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後輩と先輩
しおりを挟むかわいい後輩と先輩が鉢合わせている。
金曜日の夜に。
なぜか私の家で。
『先輩に何のようですか?』
かわいい後輩はいささか挑発的だ。
『用がないと来ちゃいけない?』
先輩(元カレ)はあきらかにこの状況を面白がっている。
借りてたもの、取りに来てくれただけよ。
私はそう言うと、
寝室に入った。
画集や写真集。
長いこと借りっぱなしになっていた物を紙袋に入れていく。
重さに耐えきれないかもしれないけど、
この心もとない紙袋が良いのだ。
袋は返しにこなくていいよ、
会う用事もないし。
そういうサイン。
彼は気がつくだろう。
頭のいい人だから。とても。
私が支度をしている間も、
可愛い後輩と先輩は、何やら話こんでいる。
『彼女と付き合ってるの?いや、ないな(笑)』
『はっ(怒)』
かわいい後輩のいまにも噛みつきそうな殺気を感じて、
私はリビングに戻る。
やれやれと。
『これ、ありがとう。長く借りちゃってスミマセン。』
『いやいや、取りにこれない俺が悪い。』
先輩は掌を顔の横でヒラヒラさせた。
変わらないな。何年たっても。
私と先輩のやりとりを、
ムスッとした様子で可愛い後輩が見ていた。
視線に耐えかねてか、苦笑した先輩が立ち上がる。
『さて、俺は退散するよ。』
楽しんで、金曜日を(笑)
大きな体で、
紙袋を抱えて。
まだ残るらしい。後輩を部屋にのこし、
私と先輩は部屋を出る。
エレベーターまで見送ることにしたのだ。
『律儀だね。』
『だって仮にも先輩ですから。』
先輩は笑う。
口元を手で少し隠して。
『悪かったね。』
『なにが?』
『自宅まで押し掛けて。』
『あぁ、別に、むしろよかったよ。返せたし。』
と私は紙袋をつついた。
ふっと、先輩の目がほころぶ。
『こんなのは、口実だよ。』
こんなことを言ったらまた彼に怒られるか。
そんなことをブツブツいいながら、
先輩はエレベーターに乗り込んでいった。
『おやすみなさぃ。』
そう言うと少し頭を下げて、
先輩を見送った。
昔好きだった。イケメンの先輩を
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