包まれた石柱。
光、大地、そして風の精霊の力を用いて、闇の精霊を封じる為に作られたのだろう。見た目は前世日本の墓標、それに一番近く感じる。
墓標の影、その先からぬぬぬっと闇の精霊、そして僕の前世であるらしいスタニスラスが姿を現した。これは実体ではなく、言うなれば3D映像のようなものだ。闇の精霊、フォンセはスタニスラスにお姫様抱っこをされている。
「待っておったぞ、今世の勇者よ。さぁて、早ようスタニスラスにその魂を返してもらおうか」
スタニスラスの首に回していた左手を解き、僕に向けて手首を振るフォンセ。漆黒の闇が僕を襲うが、光の属性を持たせた魔法障壁にぶち当たり、蒸発するかのように霧散した。恐らく放たれた闇が本気で僕を害しようという気はなかっただろう。あれか、挨拶代りってヤツ?
ならこちらからもご挨拶を。光、大地、風、それぞれの力を用いて作れらた封印の墓標に対して魔力を注ぎ込む。これで300年の間に経年劣化していたであろう封印を強化する事が出来た。
「いやいやいや! そこはブチ切れて勢い余ってこの封印を壊した挙句我らを解き放つ場面であったろう!!」
あ、狙いはそうだったのね。どうでもいいけど。
ディアーブルに向き直り、その表情を確認する。緊張はしているものの、自分の任務は終わった、と感じられる顔付き。
ここからは対魔王戦ではなく対大魔王戦という事か。と、その前に。
「なっ!? うっ……」
ディアーブルの肩に手を置き、木が大地に根を張り水分を吸収するイメージでディアーブルの魔力を吸い取る。念の為、戦闘において魔法が使えない程度までがっつりと魔力を奪っておく。
予想したよりも魔力が底を尽くのが早かったような気がするが、まぁいいか。急激な魔力喪失により立ちくらみのような形でディアーブルがその場に倒れ込んだ。
改めて封印の墓標に向き直り、闇の精霊であるフォンセに問い掛ける。
「で、闇の精霊は僕をここに呼び出して、何が目的なんだろうか」
「いや、だから怒らせてこの封印を破壊させようと思っておったと……」
「そっか、じゃあ用事は終わったから帰っていい?」
あの封印がどれだけ保たれるのかは不明だけれど、少なくとも300年は大丈夫だろう。
「ゆ、勇者殿、何卒、何卒闇の精霊様を引き取っては頂けないでしょうか……」
床に座ったままのディアーブルが口を開く。引き取る? 何を言っているんだこいつは。
「私は魔王だ王国への侵略だと、精霊様にこき使われるのにはもう耐えられません!
そそのかされた別勢力が暴走せぬよう尽力して来たつもりですが、貴国の学園都市襲撃や、ましてや国王の暗殺未遂まで……。
もう耐え切れませぬ! 勇者殿が引き取って下さるか消滅させて下さるか、それまで勇者殿から離れませぬ!!」
そう泣き喚きながら、ディアーブルが僕の足に縋り付いて来た。うわぁ、魔王のイメージと全然違う。
これでは捨てられそうになっているアラサー女子だ。
「我ら魔族は生まれながらに闇の精霊様より加護を受けておる為、魔力保有量が多いのです。ですが、闇の精霊様の闇は光と影の闇だけでなく生きる者の陰、すなわち闇をより強くさせる作用ももたらされるのです。
その為に、我ら魔族は遥か昔より人族やドラゴン族との争いが絶えませんでした。自らと違う種との共存など出来ぬ、と。他種を信用する事が出来なかったのです。
しかし先代勇者殿、そして彼に加護をお与えになった精霊様達の尽力により闇の精霊様が封印されました。そのお陰で闇の精霊様のお力が弱まり、何とかその闇に抗える思考を保つ事が出来るようになったのです!
本心では、本心から、他種族との争いなどしとうはないのです。どうか、闇の精霊様から我らを解放して頂きたい!!」
ディアーブルが訴える内容は分かった、というか理解したのだけれど、だからと言って生まれながら加護を与えられているのを何とかする事って可能なのだろうか。
ってか長きに渡って国家間で敵対していた理由があっさりと判明した訳だけれど、結局は闇の精霊のせい、ってだけで事は治まるのだろうか。
そんな事を考えながらアラサー女子をどうしようかと戸惑っていると、アンジェルから念話が発せられた。
『リュー様、私は命の精霊様よりご加護を賜った為、あの封印の向こうのスタニスラス様が本物である事を確認致しました。
恐らく、転生する前に魂が少し残ってしまっていたようです』
え、そんな事ってある? 魂が少しだけ残ってるって言われても想像が出来ん。
そもそもスタニスラスの最期を詳しく聞いていない。転生の儀、いや再転生の儀だったか? それを行ったのはこの玉座だったのだろうか。
『再転生の儀を行ったのはここなんだよね? 儀式に立ち会ったのは誰なの?』
『はーい』
『我此処に有り』
『あたしー☆』
やっぱりこの3柱、精霊シスターズが関わっていた訳か。
『スタニスラスの魂を逃がす? 為に再転生の儀をしたのは理解した。で、魂を逃がした理由は、魔王討伐の際にフォンセから加護を与えられた為と考えていいのかな?』
『さっすがお兄ちゃん☆ あったまいい~♪』
そんな風にクーに褒められても全く嬉しくないが。
ともあれ、勇者スタニスラスは魔王討伐の度に接触する闇の精霊フォンセの影響を受け、少しずつ闇に呑まれて行ったのだろう。
その魂を逃がす、そしてフォンセを封じる為に、再転生をしつつ身体のみフォンセ共々封印された、と。
しかし何故かスタニスラスの身体に魂の残滓ともいうべきものが残っており、それで僕がスタニスラスであった時の記憶がない、という事だろうか。
で、こっから僕はどうすればいいんですか?
割と命懸けの戦闘を覚悟して魔王国まで飛んで来たんだけれど。
「どうか、どうか我らを解放して下さいませ!!」
うるさい! ってかそんなとこにグリグリすんな!!
『殺りますか?』
怖い、婚約者が怖い。これも闇の精霊のせいか……?
大きな階段を登り、行き着いた先は大広間。いや、謁見の間だろうか。謁見する相手であるはずの魔王の案内で謁見の間に着く。
そして案内された僕は、魔族の天敵であるはずの勇者と呼ばれる存在。
謁見の間、いやここに至るまでの道中に、本来であれば魔王四天王であったり、魔族軍の将軍や噛ませ犬的なザコキャラがいてもいいような気がするんだけれども。しかしザコキャラどころか敵キャラとエンカウントする事がない為に戦闘が起こりようがない状態だ。何せ、魔王自ら城内を案内しているのだから。
謁見の間をそのまま通り過ぎ、奥の扉を開けばそこは玉座の間だった。
本来座って待っているべき魔王はここに。そして玉座には誰も座っていない。
玉座後方、少し離れたその場所に、床から天井に伸びた太い石柱があった。空気の壁で遮断された結界、その内部は妖光という言葉を思わせる、光と闇が交互にゆらゆらと揺れる妖しい光に包まれた石柱。
光、大地、そして風の精霊の力を用いて、闇の精霊を封じる為に作られたのだろう。見た目は前世日本の墓標、それに一番近く感じる。
墓標の影、その先からぬぬぬっと闇の精霊、そして僕の前世であるらしいスタニスラスが姿を現した。これは実体ではなく、言うなれば3D映像のようなものだ。闇の精霊、フォンセはスタニスラスにお姫様抱っこをされている。
「待っておったぞ、今世の勇者よ。さぁて、早ようスタニスラスにその魂を返してもらおうか」
スタニスラスの首に回していた左手を解き、僕に向けて手首を振るフォンセ。漆黒の闇が僕を襲うが、光の属性を持たせた魔法障壁にぶち当たり、蒸発するかのように霧散した。恐らく放たれた闇が本気で僕を害しようという気はなかっただろう。あれか、挨拶代りってヤツ?
ならこちらからもご挨拶を。光、大地、風、それぞれの力を用いて作れらた封印の墓標に対して魔力を注ぎ込む。これで300年の間に経年劣化していたであろう封印を強化する事が出来た。
「いやいやいや! そこはブチ切れて勢い余ってこの封印を壊した挙句我らを解き放つ場面であったろう!!」
あ、狙いはそうだったのね。どうでもいいけど。
ディアーブルに向き直り、その表情を確認する。緊張はしているものの、自分の任務は終わった、と感じられる顔付き。
ここからは対魔王戦ではなく対大魔王戦という事か。と、その前に。
「なっ!? うっ……」
ディアーブルの肩に手を置き、木が大地に根を張り水分を吸収するイメージでディアーブルの魔力を吸い取る。念の為、戦闘において魔法が使えない程度までがっつりと魔力を奪っておく。
予想したよりも魔力が底を尽くのが早かったような気がするが、まぁいいか。急激な魔力喪失により立ちくらみのような形でディアーブルがその場に倒れ込んだ。
改めて封印の墓標に向き直り、闇の精霊であるフォンセに問い掛ける。
「で、闇の精霊は僕をここに呼び出して、何が目的なんだろうか」
「いや、だから怒らせてこの封印を破壊させようと思っておったと……」
「そっか、じゃあ用事は終わったから帰っていい?」
あの封印がどれだけ保たれるのかは不明だけれど、少なくとも300年は大丈夫だろう。
「ゆ、勇者殿、何卒、何卒闇の精霊様を引き取っては頂けないでしょうか……」
床に座ったままのディアーブルが口を開く。引き取る? 何を言っているんだこいつは。
「私は魔王だ王国への侵略だと、精霊様にこき使われるのにはもう耐えられません!
そそのかされた別勢力が暴走せぬよう尽力して来たつもりですが、貴国の学園都市襲撃や、ましてや国王の暗殺未遂まで……。
もう耐え切れませぬ! 勇者殿が引き取って下さるか消滅させて下さるか、それまで勇者殿から離れませぬ!!」
そう泣き喚きながら、ディアーブルが僕の足に縋り付いて来た。うわぁ、魔王のイメージと全然違う。
これでは捨てられそうになっているアラサー女子だ。
「我ら魔族は生まれながらに闇の精霊様より加護を受けておる為、魔力保有量が多いのです。ですが、闇の精霊様の闇は光と影の闇だけでなく生きる者の陰、すなわち闇をより強くさせる作用ももたらされるのです。
その為に、我ら魔族は遥か昔より人族やドラゴン族との争いが絶えませんでした。自らと違う種との共存など出来ぬ、と。他種を信用する事が出来なかったのです。
しかし先代勇者殿、そして彼に加護をお与えになった精霊様達の尽力により闇の精霊様が封印されました。そのお陰で闇の精霊様のお力が弱まり、何とかその闇に抗える思考を保つ事が出来るようになったのです!
本心では、本心から、他種族との争いなどしとうはないのです。どうか、闇の精霊様から我らを解放して頂きたい!!」
ディアーブルが訴える内容は分かった、というか理解したのだけれど、だからと言って生まれながら加護を与えられているのを何とかする事って可能なのだろうか。
ってか長きに渡って国家間で敵対していた理由があっさりと判明した訳だけれど、結局は闇の精霊のせい、ってだけで事は治まるのだろうか。
そんな事を考えながらアラサー女子をどうしようかと戸惑っていると、アンジェルから念話が発せられた。
『リュー様、私は命の精霊様よりご加護を賜った為、あの封印の向こうのスタニスラス様が本物である事を確認致しました。
恐らく、転生する前に魂が少し残ってしまっていたようです』
え、そんな事ってある? 魂が少しだけ残ってるって言われても想像が出来ん。
そもそもスタニスラスの最期を詳しく聞いていない。転生の儀、いや再転生の儀だったか? それを行ったのはこの玉座だったのだろうか。
『再転生の儀を行ったのはここなんだよね? 儀式に立ち会ったのは誰なの?』
『はーい』
『我此処に有り』
『あたしー☆』
やっぱりこの3柱、精霊シスターズが関わっていた訳か。
『スタニスラスの魂を逃がす? 為に再転生の儀をしたのは理解した。で、魂を逃がした理由は、魔王討伐の際にフォンセから加護を与えられた為と考えていいのかな?』
『さっすがお兄ちゃん☆ あったまいい~♪』
そんな風にクーに褒められても全く嬉しくないが。
ともあれ、勇者スタニスラスは魔王討伐の度に接触する闇の精霊フォンセの影響を受け、少しずつ闇に呑まれて行ったのだろう。
その魂を逃がす、そしてフォンセを封じる為に、再転生をしつつ身体のみフォンセ共々封印された、と。
しかし何故かスタニスラスの身体に魂の残滓ともいうべきものが残っており、それで僕がスタニスラスであった時の記憶がない、という事だろうか。
で、こっから僕はどうすればいいんですか?
割と命懸けの戦闘を覚悟して魔王国まで飛んで来たんだけれど。
「どうか、どうか我らを解放して下さいませ!!」
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