【完結】古ぼけた時計

お稽古

幼稚園児になったひなこは茶道教室に通った。子供ながら着物を着てお茶会に出ていた。
「結構なお点前で。」
そう言って、お辞儀をする。次の人にお茶碗を差し出した。
正座していた足がジンジンとして痛い。
それでもひなこは我慢した。

この頃のひなこはスイミングと英会話、茶道教室、ピアノ教室、体操教室へと通っていた。

大嶋の子なら…。

おばあさんがそういっていた。
ひなこはたまに神様のお使いと話した。

たいそう厳しいってこういうことだったんですね。

そうだね。でもこれからもっと厳しくなるよ。

そう言って、夢の中で神様のお使いと話した。

朝になればいつも通りの日常が始まる。ひなこは良く寝て良く食べて良く動いた。
身長は平均よりやや大きく、体重は適正だった。幼稚園では良く絵本を読んで先生の前で暗唱した。
ひなこはひよこ組の優等生だった。
それでもそれを快く思わない子もいた。
ひよこ組の高遠だ。高遠は幼稚園でも弱いものいじめをして幅を利かせていた。
ひなこは何度か仲裁に入り、高遠からは面白くない女だと罵られていた。
同じ幼稚園児とは思えない口の悪さだった。
それでも幼稚園が終わる頃には高遠はお母さんにベッタリとして帰っていく。
ひなこはああマザコンなんだな、と思ってその様子を見ていた。

ひなこくん、支障はないかい？

その日また、神様のお使いと話した。

充実してます。

ひなこはでもちょっと大変ですねーという言葉を飲み込んだ。

食べるのには不自由しないんですよね？

ひなこは疑問だった事を聞いた。

大嶋さんの家は色んな株も会社も持ってるから食べるのに困るってことはないね。

そう言って神様のお使いは帰っていった。

いつもは朝まで起きないひなこだがこの日は夜中に目を覚ました。
外からひなこに真っ直ぐな光が差していた。
驚きながらもひなこは眠りについた。