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第15話:ドキドキ初デート

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城下町は朝から出店が並び賑わっている。

夜には花火大会もあり、一日中人の姿が絶えることはない。


「あら姫様!おはようございます!」

「姫様うちの店でも買ってってくださいよー!」

「去年ご要望があった射的ですよ!如何ですか?」


今日もリューファは大人気で、あちこちから声が掛かる。


「ほれイケメンさんも!祭りといえばこの花を胸に飾るんだよ、着けていきな!」


国の花である太陽華サン・ソレイユの造花を渡されたリューファとルードヴィッヒは、それぞれ胸に挿して飾った。


「うふふ、お揃いね!」


子供の頃のように無邪気に笑う彼女の笑顔は眩してくて。

目を細めるルードヴィッヒ。

そんな二人を見守るミーナとジェネは、どれほど連れ回されても疲れひとつ見せないプロ根性を見せる。

体力の塊であるリューファは、昼食時に座るまであちこち歩き続けたのだ。

慣れていないルードヴィッヒは正直辛さもあったが、それを忘れるくらいリューファの愛らしさを独占できている事が嬉しかった。


「ねえルードヴィッヒ、このジュースを恋人同士で一緒に飲むと絶対離れないんですって!」

「そうなのですか。飲みにくいですし恋人同士ではありませんが」

「ねえルードヴィッヒ、ここの石を一つ拾って贈り合うと幸せのお守りになるんですって!」

「そうなのですか、どれでもよろしいのですか?」

「ねえルードヴィッヒ、メルルの占いは当たるって評判なのよ!結婚運占って貰いましょうよ!」

「構いませんが、運勢が最悪でも泣かないでくださいね」


話しかけ続けるリューファと、律儀に返事をするルードヴィッヒ。

ちなみに占いの結果は相性最高と出たが、顔見知りの占いなど当てにならないとルードヴィッヒに一蹴されてしまった。

そして日が暮れ始め、一通り屋台を見て回ったリューファはようやく満足したようで木陰で休息を取ることに。


「この後は花火ね、とっても楽しみだわ」

「そうですね…そういえば近くで見るのはこちらに来た最初の年以来です」


ギルファンに拾われた後、忙しい王に代わって王妃が色々な所へ連れ出してくれた。

リューファと共に花火を見たのも最初の年だけ、それ以来ルードヴィッヒは勉強に励んできたのだ。


「毎年誘っても来てくれないんだもん、執務室から見るのとは迫力が違うわよ」


城からもよく見えるけれど、距離があるため振動や火薬の匂いまではあまり感じられない。

リューファが毎年街に出て祭りに参加するのは、肌で感じたいからだ。


「やっと一緒に見れて嬉しいわ、本当に楽しみにしてたのよ」


満面の笑みを向けられ、ルードヴィッヒは胸に苦しさを感じる。


(なんだろうこれは。疲れ?それとも…)


恋愛なんて知らない。

大切な気持ち、可愛いと思う気持ちはあるけれど。

それを恋と呼ぶかどうか、誰か判断してくれたら良いのに。
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