22 / 25
焼き栗の思い出
しおりを挟む
あれは何歳の時の事だったか。
私がまだ幼稚園児の頃の話だ。
どこか地下通路のようなところを通った時、焼き栗を売っている屋台のような店があった。
その場で焼きながら販売するスタイルで、おじさんが一人で販売している。
私は母と一緒だったのだが、焼いているのを見ていたら母は先に行ってしまった。
一人その場に残り、じっと焼き栗屋さんを見つめる私。
すると店のおじさんが、
「一ついるかい?」
そう言って焼いていた栗を一粒差し出してきた。
おじさんは軍手をしてトングを使っていたが、通りかかっただけの幼児である私は完全に無防備。
焼きたての、殻付きの栗を、私は何の躊躇いもなく素手で受け取った。
「…!!」
熱い。
当然のことながら、熱い。
熱さに驚いて手を振り、栗を落とす私。
泣き出した私に気づいて母が戻ってきた。
「どうしたの!?」
店のおじさんは呑気に笑いながら、熱かったねえと言う。
そのまま母に手を引かれてその場を後にしたのだが、帰宅後落ち着いて説明を始めた私の話を聞き、母はぷりぷりと怒っていた。
「こんな小さい子の手に焼きたてを乗せるなんて!!」
火傷の痕は残らなかったが数日は痛みがあった覚えがある。
あの時は、熱さへのショックと驚き、そして何より栗が食べられなかったことへの悲しみでしばらく泣いた。
何十年も経った今でもトラウマだ。
そんな、焼いた栗の思い出話。
私がまだ幼稚園児の頃の話だ。
どこか地下通路のようなところを通った時、焼き栗を売っている屋台のような店があった。
その場で焼きながら販売するスタイルで、おじさんが一人で販売している。
私は母と一緒だったのだが、焼いているのを見ていたら母は先に行ってしまった。
一人その場に残り、じっと焼き栗屋さんを見つめる私。
すると店のおじさんが、
「一ついるかい?」
そう言って焼いていた栗を一粒差し出してきた。
おじさんは軍手をしてトングを使っていたが、通りかかっただけの幼児である私は完全に無防備。
焼きたての、殻付きの栗を、私は何の躊躇いもなく素手で受け取った。
「…!!」
熱い。
当然のことながら、熱い。
熱さに驚いて手を振り、栗を落とす私。
泣き出した私に気づいて母が戻ってきた。
「どうしたの!?」
店のおじさんは呑気に笑いながら、熱かったねえと言う。
そのまま母に手を引かれてその場を後にしたのだが、帰宅後落ち着いて説明を始めた私の話を聞き、母はぷりぷりと怒っていた。
「こんな小さい子の手に焼きたてを乗せるなんて!!」
火傷の痕は残らなかったが数日は痛みがあった覚えがある。
あの時は、熱さへのショックと驚き、そして何より栗が食べられなかったことへの悲しみでしばらく泣いた。
何十年も経った今でもトラウマだ。
そんな、焼いた栗の思い出話。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる