Sっ気のある上級魔族に元人間の眷属が意地悪される話

藤間背骨

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Sっ気のある上級魔族に元人間の眷属が意地悪される話

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 目の前には沈んだ顔があった。
 自室の洗面台の鏡に映る顔に、グロザーは軽くため息をついた。

 ――いつ見ても目つきが悪い。寝起きだから余計にだ。

 三白眼どころか四白眼の鋭い目つきで、今まで得をしたことなど一度もない。
 いつもは後ろに撫で付けている背中まである真っ黒な長髪と相まって、優しいとは程遠い外見をしているのがグロザー・ヴォローニンという男だった。
 冷たい水が顔にかかると嫌が応にも目が覚める。
 顔を拭き、名残惜しそうにトイレの扉を見やってからグロザーは洗面所を後にした。



 クローゼットから服を取り出してベッドに置き、ガウンから着替える。
 この屋敷、いや、この世界に来てから早一年。主人に押し付けられた異国の服——アオザイに袖を通すことに、違和感を覚えることもなくなった。
 スプルートは魔族の割には人間界に興味津々で、どこからか人間界のものを仕入れてくるのだ。



 一年前、グロザーは死んだ。
 家族と言えるのは母だけで、その母も十五の時に亡くなった。それからは軍に入り、北極海を進む砕氷艦に乗っていた。
 事故で沈みかけた巡洋艦の救助に向かい、艦に乗り込んで怪我人などがいないか見回っていたときだった。
 突然爆発が起こり、ひしゃげた壁と壁の間に下半身が挟まれ、そのまま船もろとも北極海の底に沈んだはずだった。



 その後、目が覚めたら北極海の底にあるという世界にいた。
 北極海を統べる海魔、スプルートと名乗る者の手によって。
 彼はグロザーの魂を見初めて眷属にしたなどと言っていた。
 他にもこの海底の世界について色々な話をされたが、平民には手に届かないような高貴な身分の人間に拾われた、くらいしかグロザーにはわからなかった。
 元が軍人ということもあり、護衛を兼ねた秘書としてスプルートの側に仕えることとなった。
 それが一年前のことである。



 服は上下共に体にぴったりと張りつくような細身の作りで体の線が露わになる。
 普段なら何を思うこともない。この服を着ることには慣れたのだから。しかし、今は気になることがあった。
 下衣を触り、ベルトが浮き出ていないか確かめる。
 ベルト——主人の命で後孔に入れられたアナルプラグを固定するベルトだ。
 肛門と前立腺をじわじわと刺激する小さめのアナルプラグは、3日も前からグロザーの体内にあった。
 常時弱い刺激を与えられ、それ以上を求めようにも己の手では外せないようベルトの留め具には鍵が付いている。
 昨晩は特に体が疼き、夜遅くまで悶々としながらベッドで過ごしていた。
 服の上から触ればベルトの感触があるものの、生地が厚手だから浮き出てはいないだろうか。後ろ側は見えないので不安だけが募る。
 洗面所に戻り髪を軽く整えると、別のガウンを羽織って食堂に向かった。
 今日が体力勝負なのは承知しているが、食欲はなかった。水を飲み、意地でトーストを半分齧って飲み込むと離れに向かった。

「おはようございます。待っていましたよ、グロザー」

 離れの居間。
 ここもスプルートの趣味で東南アジア風の木を多用した建物が建てられている。調度も東洋の物で揃えていた。
 興味なさげに読んでいた新聞から顔を上げ、主人――スプルートは柔和な微笑みを浮かべた。
 グロザーと同じく白いアオザイを身につけた線の細い男だった。
 柔らかい水色の髪を簪でまとめている。青いフレームの眼鏡の奥に紺碧と紅の混じった瞳が見える。
 この海を治める海魔の証だと昔に言っていた。

「おはようございます。スプルート様」
「体調は問題ありませんか?」
「ええ」

 スプルートはグロザーの返答に満足そうに頷くとソファから立ち上がる。

「では、行きましょうか」
「……はい」

 二人は居間を後にした。



「ん、う……っ」

 グロザーはベッドの上で後ろ手に縛られ、足も折りたたむように縄をかけられて秘所を晒したままの状態だった。
 口には猿ぐつわを噛まされ、満足に声すら上げられない。
 こうしてグロザーの自由を奪いながら楽しむのがスプルートの趣味だった。

「縛られただけでこんなにして……。淫らな人ですね」

 グロザーは羞恥で顔を赤く染めゆるゆると首を振る。
 スプルートはグロザーの屹立した陰茎に手を伸ばし、軽く扱く。
 それは触れてもいないのに先走りで濡れていた。

「うっ、ん……」

 与えられた刺激にグロザーが喘ぎ声を上げるのを、面白そうにスプルートは眺めている。
 スプルートの手は先端から根本に向かい、陰嚢と会陰に軽く触れながら後孔に至る。
 三日間埋められたままになっているアナルプラグを押し込むと、グロザーは一層大きな声を上げた。

「これ、小さいものですから負担にはならなかったと思いますが……。淫らなグロザーには物足りないみたいですね」

 言いながらスプルートはサイドテーブルから鍵を取り、プラグを固定していたベルトを外すと、ゆっくりと焦らすようにプラグを抜く。

「んっ、う……ん」

 肛門を擦られる感覚にグロザーは背を反らせて善がる。

「寂しいですか? ずっと入ってましたからね」
「んんっ!」

 悪戯するようにプラグを軽く抜き差しすると、それに合わせてグロザーは喘ぐ。
 今まで弱い刺激ばかり与えられていた体はより強い刺激を求め、わずかな刺激も取りこぼすことなく快感に変える。

「こんなに感じて……。いい子ですね、グロザー」

 スプルートはそう言うと今度こそプラグを後孔から抜き取った。

「んっ、うぅ……」

 プラグを抜き去られた後孔はぷっくりと盛り上がり、名残惜しいとでも言うようにひくついている。

「お尻の穴が寂しそうですね。もっと大きいものを入れましょう」

 スプルートは体に埋まっていたプラグより一回り大きいプラグを取り出した。台座の部分からはゴムチューブと細いケーブルが繋がっている。
 後孔とプラグにローションを塗ると、後孔にあてがい押し込んだ。

「ん、ぅ……っ!」

 グロザーの後孔は容易くプラグを飲み込み、強い刺激にグロザーは体をびくびくと痙攣させて達した。

「これだけでイッちゃうんですか? もっとよくしてあげますよ」
「んぅっ!?」

 体内での変化にグロザーは驚きと快感を交えた声を上げた。
 スプルートの手には、プラグから伸びたゴムチューブ、その先にあるポンプが握られていた。

「どうです、中で膨らんでいるでしょう?」
「んん……! うぅ、んっ……!」

 言いながらもスプルートは2回、3回とポンプを握る。その度にプラグは少しずつ膨らみ、内から腸壁を押し広げていく。

「ふふ。苦しいけれど、気持ちいいという顔をしていますね」
「……っ!」

 プラグの大きさに比例して、自身の受け取る快感も大きいものになっていく。もっと、もっとと求める自分が恥ずかしく思えて、グロザーは顔を背ける。それを引き止めるかのようにグロザーの顎をスプルートが引き寄せた。

「見せてください。あなたの顔を」
「ん、う……ぅ」

 紺碧と紅の混ざった瞳に見つめられ、グロザーは体を強張らせる。
 拒否することはできない。
 逃げ出すことも、否定の気持ちを言葉にすることもできない。主の望むままに快楽を受け止め痴態を晒すことしか、今の自分には許されていない。

「もっと苦しく、もっと気持ちよくなって」
「んぅ……っ!」

 主に逆らえないままにグロザーは快楽に身を委ね、底に沈んでいく。
 何回もポンプを握られて体内のプラグが膨らみ、腸壁越しに前立腺を刺激する。
 もう、限界だ。
 これ以上の苦しみと快楽を受け止めていたら、どうにかなってしまう。
 スプルートはグロザーの様子を窺うと、ポンプを握る手を止めた。

「中がいっぱいですか? 今、同じものを膨らませていたんですよ」
「ん、う……っ!?」

 言ってスプルートは拳ほどに膨らんだプラグをグロザーに見せつける。
 自分の中で膨らんだプラグの大きさを見せつけられ、グロザーは動揺する。こんなものが、今自分の体内に埋まっているのか。
 強張った体が余計にプラグを締め付け、追い打ちをかけるかのように快感が奔る。

「こんなに大きいのを中に入れられて、気持ちいいなんて。困った人ですね」

 スプルートはプラグを愛でるように軽く口づけすると、最後の一回だとポンプを握った。

「んんんっ!」

 寸前で止まっていた水が溢れるように、グロザーは体を震わせながら再び達した。

「ん、う……ぅ……」
「いつもより感じているんじゃないですか? 三日も焦らした甲斐がありましたね」

 言いながら、スプルートはプラグをぐい、と押し込んだ。それに合わせてグロザーが声を上げる。

「苦しいのは、プラグのせいだけじゃないでしょう?」

 スプルートはグロザーの腹に手を伸ばした。程よく筋肉のついたそこはじっとりと汗に濡れている。体に触れられて彼の体がびくりと震えた。

「お腹の中に溜まってるもの、出しましょうね」
「んうう、んんっ……」

 羞恥と恐怖を顔に滲ませながらグロザーは首を振る。それを見てスプルートは楽しそうに微笑み、ベッドの脇に置かれたワゴンに向かう。
 グロザーからは見えなかったが、物が触れ合いかちゃかちゃと立てる音は余計にグロザーの感情を煽った。

「これ、入れますね」

 スプルートがグロザーに見せたのは注射器のような形をした浣腸器だった。
 シリンジの中にはすでに液体が満たされている。

「入れるのはちょっとだけにしましょう」
「んんっ! ん、うっ!」

 三日も溜め込んだ便と、中で膨らんでいるプラグ。
 それらで腹部がいっぱいに満たされているというのに、更に浣腸まで。
 これから行われることを想像しグロザーは先より強く首を振って拒んだが、それは聞き入れられなかった。

「そうやって嫌がりますけど、本当は大好きですよね。いつも気持ちよさそうにして」
「ん、……っ!」

 後孔とプラグの隙間にねじ込むように嘴管を入れられ、グロザーは体を固くした。
 スプルートがピストンを押すと、グロザーの体内に温められた浣腸液が入り込む。

「ん、う……、ん、んっ……」

 己の意志とは反対に体内に注ぎ込まれる浣腸液を感じて、グロザーは声を上げる。
 ゆっくりと少しずつ注がれた浣腸液が全て体内に入る頃、薬剤に反応して腸が蠕動を始めた。それに合わせて強い便意と腹痛が襲ってくる。しかし、どんなに力を込めても膨らんだプラグが抜け落ちることはない。
 今まで以上の締め付けによって前立腺が刺激され、より強い快楽が体を駆け抜ける。

「ん、んっ! んぅ……!」

 ごろごろと唸る腹が面白いのか、スプルートはグロザーの腹を優しく撫でた。

「そんなにいいんですか?」

 スプルートの問いにグロザーは答えなかった。眉を寄せ、目を閉じてひたすら刺激に耐えていた。この濁流に飲み込まれることがないようにと。
 体は汗でぐっしょりと濡れ、猿轡のせいで閉じきらない口からは唾液が零れる。
 プラグをくわえ込む後孔はきゅうと締まり、後孔の刺激が更に便意を強くさせた。
「前も放っておかれてはつまらないですよね」
「んんっ!」

 スプルートがグロザーの陰茎に手を伸ばすと、グロザーは一際大きく声を上げた。

「ぐ、う……っ! ん、んっ!」

 親指で尿道口を擦られながら陰茎を扱かれ、グロザーは逃げるように首を振る。
 それだけが今の彼に許された自由だった。

「こっちもいじってあげますよ」

 スプルートはグロザーに覆いかぶさるようにすると、残りの手と舌で両の乳首に触れる。
 すでに固くなっていたそれを転がすように弄ぶ。

「んん! んんっ!」

 全身の性感帯を刺激され、グロザーは首を大きく仰け反らせて陰茎から白濁を吐き出した。
 一回の射精で萎えることはなく、陰茎はまだ固さを保っている。

「もっと気持ちよくしてあげますよ」

 自身の手に吐き出された白濁を愛おしげに見やると、スプルートはプラグから伸びた細いケーブルを手繰り寄せリモコンのスイッチを入れた。

「ぐっ、んうぅっ! んんんんっ!」

 プラグに内蔵されたモーターが振動し、グロザーの体内をかき回す。今までにない嬌声を上げながらグロザーは再び吐精する。

「十分経ったら止めますからね。それまで楽しんでください」
「ん、んっ!?」

 言いながらスプルートはグロザーの乳首を木製のクリップで挟み、目隠しをする。

「ぐぅ、んっ……、んんっ、んぅ……っ!」

 視界が目隠しで遮られると、体の刺激がより強いもののように思える。
 振動するプラグを、腸壁越しに前立腺を押しつぶすかの勢いで蠕動する腸がぎゅうと締め上げる。
 そこから生まれる快感はどれほどのものか。
 逃げようにも、拘束された体は身動ぎする度に力が入り、体内の異物を強く締め付ける。
 それが更に快感を生む螺旋に囚われたグロザーは、ただ全てを受け止めることしかできなかった。
 何回も中で達し、快感で忘我の境地に至りそうになる度に、腹部の痛みが意識を現実に引き戻す。便意は時間を追うごとに大きいものとなり、締め付けを更に強くする。
 早く解放されたい。
 そう口にすることすら叶わず、一刻も早くこの時が終わることを祈るしかできなかった。
 でないと――。



「んぅ……、ん、んんっ! う、ん……っ!」

 苦悶と嬌声の混じった声を上げてグロザーが乱れる姿を、スプルートは愉しげに見つめていた。
 普段のグロザーは真面目を絵に描いたような人物で、目つきも悪く、撫で付けた黒の長髪も相まって、容易には近付けないような、棘のある雰囲気を醸し出している。
 それが今はどうだ。
 体に幾重にも縄をかけられ、体内には三日も便を溜め込んで拳ほどもあるプラグを飲み込み、浣腸をされて腹痛と便意に責め立てられながら、生娘のような嬌声を上げて快楽に打ち震えている。
 拘束されて自由を奪われた者が、己の限界を越えた刺激を与えられもがく様を目にすることは、なんと心地よいものか。
 一日でも眺めていられるが、それではグロザーが壊れてしまう。
 この痴態を眺められるのは十分だけだ。限られた時を、余すことなく愉しむのだ。



「んん、う、っ……。んぅ! ん、んっ……!」

 永遠とも思えるような十分間が過ぎたと知ったのは、足の縄が解かれたからだった。体力を消耗しきった体は上手く力が入らず、だらりと伸ばすままになっている。

「よかったですよ、グロザー」

 言いながらスプルートは猿轡越しに口づけをし、汗で顔に張り付いた髪を退ける。

「もう少しですから、頑張って」

 スプルートはグロザーに手を貸しながらベッドから下ろす。
 ベッドの脇には新聞紙が敷かれ、その上には盥が置かれていた。それに跨るように膝立ちにさせた。真っ直ぐに体を起こす体力もないのか、グロザーはベッドの縁に体を預けている。後孔に埋め込まれたプラグから垂れたポンプとリモコンが揺れる。

「んっ、ううぅ、んん、ん……っ!」

 腹痛に耐えるように体を折るグロザーの姿を楽しんでから、スプルートはポンプのボタンに手を伸ばした。

「グロザーがいっぱいうんちするところ、僕に見せてください」
「んんっ、んんんんっ!」

 後孔から空気を抜いて萎んだプラグがずるりと抜け落ち、肛門を押し広げながら我慢させられていた便塊と浣腸液が破裂音を立てて排泄される。
 強い便臭が鼻をついた。
 腸壁を擦り上げられ、便が肛門を通り抜ける刺激に快感を覚え、グロザーは達した。

「ん、うぅ、んんっ……! んっ!」

 達して尚、腹の中に溜まったものの排泄は続いていた。
 ベッドに凭れながらも、喘ぎ声を上げて肛門から太い便を出し続けている。
 最初に抜け落ちたプラグの上に落ちた便は、すっかりプラグを覆い隠していた。

「うんちを出すのも気持ちいいんですか?」
「んう、ぅ……っ!」

 スプルートの言葉にグロザーは羞恥で顔を赤く染め、ゆるゆると首を振る。今目隠しを取ったなら、その目には涙が浮かんでいることだろう。
 固形の便を出し切ったあとは、水分の多い軟便が盥の中に落ちてはべちゃべちゃと音を立てた。
 長い排泄が終わり、腹の中にある便を出し切ったのを見て取るとスプルートは濡れた布でグロザーの肛門を拭う。

「いっぱい出ましたね」
「んっ、ん……っ」

 肛門を押されるとグロザーが嬌声を漏らす。スプルートは肛門を拭い終えると汚れた布を盥の中に捨てた。
 その後、腸を洗浄するため二回浣腸を繰り返し、やっとグロザーは解放された。



 窓を開け、汚物を処分して戻ってきてもグロザーはベッドの上で力なく横たわっていた。
 縄を解かれても尚戒めるように、赤い縄痕がグロザーの体に残っている。
 サイドテーブルにある水を注いだコップが空になっているから、水を飲むくらいはできたようだ。
 スプルートは汗でべたついているグロザーの体をタオルで拭きながら言葉をかけた。

「少し休憩を入れてから、続きをしましょうか」
「……はい」

 少しばかり返事が遅かったのは、単なる疲れだろうか。それとも同意をしかねたからだろうか。

「グロザー、大好きですよ」
「…………はい」

 そう答えたグロザーの声は、少し満足気なものだった。
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みんなの感想(1件)

雷
2024.02.08

私、浣腸プレイとか本当に好きで
主人公が苦しそうにしたり羞恥心を感じたりするところとか
でも恋人だって言うのがまた良い

解除

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