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第5章〜ライアン〜
第58話
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船に戻る、それを知らせる黄色の閃光弾を確認したシリウス達。
「よかった、解決したみたい!」
ハルシーナの軍勢が自分たちを無視して入国し、沖にいる海軍もまだ攻めて来ない。
「海軍の援軍もまだ見当たりません!」
鎖国中のハルシーナの海域は海軍すら立ち入り禁止のため、近場にいる海軍が少ないのが幸いした。
シリウスは船の下でケルパ軍を警戒していた船員達を呼び戻す。
「砲弾は通常の物に変更!絶対にアルバの特製なんて使わないこと!」
釘を刺すことも忘れない。
残念そうなアルバを戦線離脱させるため、医務室に押し込もうとしているところへヴィンたちが戻って来た。
「船長達が戻ってきました!」
「待たせたな、みんな無事か」
ヴィンは怪我人の有無を確認し、まだ特製爆弾を抱えて立っていたアルバを手招く。
「アイク達が酷い怪我だ、治療を頼む」
他の船員も加わり引き上げられたアイク達を見て、アルバは顔を顰めた。
「おやおや、随分手酷くやられましたね」
剥がされた爪はいずれ生えてくるが、潰された目は戻せない。
乱暴に折られた骨も完治は難しいだろう。
命だけは繋ぎ止めるべく、医務室へ運ばせた。
「ヴィン、このままだと海軍が集まってきちゃう」
「やむを得ないな…北を目指そう」
アルメリア海賊団は北の海域を避けてきた。
表向きの理由は流氷地帯などを避けたいから、しかし本当の理由はヴィンにある。
それを知るシリウスは心配したが、今は海軍を撒くことが先決だ。
動き出した海賊船を見て海軍も動く。
「逃がすな!」「砲弾用意!」「援軍はまだか?!」
砲弾を打ち込んでくる海軍に対し、
「煙幕でも張るか」
ヴィンは深刻に考えず指示を出す。
慌てて弾薬が入れ替えられ、そして放たれた大量の煙幕に海軍は慌てふためいた。
「うわぁ!!」「何も見えないぞ!」「卑怯者め!!」
卑怯も何も、海賊が正々堂々と戦うと思っているほうが間違いなのである。
ヴィンは肩をすくめ、ケルパ国の海域を抜けたら沈めてやれとシリウスに伝えその場を任せた。
ライアンはミュフィと共に地下室で休んでいる。
「…役立たずだな、俺は」
自傷気味に笑うライアンを、ミュフィは優しく撫で続けていた。
「ミュフィ、本当にごめん」
「いいよ、ビックリしたけど乱暴にしなかったもん」
船を離れたとき、泣きそうな顔で自分を引っ張るライアンにミュフィは抵抗しなかったのだ。
ミュフィの優しさに甘えることにして、ライアンはセシルとの思い出を語る。
部屋の外で聞いていたヴィンは、
「妹、か…」
一人小さく呟いた---
「よかった、解決したみたい!」
ハルシーナの軍勢が自分たちを無視して入国し、沖にいる海軍もまだ攻めて来ない。
「海軍の援軍もまだ見当たりません!」
鎖国中のハルシーナの海域は海軍すら立ち入り禁止のため、近場にいる海軍が少ないのが幸いした。
シリウスは船の下でケルパ軍を警戒していた船員達を呼び戻す。
「砲弾は通常の物に変更!絶対にアルバの特製なんて使わないこと!」
釘を刺すことも忘れない。
残念そうなアルバを戦線離脱させるため、医務室に押し込もうとしているところへヴィンたちが戻って来た。
「船長達が戻ってきました!」
「待たせたな、みんな無事か」
ヴィンは怪我人の有無を確認し、まだ特製爆弾を抱えて立っていたアルバを手招く。
「アイク達が酷い怪我だ、治療を頼む」
他の船員も加わり引き上げられたアイク達を見て、アルバは顔を顰めた。
「おやおや、随分手酷くやられましたね」
剥がされた爪はいずれ生えてくるが、潰された目は戻せない。
乱暴に折られた骨も完治は難しいだろう。
命だけは繋ぎ止めるべく、医務室へ運ばせた。
「ヴィン、このままだと海軍が集まってきちゃう」
「やむを得ないな…北を目指そう」
アルメリア海賊団は北の海域を避けてきた。
表向きの理由は流氷地帯などを避けたいから、しかし本当の理由はヴィンにある。
それを知るシリウスは心配したが、今は海軍を撒くことが先決だ。
動き出した海賊船を見て海軍も動く。
「逃がすな!」「砲弾用意!」「援軍はまだか?!」
砲弾を打ち込んでくる海軍に対し、
「煙幕でも張るか」
ヴィンは深刻に考えず指示を出す。
慌てて弾薬が入れ替えられ、そして放たれた大量の煙幕に海軍は慌てふためいた。
「うわぁ!!」「何も見えないぞ!」「卑怯者め!!」
卑怯も何も、海賊が正々堂々と戦うと思っているほうが間違いなのである。
ヴィンは肩をすくめ、ケルパ国の海域を抜けたら沈めてやれとシリウスに伝えその場を任せた。
ライアンはミュフィと共に地下室で休んでいる。
「…役立たずだな、俺は」
自傷気味に笑うライアンを、ミュフィは優しく撫で続けていた。
「ミュフィ、本当にごめん」
「いいよ、ビックリしたけど乱暴にしなかったもん」
船を離れたとき、泣きそうな顔で自分を引っ張るライアンにミュフィは抵抗しなかったのだ。
ミュフィの優しさに甘えることにして、ライアンはセシルとの思い出を語る。
部屋の外で聞いていたヴィンは、
「妹、か…」
一人小さく呟いた---
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