ヒロインと悪役令嬢は戦友⁉︎

文字の大きさ
9 / 13
本編

9話 悪役令嬢、家族会議をする

しおりを挟む





3日後の夜クローディア公爵家



「お父様、お母様、カイルお兄様、お話がございます。少しお時間よろしいでしょうか?」

これからが勝負だ、しっかり慌てずに、自分の目標のために頑張るのよ、サリア!

「どうしたんだい?サリア、何か困ったことでもあったのかい?」

「私、最近考えていたのですが、殿下の妃になるのがとても不安で、私には務まらないと思ったのです。それに殿下にもこんな妃では迷惑がかかっていしまいますから、殿下との婚約解消とその後この国から出て違う場所で平民として暮らす許可をいただきたいと思っていおります。」

私が精一杯考えた言葉だ、家族のことは大好きだし離れたくないけど今後、ゲームの強制力が働かないとは限らないから、得切る限りのことはしておきたい。

「…サリア、そんなに思い詰めていたのか…婚約解消はお前がそこまでいうなら考えるが、いくらなんでも平民になって、さらに他国に行く必要はないのではないか?」

「父上⁉︎何を言っているのですか、婚約解消など殿下が許すはずないではありませんか!殿下は……」

「カイル!お前は黙っていなさい。サリアがここまで考えているのだ。それに、私は娘に望まない結婚はさせたくはない。サリア、他国に行くと言っているが何か当てはあるのか?」

お兄様が何か言おうとしていたがお父様が遮ってこちらを向いた。

「はい、お父様。学園の料理サロンのダナン先輩と言う方に紹介していただいた料理長の紹介で務めるところも決まっておりますのでお父様たちに面倒はかけません。殿下とも私が直接お話して婚約解消をしようと思っております。だから、お父様たちには婚約解消後にご迷惑をおかけすると思いますが、その後のことは自分で致しますので心配なさらないでください。」

しっかりとお父様たちをみて言うと3人は心配そうな顔をしていた。静かに聞いていたお母様が口を開いた。

「……サリア、なぜ相談してくれなかったの。私たちは頼りなかったかしら…」

「違います、お母様!お母様のことは頼りにしていますし、尊敬もしていますし、お母様もお父様もお兄様も大好きです。使用人のみんなだって大切な家族だと思っています!
今回のことは私自身が決めてけじめをつけなければいけないことだと考えたのです。」

「……そうか、わかった。そこまでの覚悟があるのならばお前の人生なのだから好きに生きなさい。…でもこれだけは忘れてはいけいないよ、私たちはみんなサリアの愛している、何か困ったことがあれば頼りなさい。約束できるかい?」

「……っはい!約束します!大好きですわ、お父様!」

「そうよ、私も愛してるわ、サリア。あなたの生きたいように生きなさい。」

「何か困ったことがあれば頼るんんだよ、サリア。私はずっとサリアの味方だから。」

あぁ、幸せ者だな、私は。涙で視界が歪むがみんなが抱きしめてくれてとても嬉しかった。

その後は、学園での出来事やメルのことなどを話して家族団欒を過ごし、家族会議は終わった。




卒業式まで後1ヶ月。やることはたくさんあるから明日から本格的に動いて行こう。明日からのことを考えながら就寝の支度をしているとふと、殿下のことがあたまによぎった。何か胸にひっかかりを覚えながら気のせいだと思い、ベットに横になった。




******



あっという間に1ヶ月が経ち準備も進み、メルとの残り僅かな学園生活を楽しく過ごし、卒業パーティー後に他国にわたる準備も整った。だが、肝心の殿下にはまだ話せていない。私の中で言わなければと思いながら言えずに時間が過ぎていった。メルとアーノルド君は卒業式の後に結婚式をする計画を立てていてとても幸せそうだ、多分その結婚式には出れないが心から祝福したいと思う。

殿下はこの1ヶ月公務が忙しいようで授業も出ない日もあれば、お昼だけ学園に来て一緒に食べてすぐに戻っていく日々が続いており、余計に話せなくなっていた。なぜ忙しいのか聞いても、まだ言えないんだ、ごめんねサリアと言って教えてはくれなかった。

メッシーナとは、たまに近況報告をしているがお父上にもそれとなく話して準備を進めているらしい。殿下と話せていないことを問い詰められることもあるが殿下が忙しく話す時間がないというのはメッシーナもわかっているためそれ以外の準備を進めており、概ね計画おおりに行っている。

卒業式当日、結局この日まで殿下と話すことは出来ず、今日も殿下に送っていただいたドレスで卒業パーティーにでることになった。まだ婚約解消していないのだから着ていくのが当たり前だと思い、袖を通し専属メイドのアニーに支度をしてもらい学園に向かった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が

和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」 エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。 けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。 「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」 「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」 ──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。

溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~

紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。 ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。 邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。 「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」 そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。

【完結】元悪役令嬢は、最推しの旦那様と離縁したい

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
「アルフレッド様、離縁してください!!」  この言葉を婚約者の時から、優に100回は超えて伝えてきた。  けれど、今日も受け入れてもらえることはない。  私の夫であるアルフレッド様は、前世から大好きな私の最推しだ。 推しの幸せが私の幸せ。  本当なら私が幸せにしたかった。  けれど、残念ながら悪役令嬢だった私では、アルフレッド様を幸せにできない。  既に乙女ゲームのエンディングを迎えてしまったけれど、現実はその先も続いていて、ヒロインちゃんがまだ結婚をしていない今なら、十二分に割り込むチャンスがあるはずだ。  アルフレッド様がその気にさえなれば、逆転以外あり得ない。  その時のためにも、私と離縁する必要がある。  アルフレッド様の幸せのために、絶対に離縁してみせるんだから!!  推しである夫が大好きすぎる元悪役令嬢のカタリナと、妻を愛しているのにまったく伝わっていないアルフレッドのラブコメです。 全4話+番外編が1話となっております。 ※苦手な方は、ブラウザバックを推奨しております。

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜

咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。 もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。 一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…? ※これはかなり人を選ぶ作品です。 感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。 それでも大丈夫って方は、ぜひ。

完【恋愛】婚約破棄をされた瞬間聖女として顕現した令嬢は竜の伴侶となりました。

梅花
恋愛
侯爵令嬢であるフェンリエッタはこの国の第2王子であるフェルディナンドの婚約者であった。 16歳の春、王立学院を卒業後に正式に結婚をして王室に入る事となっていたが、それをぶち壊したのは誰でもないフェルディナンド彼の人だった。 卒業前の舞踏会で、惨事は起こった。 破り捨てられた婚約証書。 破られたことで切れてしまった絆。 それと同時に手の甲に浮かび上がった痣は、聖痕と呼ばれるもの。 痣が浮き出る直前に告白をしてきたのは隣国からの留学生であるベルナルド。 フェンリエッタの行方は… 王道ざまぁ予定です

処理中です...