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番外編〜海賊は少年を盗む〜
第2話
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港に入ると、軍服を着た女が近づいてきた。
「何者だ」
ジャックとニックが男だと気づかれたら命も危うい、緊張を隠しながらリリアンが受け答えをする。
「南西の島から来ました。母がこの地域特有の病にかかってしまって、薬がこの国でしか売っていないと聞いたので」
それを聞いた軍服の女は小さく頷き、
「なるほど。薬屋はあの道を直進していれば看板が見えてくる。早く買って帰ってあげなさい」
そう言って手をさしのべてきた。
リリアンとジャックは恐る恐るその手を取る。
「肌が荒れているな。手漕ぎでここまで来るのは大変だったろう、疲れているようなら温泉にでも寄ってみるといい」
「ありがとうございます」
幸いなことに気づかれていないようだ。
ニックにも手を貸そうとしてくれたが、彼はジャックよりも男らしさがあるため首を振り自力で船から下りた。
長いマントに身を包み、フードを目深に被ったその姿に軍服の女が眉を寄せる。
リリアンは慌てて用意していた“設定”を口にした。
「ごめんなさい、妹は人に触られるのが苦手なんです!け、ケガが酷くて」
「そうか。まあ、なにかあれば周りの者に声をかけると良い」
女はそう言い残し配下を連れて離れていく。
(バレなかったみたいだね)
(ヒヤヒヤするぜ、さっさと用を済ませて帰ろう)
三人はホッと胸をなで下ろしながら囁き合い、足早に薬屋を目指した。
大通りを歩いていると、労働を強いられる男達が目に入る。
「ちんたらしてないで動きな!のろまなヤツなんざ要らないんだよ!!」
怒号と共に浴びせられる水。
極寒のこの地では死ぬ恐れもあるが、女達に躊躇いなど無い。
この国で男というものは使い捨ての道具だから。
口も体も凍り付く寒さの中、まともな服さえ与えられず外での作業を続けている男達。
水をぶちまけた女は、横たわったまま動かなくなった男の顔を覗き込むと舌打ちし、
「ちっ、もう使えないのかい。ちょっとそこのお前、このゴミを捨ててきな!」
視界に入った他の男に声をかけ銅貨を一枚投げつける。
命じられた男は、慌てて金を拾い懐にしまうと倒れている男を引きずってどこかへ運んで行った。
リリアン達が立ちつくしていると、バタバタと足音が近づいてきて大きなカゴがぶつかってきた。
「…っ!?」
衝撃でニックが転び、ズレそうになったフードを咄嗟に抑える。
「ごっ、ごめんなさい!!」
ぶつかってきたのは少年のようだ。
泣きそうな顔で土下座し必死に謝ってきた。
「そ、そんなに謝らないで。ケガもないし」
リリアンははそう言ったが、近くにいた女が少年に蹴りを入れる。
「なんて事してんだい!!このクソガキが!!」
周囲の人々も口々に少年を罵った。
「男のくせに客人にぶつかるなんて!」
「躾のなってないガキだね!飼い主は誰だい」
少年は地べたに這いつくばって震えているだけ。
痛みと寒さもあるはずなのに一声も上げない…今口を開いたら殺されてしまうから彼は耐えているのだ。
「何者だ」
ジャックとニックが男だと気づかれたら命も危うい、緊張を隠しながらリリアンが受け答えをする。
「南西の島から来ました。母がこの地域特有の病にかかってしまって、薬がこの国でしか売っていないと聞いたので」
それを聞いた軍服の女は小さく頷き、
「なるほど。薬屋はあの道を直進していれば看板が見えてくる。早く買って帰ってあげなさい」
そう言って手をさしのべてきた。
リリアンとジャックは恐る恐るその手を取る。
「肌が荒れているな。手漕ぎでここまで来るのは大変だったろう、疲れているようなら温泉にでも寄ってみるといい」
「ありがとうございます」
幸いなことに気づかれていないようだ。
ニックにも手を貸そうとしてくれたが、彼はジャックよりも男らしさがあるため首を振り自力で船から下りた。
長いマントに身を包み、フードを目深に被ったその姿に軍服の女が眉を寄せる。
リリアンは慌てて用意していた“設定”を口にした。
「ごめんなさい、妹は人に触られるのが苦手なんです!け、ケガが酷くて」
「そうか。まあ、なにかあれば周りの者に声をかけると良い」
女はそう言い残し配下を連れて離れていく。
(バレなかったみたいだね)
(ヒヤヒヤするぜ、さっさと用を済ませて帰ろう)
三人はホッと胸をなで下ろしながら囁き合い、足早に薬屋を目指した。
大通りを歩いていると、労働を強いられる男達が目に入る。
「ちんたらしてないで動きな!のろまなヤツなんざ要らないんだよ!!」
怒号と共に浴びせられる水。
極寒のこの地では死ぬ恐れもあるが、女達に躊躇いなど無い。
この国で男というものは使い捨ての道具だから。
口も体も凍り付く寒さの中、まともな服さえ与えられず外での作業を続けている男達。
水をぶちまけた女は、横たわったまま動かなくなった男の顔を覗き込むと舌打ちし、
「ちっ、もう使えないのかい。ちょっとそこのお前、このゴミを捨ててきな!」
視界に入った他の男に声をかけ銅貨を一枚投げつける。
命じられた男は、慌てて金を拾い懐にしまうと倒れている男を引きずってどこかへ運んで行った。
リリアン達が立ちつくしていると、バタバタと足音が近づいてきて大きなカゴがぶつかってきた。
「…っ!?」
衝撃でニックが転び、ズレそうになったフードを咄嗟に抑える。
「ごっ、ごめんなさい!!」
ぶつかってきたのは少年のようだ。
泣きそうな顔で土下座し必死に謝ってきた。
「そ、そんなに謝らないで。ケガもないし」
リリアンははそう言ったが、近くにいた女が少年に蹴りを入れる。
「なんて事してんだい!!このクソガキが!!」
周囲の人々も口々に少年を罵った。
「男のくせに客人にぶつかるなんて!」
「躾のなってないガキだね!飼い主は誰だい」
少年は地べたに這いつくばって震えているだけ。
痛みと寒さもあるはずなのに一声も上げない…今口を開いたら殺されてしまうから彼は耐えているのだ。
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