オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将

文字の大きさ
25 / 52

第25話 オッサン齢53歳にしてワクワクする。

しおりを挟む
 ー翌日ー

「笹かまおはようって何やってるの?」

「おはようっす、いやぁ普通の水鉄砲より、シャワーみたくシャーって出た方が使いやすいかなって思って改良してるっす」

「そんな事出来るの?」

「探索者の時の元の職業が工作兵系だったんで割といじるの得意っすよ」

「笹かますげけぇな!」

「いやぁそれほどでもぉ、あ、ところで何本持っていきます?」

「何本ってそんな数あるの?」

「めっちゃ余ってるからって、16本入り1箱丸ごと渡されたっす。
 ついでに全部改良済みっすよ」

「そんなにあるんだ!せっかくだから全部持っていこうかな、色々実験するかもしれないし」

「なんかいい感じだったらよろしくっすよ」

「ああ、上手くいったら報告するよ」

 こうして俺たちは10階まで降りてきた。

「さて、最初は少ないグループで相手したいな、千紗どう?気配ある?」

「んーあっちかな?」
 千紗が気配察知で感じた方に向かっていく。

 まだこの辺は草の丈が短く見晴らしが良い。

 ここは奥に行くほど草が伸びてくるらしい。

「お!いたいた」
 新聞紙と水鉄砲を準備する。

 そしてゆっくりとジャイアントラットに近づいていく。

 サイズとしては小型犬くらいのサイズだ。

 モンスターとしては小さいが、これが群れで襲ってくるとなると充分迫力がある。

 向こうが気づいた!

「ギィィギィィ!」
 5匹のジャイアントラットが一斉に近づいてくる。

「撒いて撒いて!」
 そう声をかけながら、新聞紙を撒いていく。

 そしてそれに目掛けて水鉄砲からウォータードロップの水をかける。

 狙い通り、ジャイアントラットが新聞紙に絡まって動けなくなった。

 これを、盾で叩けばいいんだけど、ふと昨日のことを思いだす。

「ちょっとあれにファイアーブリッツ撃ってみて」

「はい、ファイアーブリッツ」
 ボウッ!という音と共に勢いよくネズミが燃え出した。

 自宅の時より反応が強く、かなりの高温と火力で一気に燃え上がった。

 文字通り消し炭になって、鎮火した時には魔石だけになっていた。

 ドロップ品であろう尻尾も一緒に燃えてしまったらしい。

「火力えぐいな」

「すごい燃えますね」

「楽だし安全なのは良いことだと思うけどね」

 その後も何度か戦闘したが、10匹くらいはまだしも、15匹くらいだと新聞紙が間に合わなくなってくる。

 捲く隙も減ってくるし、踏まない奴も出てくる。

「ハァハァハァ、救援呼ばれると大変だね、新聞紙とか言ってる場合じゃなくなる」

「フゥフゥフゥ、本当ですね」

「これ、いっそ水鉄砲でスライム液もかけてしまうか?」

「私もそれ思いました。
 その方が良いかもしれないですね、ちょっとやってみましょう」

 それから余っている水鉄砲にスライム液を入れて俺が持ち、千砂はウォータードロップの水鉄砲で、俺、千紗、の順でジャイアントラットにかけていく。

 最初は手こずったが、ちょっと慣れれば思ったよりうまいことくっついていく。

 新聞紙の時より最初は動けるので、それで動いて他の個体にぶつかり余計くっつく。

 その塊を乗り越えてこようとして上に登ってくっつく奴もいて、巨大なネズミ玉みたくなっていく。
 そしてある程度の数が固まったところで、ファイアーブリッツをぶつけて燃やしてしまう。

「これ、効率いいけど、スライム液の消費激しいな」

「もうなくなっちゃいましたね」

「スライム液の補充と笹かまの報告に1回戻ろうか?」
「はい、そうしましょう」
 一旦地上に戻ることにした。

「ただいまぁ」

「どうっすか?」
 笹かまに細かく状況を説明した。

「なるほど、新聞紙の方がスライム液少なくて済むけど、それ聞いてると直接かける方が良さそうっすね」

「そうなんだ、だから今から採集しようかと思って」

「なるほどっすねぇ、んーんー、まいっか、そのスライム液集めるの手伝うんで、次のジャイアントラット攻略ついて行っていいっすか?」

「え?ここの仕事は?」

「どうせまだ人来ないんで、準備中の札かけて鍵かけて放置するっす」

「え?いいのそれ?」

「一応悩んだんすけど、ま、いいかなって」

「あ、いいんだ」

「うぃっす、じゃぁパパッと集めて明日一緒でよろしくっす」

 そういうと、スライム液の採集に笹かまがダンジョンに向かう。

 俺たちも慌てて後ろを追いかける。

 笹かまの実力は全く知らないが、なんかちょっと嬉しい。

 年甲斐もなくワクワクしている。

【後書き】
 お読み頂き、ありがとうございます。
 この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方はお気に入り登録していただけると作者が喜びます。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

勤続5年。1日15時間勤務。業務内容:戦闘ログ解析の俺。気づけばダンジョン配信界のスターになってました

厳座励主(ごんざれす)
ファンタジー
ダンジョン出現から六年。攻略をライブ配信し投げ銭を稼ぐストリーマーは、いまや新時代のヒーローだ。その舞台裏、ひたすらモンスターの戦闘映像を解析する男が一人。百万件を超える戦闘ログを叩き込んだ頭脳は、彼が偶然カメラを握った瞬間に覚醒する。 敵の挙動を完全に読み切る彼の視点は、まさに戦場の未来を映す神の映像。 配信は熱狂の渦に包まれ、世界のトップストリーマーから専属オファーが殺到する。 常人離れした読みを手にした無名の裏方は、再びダンジョンへ舞い戻る。 誰も死なせないために。 そして、封じた過去の記憶と向き合うために。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

処理中です...