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第20話 オッサン齢53歳にして吼える。
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もう何度も移動してるので5階まですぐに着いた。
千紗の要望で、新しく覚えたスキルを試す事にした。
「魔投槍が破格に強いなぁ」
「ええ、こういう物理と魔法の混合しているものって、反する能力値の低い方や、平均などを使うっていうイメージなんですけど、これは使ってる感触としては両方足してる感じがします」
「武芸百般の恩恵も大きそうだね」
「はい、多分ですけど物理と魔法両方の修正が上がってるんだと思います」
オークがこれの一発で瀕死だもんなぁ。
多分、1点とか2点くらいしかHP残ってないんじゃないだろうか。
早すぎて俺自身がどれくらいダメージ与えたか認識できないくらいのタイミングですぐ倒せる。
笹かまのアドバイス通り、千紗は俺の後ろに隠れるという行動をしているのと、今までのスキル確保の行動をまだ続けているので時間はかかっていうるだけで、実際の戦闘は魔投槍、シールドで殴るで瞬殺してる。
「あ、ちょっと待ってください、ブリッツジャベリン覚えました」
何匹目かのオークを倒した時に、千紗がそう言ってアプリを見せてくれた。
「おーじゃあ、試し撃ちしてみようか」
「はい!」
単体で行動しているオークを探し出し、早速ブリッツジャベリン(火)を使ってみる。
パンッ!
破裂音のような音と共にオークの首から上が消えた。
俺たちはその光景を唖然として見てる。
「い、威力大きくないか?」
「そ、そ、そうですね」
「見た感じ、前の魔投槍にブリッツがそのまま乗ってる感じの威力だね」
「でも、ブリッツってあんなに威力ありましたっけ?」
千紗が小首をかしげる。
「えーっと属性効果は?」
「弱点属性ですと、100%上乗せですけど、そうじゃないなら20%くらいですよ。
弱点なら確か-50%かな」
「そうか、オークに弱点特性無いからそんなに修正…あ!」
「あ!」
「「武芸百般!」」
「しかも、属性だけじゃ無く、ブリッツにも修正入ってるんじゃ無いかな」
「あー確かに!そう考えるとこの威力も納得ですね」
今回のボス戦には使う予定無いけど、これはちゃんと調べて、どの程度まで通用するか確認した方が良いな。
でも、今はボス戦だな。
「よし!魔投槍の事は戻ってから調べるとして、ボス戦の確認しようか」
「そうですね!」
作戦といっても簡単なものだ。
俺が3分耐えて、時間になったら千紗が攻撃、そちらに気を取られた所で隙を見て攻撃を入れる。
あとは装備効果で倒れるはず。
バッシュ覚えれば確実だったけど、通常のオークにもスキルなしの攻撃でもちゃんと攻撃として反応していたから大丈夫でしょ。
不安があるとすれば、俺の持久力かなぁ。
年齢がいって、1番実感するのが持久力が落ちる。
重いものを持つにしても、持った瞬間は若い頃と変わらない感じで持てるけど、それを長時間維持するのが、めちゃくちゃ辛い。
3分…一応若い頃少しだけ格闘技をかじっていた経験があるが、短いようで長い。
ましてや一方的に攻撃を受ける時の3分は本当に長い。
そんな不安をついつい、千紗に話してしまったが
「大丈夫ですよ!きっと何とかなります!」
と、励ましてくれた。
現状、これ以上の成長は5階では厳しい。
今よりいい状態で戦うと考えるならば俺がレベル10になるしか無い。
ここから2800匹程度オークを倒す。
現実的じゃ無い。
俺は自分の中にある不安を押し殺して、ボスに向かうことにする。
「じゃあ、行こっか」
「はい!」
しばらく歩くと、次の階に降りるゲートの所にボスがいた。
お互い見つめあって頷くと、千紗はスマホのタイマーに手をかける。
もちろん3分に設定されている。
俺はゆっくりとボスへと近づいた。
前回の記憶が蘇る。
あの時の恐怖を完全に拭いきれない。
「シャアッ!」
恐怖心を誤魔化すために、気合いを入れるた声に気づいてオークボスがやってきた。
「ブロック!」
ゴフっと息が漏れる。
ボスの一撃が重い。
やはり、今までのオークとは比べ物にならない。
だが、ステータスが上がりスキルを獲得したおかげか、あの時ほどの威力を感じられない。
いける!
・
・
・
「ハァハァハァ」
戦闘開始からどのくらい経ったんだろう。
体感的には、もう10分くらい経ってる感じなのだがまだ全然らしい。
「ブロッ…ゴフッ!」
疲労のせいで反応が遅れた。
かろうじて盾は間に合ったが技が間に合わなかった。
耐久力が高いと防御力も高くなる、ダメージ的にはまだまだ全然いけるとわかっているのだが、疲れが足にきてる。
そのせいでバランスを崩してよろけてしまった。
それを見逃してくれるほど敵も甘くない。
横殴りの追撃が襲ってくる。
「ンガァ!」
咄嗟に盾を差し込む事はできた。
だがこれもスキルが間に合わない。
勢いに負けて転がってしまった。
そこにオークボスが覆い被さるような体制から棍棒を振りかぶる。
トドメを刺す気だ。
マズイと思った瞬間。
『ゴバァァン!」
もの凄い音がボスの背中から聞こえた。
衝撃も相当あったんだろう。
ボスがたたらを踏んだ。
ダンジョンのモンスターと戦う時にヘイトという概念がある。
知性の低いモンスターたちはよりヘイト(憎しみ)を感じた相手を攻撃する。
ヘイトを集めて攻撃を集中させる役目をタンクといい、それ専用のスキルもある。
そういったスキルを持ったものがいない場合はより強烈な攻撃をしてきた相手にヘイトは向かう。
この場合なら、ブリッツジャベリンを打ち込んできた千紗だ。
オークボスが千紗に向かって真っ直ぐに走り出す。
「クソッ!」
俺は立ち上がって、オークボスを追いかける。
疲れ切って倒れたくらいだから、颯爽と駆け寄るなんて出来ない。
よろよろと早歩きよりも遅いんじゃないかってくらいのスピードだ。
あっという間に千紗に追いついたボスが一撃を入れる。
「キャァ!」
小柄な千紗の身体がボールのように跳ねながら転がった。
クソ!クソ!クソ!
千紗は俺を助けるために技を放った。
こうなると分かっていた筈なのに!
必死にボスに駆け寄ろうとしてるのに全然近づいてこない。
ボスがトドメを刺そうと転がった千紗に向かって棍棒を振りかぶる。
ヤメロ!ヤメロ!ヤメロォォォォ!
「ゴァァァァ!」
声にならない声が俺の喉から唸なった。
オークボスが一瞬こっちをみる。
だが、俺を攻撃には来ない。
ヘイトは千紗のままだった。
オークボスの一撃が千紗を襲う。
ゴン!
千紗は講習の時のあの盾を鏢車から取り出していた。
まだ間に合う!
もう一度、もう一度だ!
あの唸り声に確かにあいつは反応した!
「ゴァァァァ!」
オークボスがまたこちらに振り向いた。
しかし、まだヘイトは千紗の方だ。
今度こそトドメを刺そうともう一度振りかぶる。
だが、こちらを振り向くその時間が欲しかった。
間に合ったああああああ!
俺は思いっきり盾でオークボスをぶん殴る。
ボスが振りかぶった棍棒を下す暇なんか与えない。
俺の攻撃はそういう攻撃だ!
秒でオークボスは霧になって消えていった。
そこにはもう、千紗しか居ない。
震える身体で俺に笑いかけてきた。
「やりましたね!」
勢いのまま、千紗を抱きしめた。
何も言わずに千紗がもう一度ニッコリと笑った。
良かった、生きててくれて良かった。
俺はそのままキスをした。
千紗の要望で、新しく覚えたスキルを試す事にした。
「魔投槍が破格に強いなぁ」
「ええ、こういう物理と魔法の混合しているものって、反する能力値の低い方や、平均などを使うっていうイメージなんですけど、これは使ってる感触としては両方足してる感じがします」
「武芸百般の恩恵も大きそうだね」
「はい、多分ですけど物理と魔法両方の修正が上がってるんだと思います」
オークがこれの一発で瀕死だもんなぁ。
多分、1点とか2点くらいしかHP残ってないんじゃないだろうか。
早すぎて俺自身がどれくらいダメージ与えたか認識できないくらいのタイミングですぐ倒せる。
笹かまのアドバイス通り、千紗は俺の後ろに隠れるという行動をしているのと、今までのスキル確保の行動をまだ続けているので時間はかかっていうるだけで、実際の戦闘は魔投槍、シールドで殴るで瞬殺してる。
「あ、ちょっと待ってください、ブリッツジャベリン覚えました」
何匹目かのオークを倒した時に、千紗がそう言ってアプリを見せてくれた。
「おーじゃあ、試し撃ちしてみようか」
「はい!」
単体で行動しているオークを探し出し、早速ブリッツジャベリン(火)を使ってみる。
パンッ!
破裂音のような音と共にオークの首から上が消えた。
俺たちはその光景を唖然として見てる。
「い、威力大きくないか?」
「そ、そ、そうですね」
「見た感じ、前の魔投槍にブリッツがそのまま乗ってる感じの威力だね」
「でも、ブリッツってあんなに威力ありましたっけ?」
千紗が小首をかしげる。
「えーっと属性効果は?」
「弱点属性ですと、100%上乗せですけど、そうじゃないなら20%くらいですよ。
弱点なら確か-50%かな」
「そうか、オークに弱点特性無いからそんなに修正…あ!」
「あ!」
「「武芸百般!」」
「しかも、属性だけじゃ無く、ブリッツにも修正入ってるんじゃ無いかな」
「あー確かに!そう考えるとこの威力も納得ですね」
今回のボス戦には使う予定無いけど、これはちゃんと調べて、どの程度まで通用するか確認した方が良いな。
でも、今はボス戦だな。
「よし!魔投槍の事は戻ってから調べるとして、ボス戦の確認しようか」
「そうですね!」
作戦といっても簡単なものだ。
俺が3分耐えて、時間になったら千紗が攻撃、そちらに気を取られた所で隙を見て攻撃を入れる。
あとは装備効果で倒れるはず。
バッシュ覚えれば確実だったけど、通常のオークにもスキルなしの攻撃でもちゃんと攻撃として反応していたから大丈夫でしょ。
不安があるとすれば、俺の持久力かなぁ。
年齢がいって、1番実感するのが持久力が落ちる。
重いものを持つにしても、持った瞬間は若い頃と変わらない感じで持てるけど、それを長時間維持するのが、めちゃくちゃ辛い。
3分…一応若い頃少しだけ格闘技をかじっていた経験があるが、短いようで長い。
ましてや一方的に攻撃を受ける時の3分は本当に長い。
そんな不安をついつい、千紗に話してしまったが
「大丈夫ですよ!きっと何とかなります!」
と、励ましてくれた。
現状、これ以上の成長は5階では厳しい。
今よりいい状態で戦うと考えるならば俺がレベル10になるしか無い。
ここから2800匹程度オークを倒す。
現実的じゃ無い。
俺は自分の中にある不安を押し殺して、ボスに向かうことにする。
「じゃあ、行こっか」
「はい!」
しばらく歩くと、次の階に降りるゲートの所にボスがいた。
お互い見つめあって頷くと、千紗はスマホのタイマーに手をかける。
もちろん3分に設定されている。
俺はゆっくりとボスへと近づいた。
前回の記憶が蘇る。
あの時の恐怖を完全に拭いきれない。
「シャアッ!」
恐怖心を誤魔化すために、気合いを入れるた声に気づいてオークボスがやってきた。
「ブロック!」
ゴフっと息が漏れる。
ボスの一撃が重い。
やはり、今までのオークとは比べ物にならない。
だが、ステータスが上がりスキルを獲得したおかげか、あの時ほどの威力を感じられない。
いける!
・
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「ハァハァハァ」
戦闘開始からどのくらい経ったんだろう。
体感的には、もう10分くらい経ってる感じなのだがまだ全然らしい。
「ブロッ…ゴフッ!」
疲労のせいで反応が遅れた。
かろうじて盾は間に合ったが技が間に合わなかった。
耐久力が高いと防御力も高くなる、ダメージ的にはまだまだ全然いけるとわかっているのだが、疲れが足にきてる。
そのせいでバランスを崩してよろけてしまった。
それを見逃してくれるほど敵も甘くない。
横殴りの追撃が襲ってくる。
「ンガァ!」
咄嗟に盾を差し込む事はできた。
だがこれもスキルが間に合わない。
勢いに負けて転がってしまった。
そこにオークボスが覆い被さるような体制から棍棒を振りかぶる。
トドメを刺す気だ。
マズイと思った瞬間。
『ゴバァァン!」
もの凄い音がボスの背中から聞こえた。
衝撃も相当あったんだろう。
ボスがたたらを踏んだ。
ダンジョンのモンスターと戦う時にヘイトという概念がある。
知性の低いモンスターたちはよりヘイト(憎しみ)を感じた相手を攻撃する。
ヘイトを集めて攻撃を集中させる役目をタンクといい、それ専用のスキルもある。
そういったスキルを持ったものがいない場合はより強烈な攻撃をしてきた相手にヘイトは向かう。
この場合なら、ブリッツジャベリンを打ち込んできた千紗だ。
オークボスが千紗に向かって真っ直ぐに走り出す。
「クソッ!」
俺は立ち上がって、オークボスを追いかける。
疲れ切って倒れたくらいだから、颯爽と駆け寄るなんて出来ない。
よろよろと早歩きよりも遅いんじゃないかってくらいのスピードだ。
あっという間に千紗に追いついたボスが一撃を入れる。
「キャァ!」
小柄な千紗の身体がボールのように跳ねながら転がった。
クソ!クソ!クソ!
千紗は俺を助けるために技を放った。
こうなると分かっていた筈なのに!
必死にボスに駆け寄ろうとしてるのに全然近づいてこない。
ボスがトドメを刺そうと転がった千紗に向かって棍棒を振りかぶる。
ヤメロ!ヤメロ!ヤメロォォォォ!
「ゴァァァァ!」
声にならない声が俺の喉から唸なった。
オークボスが一瞬こっちをみる。
だが、俺を攻撃には来ない。
ヘイトは千紗のままだった。
オークボスの一撃が千紗を襲う。
ゴン!
千紗は講習の時のあの盾を鏢車から取り出していた。
まだ間に合う!
もう一度、もう一度だ!
あの唸り声に確かにあいつは反応した!
「ゴァァァァ!」
オークボスがまたこちらに振り向いた。
しかし、まだヘイトは千紗の方だ。
今度こそトドメを刺そうともう一度振りかぶる。
だが、こちらを振り向くその時間が欲しかった。
間に合ったああああああ!
俺は思いっきり盾でオークボスをぶん殴る。
ボスが振りかぶった棍棒を下す暇なんか与えない。
俺の攻撃はそういう攻撃だ!
秒でオークボスは霧になって消えていった。
そこにはもう、千紗しか居ない。
震える身体で俺に笑いかけてきた。
「やりましたね!」
勢いのまま、千紗を抱きしめた。
何も言わずに千紗がもう一度ニッコリと笑った。
良かった、生きててくれて良かった。
俺はそのままキスをした。
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