アルメリア海賊団航海日誌〜そして少女は船に乗る〜

歌龍吟伶

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第3章〜人助け〜

第23話

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「おうお前!どんな事情があるか知らんが、気になるなら連絡してやれ!!」


船長の最もな言葉に、


「そ、それはそんなんだけどよ…借金抱えて面倒ごとも起こしちまって。顔向けできねえよ」


男はうなだれながら答える。

落ち込む男に先代船長は喝を入れた。


「馬鹿野郎!!お前親父なんだろ、責任持ってやれ!!ウジウジしたんじゃねえ!!」


「へ、へい…!!」


船長の迫力にマルクスは震え上がっていたが、頭を下げて礼を言う。


「ありがとうございます…すんません」


そして腕をまくり、ナイフの刺青を見せながら言った。


「あ、あの…ちゃんと家族に手紙書きます。でも、もしどこかで嫁と娘に会うようなことがあったら俺に会ったって伝えて貰えませんか」


ジーナ島のマルクスはここにいる。

そしてマルクスは深々と頭を下げてから、街中へと消えていった。

「確か娘っ子の名前は…エリーとか言っておったなあ」

サーシェスはそこまで覚えていた。


「エリー…!」


娘の名前も一致する、ほぼ間違いなくその男が父親だ。


「ありがとうございます!…あ、えっとはじめまして、私ミュフィと言います!」


ミュフィは礼を言ってから初対面であることを思い出した。

ぺこりとお辞儀をするミュフィ。

サーシェスは目を細めて彼女を眺める。


「“知っとる”よ、ヴィンから聞いとる。」


よろしくな。

それだけ言うとサーシェスは手元の本に目をやった。

もう話すことはないらしい。

ミュフィはもう一度礼を言い、ヴィンと部屋を後にした。

部屋の外で聞いていたジェイとイクスと合流する。


「十一年前か…俺がオヤジに拾われる少し前だな」


ヴィンがポツリと言った。


(拾われた…?)


そういえば彼のことを何も知らない…ミュフィは気になったが、今は聞く時ではない。

エリーには翌日報告することにして、今夜は寝ることにした。


「もう遅い、今夜は寝ろ」


「はい…おやすみなさい。ジェイさんとイクスさんも、付き合ってくださってありがとうございます」


ミュフィが礼を言うと、二人は何も言わずに軽く手を振って去って行った。

ミュフィはヴィンにも改めて礼を言い、寝室へ。

船の中、部屋数には限りがある。

女性船員は皆同じ部屋で寝起きしているため、寝ているみんなを起こさないように布団に潜り込んだ。


(…父さん…)


別れを言わず終いの父を思い出し、静かに涙を流しながら眠りにつくミュフィであった。
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