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本編
9話 悪役令嬢、家族会議をする
しおりを挟む3日後の夜クローディア公爵家
「お父様、お母様、カイルお兄様、お話がございます。少しお時間よろしいでしょうか?」
これからが勝負だ、しっかり慌てずに、自分の目標のために頑張るのよ、サリア!
「どうしたんだい?サリア、何か困ったことでもあったのかい?」
「私、最近考えていたのですが、殿下の妃になるのがとても不安で、私には務まらないと思ったのです。それに殿下にもこんな妃では迷惑がかかっていしまいますから、殿下との婚約解消とその後この国から出て違う場所で平民として暮らす許可をいただきたいと思っていおります。」
私が精一杯考えた言葉だ、家族のことは大好きだし離れたくないけど今後、ゲームの強制力が働かないとは限らないから、得切る限りのことはしておきたい。
「…サリア、そんなに思い詰めていたのか…婚約解消はお前がそこまでいうなら考えるが、いくらなんでも平民になって、さらに他国に行く必要はないのではないか?」
「父上⁉︎何を言っているのですか、婚約解消など殿下が許すはずないではありませんか!殿下は……」
「カイル!お前は黙っていなさい。サリアがここまで考えているのだ。それに、私は娘に望まない結婚はさせたくはない。サリア、他国に行くと言っているが何か当てはあるのか?」
お兄様が何か言おうとしていたがお父様が遮ってこちらを向いた。
「はい、お父様。学園の料理サロンのダナン先輩と言う方に紹介していただいた料理長の紹介で務めるところも決まっておりますのでお父様たちに面倒はかけません。殿下とも私が直接お話して婚約解消をしようと思っております。だから、お父様たちには婚約解消後にご迷惑をおかけすると思いますが、その後のことは自分で致しますので心配なさらないでください。」
しっかりとお父様たちをみて言うと3人は心配そうな顔をしていた。静かに聞いていたお母様が口を開いた。
「……サリア、なぜ相談してくれなかったの。私たちは頼りなかったかしら…」
「違います、お母様!お母様のことは頼りにしていますし、尊敬もしていますし、お母様もお父様もお兄様も大好きです。使用人のみんなだって大切な家族だと思っています!
今回のことは私自身が決めてけじめをつけなければいけないことだと考えたのです。」
「……そうか、わかった。そこまでの覚悟があるのならばお前の人生なのだから好きに生きなさい。…でもこれだけは忘れてはいけいないよ、私たちはみんなサリアの愛している、何か困ったことがあれば頼りなさい。約束できるかい?」
「……っはい!約束します!大好きですわ、お父様!」
「そうよ、私も愛してるわ、サリア。あなたの生きたいように生きなさい。」
「何か困ったことがあれば頼るんんだよ、サリア。私はずっとサリアの味方だから。」
あぁ、幸せ者だな、私は。涙で視界が歪むがみんなが抱きしめてくれてとても嬉しかった。
その後は、学園での出来事やメルのことなどを話して家族団欒を過ごし、家族会議は終わった。
卒業式まで後1ヶ月。やることはたくさんあるから明日から本格的に動いて行こう。明日からのことを考えながら就寝の支度をしているとふと、殿下のことがあたまによぎった。何か胸にひっかかりを覚えながら気のせいだと思い、ベットに横になった。
******
あっという間に1ヶ月が経ち準備も進み、メルとの残り僅かな学園生活を楽しく過ごし、卒業パーティー後に他国にわたる準備も整った。だが、肝心の殿下にはまだ話せていない。私の中で言わなければと思いながら言えずに時間が過ぎていった。メルとアーノルド君は卒業式の後に結婚式をする計画を立てていてとても幸せそうだ、多分その結婚式には出れないが心から祝福したいと思う。
殿下はこの1ヶ月公務が忙しいようで授業も出ない日もあれば、お昼だけ学園に来て一緒に食べてすぐに戻っていく日々が続いており、余計に話せなくなっていた。なぜ忙しいのか聞いても、まだ言えないんだ、ごめんねサリアと言って教えてはくれなかった。
メッシーナとは、たまに近況報告をしているがお父上にもそれとなく話して準備を進めているらしい。殿下と話せていないことを問い詰められることもあるが殿下が忙しく話す時間がないというのはメッシーナもわかっているためそれ以外の準備を進めており、概ね計画おおりに行っている。
卒業式当日、結局この日まで殿下と話すことは出来ず、今日も殿下に送っていただいたドレスで卒業パーティーにでることになった。まだ婚約解消していないのだから着ていくのが当たり前だと思い、袖を通し専属メイドのアニーに支度をしてもらい学園に向かった。
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