少年王は妖艶な妃に恋をする

歌龍吟伶

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第13話

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イルヴィンドがライラを呼び寄せて話をしている頃、リラフィアは書庫にいた。

王国の歴史や王家について書かれた本、そして海外の書物などが保管されている。


(東方領土の鉱脈の記録…あったわ)


彼女が今日ここに来たのは、鉱山などの書類を探すため。

東部地域は豊かな鉱脈でかつて栄えていたが、ある時期から突然鉱石が取れなくなっていき、今では財政難に陥っている。

始めの頃は鉱脈が枯れたと思われていたが、次々と閉山していくのは異常。


(どの資料を見ても原因は不明…探検家ジェスパーの冒険記、魔力探査部隊の報告書、商会の売買記録…)


散々調べても分からぬまま今に至るのだが、なにかしらの証拠がないかと思いリラフィアは書庫に足を運んだのだ。


(ライラの報告によれば、東部の鉱脈が枯れ始めた前後に急成長した宝石商が2件。しかし買い占めや掘り尽くした形跡は見つけられなかった)


鉱山が枯れるほどの鉱石を一気に掘り尽くすなど不可能だ。

短期間で全ての鉱山から資源が消えるなどあり得ない…しかし現実に起きていること。


(人為的なものだという証拠がないし、どう考えても不可能…けれど自然現象とも思えない)


数多の書類に目を通していると、ある違和感に気づいた、


(…あら?アーロン商会がこの時期に事業拡大した場所って)


アーロン商会とは、鉱山が枯れ始めた頃から急成長した宝石商の一つ。

当時から何度調べても不正などは見つけられず、今ではこの国の商会の中でも2番目の規模となっている。


(鉱山が閉山される半年から一年後に新たな支店を近場に作っている)


普通の宝石商は、先読みをして未開拓の鉱山に目をつけるか、掘り始めたばかりの鉱山に向かう。

枯れ始めた鉱山の近くに店を作ったところで、すぐに廃れてしまうため利益が少ない。


(…まさか、どこかに隠していた?)


資源を隠し、枯れ果てたと思わせておいて人目が減ってから運んだのだろうか。

リラフィアはいくつかの記録を書き写し、自室へと戻る。


「お帰りなさいませ王妃様」


部屋に戻ると、輿入れ以来仕えてくれている女官のアリシアが掃除をしているところだった。

アリシアは下級貴族の娘で、花嫁修行の一環として城で働いていたところ王妃の女官に選ばれたのだ。


「あら?王妃様、ライラ様とご一緒ではなかったのですね」


「ライラ?今日は約束していないけれど…なぜ?」


今日は呼んでいない。

なぜ彼女の名前が出るのかと不思議に思ったリラフィアは、


「先ほどお洗濯物を出しに行ったら、ライラ様を見かけましたよ?陛下の執務室に向かわれたようでしたが…」


というアリシアの報告に目を丸くするのであった。
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