【完結】古ぼけた時計

九時せんり

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定期テスト

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「一番は赤松かぁ…。」
ひなこ達が通う国立大学附属小学校では定期テストが行われた。
小学校とは思えないような難解な試験問題が出題された。
一番を取った赤松君は多少、精神的におかしなところがあったものの小学校に来る前に中学校の勉強まで終えている天才だった。
本ばかり読んでいたひなこは後ろから数えた方が早い成績を取ってしまった。
お父さんとお母さんにどう説明しよう…そう頭を悩ませた。
それでも国語の成績は上位20番に入った。
満ちゃんは真ん中くらいの成績で、ひなこに自慢気に自分の成績を話した。
その日、図書室でひなこは校長先生と話した。
「成績ですか…。」
「父と母にどう説明すべきなのか…。」
そう言ってひなこはシュンとする。
「課題をしてませんでしたからね。嘘を付く事なく正直に話したらどうですか?」
校長先生はそう言ってニコニコする。
本来、校長室にいなくてはならない校長先生だが、生徒と何らかの接点を持ちたいと言って図書室に来ているのだと最近になってひなこは知った。
「怒られるんじゃないかと思って…。」
「怒ってもらえるうちが華ですよ。」
そう言って校長先生はひなこの後ろに並んでいる上級生の図書の貸出をこなしていく。
「私も子供の頃は本の虫で、沢山の本を読みました。その頃は赤点なんかも取りましたね。」
校長先生はニヤッとした。
ひなこは校長先生でも赤点を取るのか、そう思って安堵した。
「勉強は好きですか?」
校長先生がそう尋ねた。
「勉強より本が面白いんです。私の知らないことがいっぱい出てきて。」
ひなこはそれからいかに本が好きかを語った。
「ここ図書室なんだけど。」
若本君が後ろからぼそっと話した。
「ああ、ごめんなさい。」
「大嶋って大嶋グループの大嶋?」
「え?」
「いや、母さんが大嶋って言うのがクラスにいるんだって言ったら、大嶋グループのご令嬢?って。」
「違う、違うの。」
「なら良いんだけど。お前、本読んでる時何も聞こえなくなるの何とかしろよ。国語の杉林キレてたぞ。」
若本君は返却処理を済ませて今日借りる本を校長先生に差し出した。
「怪盗ゾロゾロ借りるんだ…。」
「悪いのかよ。お菓子のマロンさん読んでるやつに言われたくないぞ。」
そう言って若本君はランドセルに本をしまった。
「若本君は勉強と読書どうやってバランス取ってるの?」
「勉強は義務。読書は娯楽だな。勉強は毎日必ずするんだけど読書は隙間時間にだ。あと、満が、大嶋の成績めっちゃ悪いって言いふらしてたぞ。」
ひなこは苦笑いした。
「大嶋って本読むけど課題してないんだろう?テストって課題から全部でてるんだぞ。」
「え、そうなの?」
「暗記が得意な大嶋なら課題さえこなせばいい成績取れると思うけどな。じゃあ。」
そして若本君は帰っていった。
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