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20 持たざる者
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咆哮と爆発音で目が覚める
「な、なに?!」
部屋がぐらりと揺れる。
部屋というよりも城そのものがゆれているようだった。
壁がきしみ、天井から細かな砂埃が落ちてくる。
不穏な気配に、ほかの聖女達のざわめきと足音が聞こえてくる
(何がおきたの?)
騎士が雪崩れ込んできた。
「すぐに神殿に避難を!!空から魔獣達が!!」
その一言に場の空気が凍り付いた。
空を覆っていた結界は綻び、ヒビが入り、
魔獣がそこからも入り込み、王都を襲っていた。
町や建物が崩れていく。
アリーシャはの胸に嫌な予感が走る
これは偶然なんかじゃない…?
騎士や、魔術師達が応戦する
しかしおびただしい数になすすべもない。
人は助けを求め神殿に集まる
聖女は精一杯の祈りで結界を再構築し
神殿を守る。
神殿には怪我した人で溢れていた。
アリーシャも何かできることがないかと、ケガした子供たちに手を翳す
しかし彼女から出るのは、弱弱しい光だけだった。
「…ごめんなさい…」
思わず小さく呟く。
「聖女の見習いかい?無理しなくていいんだよ。」
子供たちのお母さんにポンと肩を叩かれる。
アリーシャは言葉を返せず、小さく微笑むことしかできなかった。
喧噪の中に立ち尽くし、やがてその場をあとにした。
なにもできない自分が悔しくてたまらなかった。
じっとしていると言いようのない不安に押しつぶされそうだった。
アリーシャはふらりと足を動かす
着いたのは神殿の最上階のバルコニーだった。
風が強く吹き抜け、髪を揺らす。
ここからは、王都が一望できる。
アリーシャはここからの景色が好きだった。
陽の光にきらめく屋根、石畳を行き交う人々、笑い声
まるで一枚の絵画の様な美しさだった
ーーでも、今はどうだろう。
遠くに黒い煙が幾筋も上がり、悲鳴声も風に乗って聞こえてくる。
焦げたにおいが鼻をつく…
( 嫌だ… )
やわらくこの国を包んでいた結界は、見る影もなくなかった。
ガラスのようにひび割れ、綻び始めていた…
( 何が聖女よ… )
いつかこの場所で
エルと話した事を思い出す。
『アリーシャの犠牲の上でなりたってる、幻想の国だよ』
(幻想でも良かった…)
『そんな言い方……誇らしいわ。私たちの祈りで皆が笑顔になれたら』
(誰かの役に立ててるそれだけでよかった…)
声が出なかった。涙すら出なかったーー。
この国が崩れていく…
それを止めることができない自分に
歯がゆさが残る
「な、なに?!」
部屋がぐらりと揺れる。
部屋というよりも城そのものがゆれているようだった。
壁がきしみ、天井から細かな砂埃が落ちてくる。
不穏な気配に、ほかの聖女達のざわめきと足音が聞こえてくる
(何がおきたの?)
騎士が雪崩れ込んできた。
「すぐに神殿に避難を!!空から魔獣達が!!」
その一言に場の空気が凍り付いた。
空を覆っていた結界は綻び、ヒビが入り、
魔獣がそこからも入り込み、王都を襲っていた。
町や建物が崩れていく。
アリーシャはの胸に嫌な予感が走る
これは偶然なんかじゃない…?
騎士や、魔術師達が応戦する
しかしおびただしい数になすすべもない。
人は助けを求め神殿に集まる
聖女は精一杯の祈りで結界を再構築し
神殿を守る。
神殿には怪我した人で溢れていた。
アリーシャも何かできることがないかと、ケガした子供たちに手を翳す
しかし彼女から出るのは、弱弱しい光だけだった。
「…ごめんなさい…」
思わず小さく呟く。
「聖女の見習いかい?無理しなくていいんだよ。」
子供たちのお母さんにポンと肩を叩かれる。
アリーシャは言葉を返せず、小さく微笑むことしかできなかった。
喧噪の中に立ち尽くし、やがてその場をあとにした。
なにもできない自分が悔しくてたまらなかった。
じっとしていると言いようのない不安に押しつぶされそうだった。
アリーシャはふらりと足を動かす
着いたのは神殿の最上階のバルコニーだった。
風が強く吹き抜け、髪を揺らす。
ここからは、王都が一望できる。
アリーシャはここからの景色が好きだった。
陽の光にきらめく屋根、石畳を行き交う人々、笑い声
まるで一枚の絵画の様な美しさだった
ーーでも、今はどうだろう。
遠くに黒い煙が幾筋も上がり、悲鳴声も風に乗って聞こえてくる。
焦げたにおいが鼻をつく…
( 嫌だ… )
やわらくこの国を包んでいた結界は、見る影もなくなかった。
ガラスのようにひび割れ、綻び始めていた…
( 何が聖女よ… )
いつかこの場所で
エルと話した事を思い出す。
『アリーシャの犠牲の上でなりたってる、幻想の国だよ』
(幻想でも良かった…)
『そんな言い方……誇らしいわ。私たちの祈りで皆が笑顔になれたら』
(誰かの役に立ててるそれだけでよかった…)
声が出なかった。涙すら出なかったーー。
この国が崩れていく…
それを止めることができない自分に
歯がゆさが残る
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