アルメリア海賊団航海日誌〜そして少女は船に乗る〜

歌龍吟伶

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第6章〜過去〜

第63話

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何故レークライド軍がいるのか。

それを調査した結果、元々アルメリア海賊団を探していたことが分かった。

ゴードン達がアイルド共和国の周辺にいることに目をつけ、以前から軍を送り込んでいたらしい。


「長居しすぎたか…最初から俺たちをエサにする気だったんだな」


「この海域への滞在を許可したのは俺だ。警戒すべきだった」


狙われる可能性は充分理解していたのに。

ヴィンは後悔を滲ませる。


「ならば奴らが一番欲しがっているのは俺の首だろう」


どうやらレークライド軍は裏通りにある倉庫を借りて拠点にしているらしく、恐らくイクスもそこに連れて行かれたのだろう。

船は隠し、主力メンバーとでイクス奪還へ向かうことにした。


「シリウス、もしも船が見つかったら俺たちを置いて沖に出ろ。ゴードン達も絶対に上陸するなよ」


「ヴィン…」


「ヴィン坊、俺たちが行った方がいいんじゃねえか?」


「そうだよ、あたしらはあいつらから盗みを成功させたことあるんだし」


先代の時代に、アルメリア海賊団はレークライドから盗みを働いた。

あれからずっと包囲網にかかる日を待っていたのだろう…盗まれたモノを取り戻し、傷つけられた自尊心を癒すために。


「尚更ゴードン達は行かない方が良い。奴らの狙いは、俺だ」


かつてレークライドから盗まれたモノ…それは、ヴィン。

男差別が酷い国に生まれたが故に鎖に繋がれていた彼が、自由を手にするために払った犠牲はあまりにも大きく。

仲間を取り戻すためには、暗闇が手招く場所へ今再び戻らねばならない。


「行ってくる。相手が国でも関係ない、俺たちからなかまを奪う者は許さない」


「ヴィンさん、お気をつけて…」


ヴィンは不安がるミュフィの髪にそっと触れ、後はもう振り返らなかった。


「今回は死ぬ覚悟がいるぞ。それでも逃げ切る自信があるやつだけついて来い」


ヴィンの号令に男達が拳を上げる。

戦力がほぼ不在となる船にはアルバが残ることになった。


「船のことはお任せください」


「いざとなったら何を使っても良いが、仲間を犠牲にするなよ」


「心得てますよ」


薬や爆弾の使用許可が下り、アルバは嬉しそうに笑う。

美しく残酷な戦いを望む彼には船を守るという意思はない。

ただ実験がしたい、その結果として仲間達が守られているだけだ。

表面上はヴィンに従いながら内心では仲間を思う気持ちなどない。

アルバの本心を知りながらもヴィンは彼に任せる…実力を信じているから。

こうしてアルメリア海賊団のイクス奪還作戦が始まった。
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