アルメリア海賊団航海日誌〜そして少女は船に乗る〜

歌龍吟伶

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第6章〜過去〜

第70話

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取り乱す女王の姿、そして容赦なく切り捨てられた将軍の姿に動揺していたレークライド軍だが、女王の命令は絶対のため次々と剣を抜き始める。


「全ては女王陛下のために…!」


剣を向けてくるレークライド軍の前に、ジェイが立ちはだかった。


「僕がやるよ」


ジェイはなんとなく腹が立っていたのだ。

ヴィンを苦しめているこいつらを消せば、きっとヴィンが喜ぶ。

そう考えたジェイの顔には笑みが浮かぶ。


「お前のような子供に負けるものか!」


幼く見えるジェイの姿を嘲笑うレークライド軍。

しかし、ジェイが腕を一振りしただけで複数のナイフが飛び、一瞬にして5人の兵士が倒された。


「な!?」


「ねえ、油断してていいのー?楽しませてよ」


ニヤリと笑い、一っ飛びで天井まで飛び上がるジェイ。

天井から降り注ぐ無数のナイフに、レークライド軍は慌てふためいた。


「あはは!良い景色!死の踊りってやつー?」


死人が増えれば増えるほど楽しそうなジェイの姿を見たレークライド軍の一人が、


「まさか…あれはラファール国の殺人人形キリングドール


小さく呟く。

それを聞き取ったジェイの表情が一変する。


「…その名で呼ぶな」


一瞬でその兵士の目の前に飛び降りたジェイは、その首を掻き切った。

返り血を浴びたジェイの顔からは感情が消えている。

それこそまさに、人形のように。


「落ち着けジェイ」


ヴィンが声を掛けるが、ジェイからの反応は無い。

これはまずいと一歩踏み出したヴィンだったが、すでにジェイは動いていた。

目で追うのも大変なほどの速度で倉庫内を駆け回り、わずか数分でレークライド軍を壊滅させたジェイは滴るほどの返り血を浴びている。

普段彼は投げナイフを使うため、汚れる事がない。

それは過去を呼び覚まさないために必要なことだったのだ。


「…コロス…スベテ…コロス…」


あっという間にレークライド側はジェニファーを残すのみとなってしまった。

まだ敵味方の判断がついていたジェイ、しかしその目は虚ろで何も映さなくなっていく。

このままでは味方にも攻撃する、ヴィンは駆け寄って彼の肩を掴んだ。


「ジェイ!!」


「…コロス…ツギハ…ダレ…」


ジェイはご主人様・・・・の指示を待つ。

それが生まれた時から叩き込まれてきた習慣だから。

ヴィンは悲しげに眉を寄せ、ジェイの小柄な体を抱き締めた。


ジェイ・・・、俺がわかるな。もう戦わなくて良い、力を抜け」


ジェイの体から徐々に力が抜けていく。


「…船長?」


いつもの呼び方に戻ったところで、ヴィンは体を離した。
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