3 / 46
3.女神さまと玄関先での攻防
しおりを挟む
さて、帰ってきたのはいいが、これはどうしたものか。
昼間、浩介と菜摘に言われた部屋の掃除をしようと思ってたのだが、改めて、客観的に見てみるとなかなか凄いな。
床一面に散乱した衣類や雑誌、タンスの引き出しが全段引き出されて適当に突っ込まれた衣類、90リットルのごみ袋から溢れてる空のペットボトル、無造作に積み上げられたスポーツドリンクの空の段ボール、ごみ箱を覆うように積み上げられているコンビニ弁当の残骸。
……うん、これは無理だな。俺の実力では倒せない敵がここにいる。
こういうことには魔法は全く役に立たないし、どうしたものか。全部吹っ飛ばすならできるんだけどな。
地道に片付けていけばいいのかもしれないが、最早どこから手を付けていいのかすらわからない状態である。
仕方ない、人生諦めが肝心だ……というわけで夕食だ、コンビニ弁当でも買いに行こう。
そう思って、玄関のドアを開けた時だった。
「きゃっ、びっくりした~……あ、相沢君、こんにちは」
なぜか一ノ瀬が俺の部屋の前にいた。制服姿なのは学校帰りなのだろう。手には少し大きめの紙袋を持っている。
「一ノ瀬、どうしてここに?」
「うん、昨日のお礼とか何もできてなかったし……あ、これ、おばあちゃんが持って行ってって」
「ああ、そんなのわざわざいいのに……ありがとう」
やはり一ノ瀬は美人なだけじゃなくて、性格もいいのだなって思う。
「ねぇ、相沢君。私からも何かお礼がしたいの。私にできることなら何でもいいから」
一ノ瀬のような美少女に何でもいいなんて言われたら、健全な男子高校生ならよからぬことを考えてしまうぞ。
俺もちょっと考えてしまった辺り、健全な男子高校生だ。
「いや、一ノ瀬、女の子がそんな何でもするとか言うなよ。特にお前は美人なんだしな。俺が何かとんでもない事とか言い出したらどうするんだ?」
「えっ、ちょ、ちょっと、何を急に……面と向かって美人とか言われるのは恥ずかしいから……それに、相沢君はとんでもない事なんて言わない気がする……言ってくれても……けど……」
最後のほうがうまく聞き取れなかったが、一ノ瀬ってあまりこういう耐性なさそうだな。
顔を赤くして俯きながら俺を見てくるから、自然と上目遣いになっている。美人のこういう表情は反則だろ。こんな感じでお願いごとでもされたら、二つ返事でOKしてしまいそうだ。
「それに、してほしいことなら、昨日言ったことでいいぞ」
「ん~、でも……あれって結局何もしないのと同じでしょ?相沢君に何もメリットないよね?」
昨日、帰る前にこの恩は絶対返すからって言われて、それならと言ったこと。それは、『学校では今まで通りに接してほしい』ということだ。実質、学校では関わらないということになる。
「そんなことはないな。俺は目立ちたくないから」
「私が話しかけたらそんなに目立つ?」
クラスも違うし、何の接点もないであろう俺にいきなり話しかけてきたら、浩介でもひっくり返るぞ。そして、衆人環視の状態で一ノ瀬との会話を終えたら、見ていた人間から怒涛の攻めを受けることになるだろう。そんなことになったら、俺も一躍有名人だ。そんなのは困る。
「当然だな。自分の影響力を考えてみてくれ」
「影響力?私、あまり男子と話さないし、そういうのあまり聞いたことないんだけど、どういうことなの?」
あまり男子と話さないってのは意外だな。周りに気軽に一ノ瀬に話しかけに行ける男子がいないのか。それとも、周りの女子たちが気を使ってガードしているのか。普段見ているわけじゃないからわからんが……。
「一ノ瀬、お前って男子生徒から、女神様って呼ばれてるの知ってるか?」
「……それは知ってるけど、その呼ばれ方は嫌。誰が言い始めたのか知らないけど、私そんな柄じゃないし」
女神様という単語で、一ノ瀬から笑顔が消えた。
これって、みんなが知らないだけでNGワードじゃねえか。ファンクラブの連中なんて、女神様ファンクラブとか名前だった気がするな。残念だが、終了のお知らせをしてあげよう。主に俺の心の中でだが。
一応、浩介とも共有しておくか?あいつ、たまに女神って言ってるからな……いや、何でそんなこと知ってるとか言われたら面倒だな。やめておこう。
「ああ、ちなみに俺じゃないからな」
「うん、それはもちろんわかってる」
先ほどの無表情から一転して笑顔を向けてくれた。不意打ちはヤバいな、他意はないとわかっていても、ドキリとしてしまう。
「一ノ瀬は定期考査で毎回1位だろ?」
「うん、勉強は頑張ってやってるから。相沢君も毎回一桁順位でしょ?」
「ああ、成績上位は一人暮らしの条件だからな。てか、よく知ってるな」
定期考査は30位まで順位が貼り出されるようになっている。ちなみに、菜摘もランクインしてる。浩介は見たことない。毎回テストの度に、菜摘に怒られてるからそんなに良くないのだろう。授業は結構真面目に受けているはずなんだけどな。
「貼り出されてる人の名前は大体覚えてるよ」
俺なんて毎回1位の一ノ瀬と菜摘と自分の名前しか覚えてないぞ。
「すげぇな。で、体育でもいつも活躍してるだろ?」
「ん~運動は嫌いじゃないし、全力でやるようにはしてる」
「頻繁に男子から告白されて全部断ってるって聞いてるが?」
「あ~それは……ね……私は誰とも付き合ったりする気はないの」
一瞬、視線を落として悲しげな表情を浮かべる。
何かあるのか……まぁ、俺が気にしても仕方ないか。
「ま、他にも色々あるだろうが、そんな感じで一ノ瀬は人気があるわけだ。そんな一ノ瀬がクラスの中でも特に目立つことのない、モブキャラの俺に話しかけたりでもしたら、間違いなく目立つ。周りから何でアイツが?みたいな視線で見られるに決まってるからな。クラスも違うから余計にだな。というわけでダメだ」
「なんか納得いかない事も多いんだけど、相沢君に迷惑かかるならダメかな~」
「わかってもらえてなによりだ」
「う~ん……あ、そうそう、相沢君、それなら連絡先教えてもらえないかな?ダメ?」
「え?ああ、もちろんいいけど。お前に言われてダメなんて言うやついないだろ?……ちょっと携帯取ってくるから待っててくれ」
おお、女神様の連絡先ゲットだぜ。こういうことは誰かに言いたくなるが、誰にも言えないな。
「あれ?どうかしたか?」
携帯取って玄関に戻ってきたら、一ノ瀬が口を半開きにして固まってた。
「あ、あの~相沢君?これって、もしかして、空き巣にでも入られたの?」
「ん?いや、そんなことないぞ」
「え?もしかしてこれが日常なの?」
「ああ、さっき掃除しようとは思ったんだけどな。まぁ、諦めた」
「ごめん、ちょっと上がらせてもらうね」
そう言って靴を脱ぐと、アスレチックなフィールドを進むかのように足場を探しながら部屋の中に入っていく。リビングに到達すると、ピタッと足が止まった。
「決めたわ。相沢君?明日は何か用事はあるかしら?ないわよね?」
一ノ瀬から強烈な圧力を感じる。これは拒否できないやつだ。俺は何かやらかしたか?
「ああ、明日も明後日も空いてる。大丈夫だ」
「じゃあ、明日、朝から掃除しましょう」
「いや、これを手伝ってもらうのはさすがになぁ……」
「そんなこと言ってられるような状況じゃないよ、これ……それとね、私の部屋、この真上なの」
おっと、そうだったのか、それは知らなかった。知ったからといって、行くわけじゃないけどな。
「私の部屋の下がゴミ屋敷っていうのは嫌。明日一日で終わるかどうかもわからないくらいだし、頑張って掃除しようね」
そう言った一ノ瀬は顔は笑っていたが、目がマジだった。ああ、明日は頑張ろう。
昼間、浩介と菜摘に言われた部屋の掃除をしようと思ってたのだが、改めて、客観的に見てみるとなかなか凄いな。
床一面に散乱した衣類や雑誌、タンスの引き出しが全段引き出されて適当に突っ込まれた衣類、90リットルのごみ袋から溢れてる空のペットボトル、無造作に積み上げられたスポーツドリンクの空の段ボール、ごみ箱を覆うように積み上げられているコンビニ弁当の残骸。
……うん、これは無理だな。俺の実力では倒せない敵がここにいる。
こういうことには魔法は全く役に立たないし、どうしたものか。全部吹っ飛ばすならできるんだけどな。
地道に片付けていけばいいのかもしれないが、最早どこから手を付けていいのかすらわからない状態である。
仕方ない、人生諦めが肝心だ……というわけで夕食だ、コンビニ弁当でも買いに行こう。
そう思って、玄関のドアを開けた時だった。
「きゃっ、びっくりした~……あ、相沢君、こんにちは」
なぜか一ノ瀬が俺の部屋の前にいた。制服姿なのは学校帰りなのだろう。手には少し大きめの紙袋を持っている。
「一ノ瀬、どうしてここに?」
「うん、昨日のお礼とか何もできてなかったし……あ、これ、おばあちゃんが持って行ってって」
「ああ、そんなのわざわざいいのに……ありがとう」
やはり一ノ瀬は美人なだけじゃなくて、性格もいいのだなって思う。
「ねぇ、相沢君。私からも何かお礼がしたいの。私にできることなら何でもいいから」
一ノ瀬のような美少女に何でもいいなんて言われたら、健全な男子高校生ならよからぬことを考えてしまうぞ。
俺もちょっと考えてしまった辺り、健全な男子高校生だ。
「いや、一ノ瀬、女の子がそんな何でもするとか言うなよ。特にお前は美人なんだしな。俺が何かとんでもない事とか言い出したらどうするんだ?」
「えっ、ちょ、ちょっと、何を急に……面と向かって美人とか言われるのは恥ずかしいから……それに、相沢君はとんでもない事なんて言わない気がする……言ってくれても……けど……」
最後のほうがうまく聞き取れなかったが、一ノ瀬ってあまりこういう耐性なさそうだな。
顔を赤くして俯きながら俺を見てくるから、自然と上目遣いになっている。美人のこういう表情は反則だろ。こんな感じでお願いごとでもされたら、二つ返事でOKしてしまいそうだ。
「それに、してほしいことなら、昨日言ったことでいいぞ」
「ん~、でも……あれって結局何もしないのと同じでしょ?相沢君に何もメリットないよね?」
昨日、帰る前にこの恩は絶対返すからって言われて、それならと言ったこと。それは、『学校では今まで通りに接してほしい』ということだ。実質、学校では関わらないということになる。
「そんなことはないな。俺は目立ちたくないから」
「私が話しかけたらそんなに目立つ?」
クラスも違うし、何の接点もないであろう俺にいきなり話しかけてきたら、浩介でもひっくり返るぞ。そして、衆人環視の状態で一ノ瀬との会話を終えたら、見ていた人間から怒涛の攻めを受けることになるだろう。そんなことになったら、俺も一躍有名人だ。そんなのは困る。
「当然だな。自分の影響力を考えてみてくれ」
「影響力?私、あまり男子と話さないし、そういうのあまり聞いたことないんだけど、どういうことなの?」
あまり男子と話さないってのは意外だな。周りに気軽に一ノ瀬に話しかけに行ける男子がいないのか。それとも、周りの女子たちが気を使ってガードしているのか。普段見ているわけじゃないからわからんが……。
「一ノ瀬、お前って男子生徒から、女神様って呼ばれてるの知ってるか?」
「……それは知ってるけど、その呼ばれ方は嫌。誰が言い始めたのか知らないけど、私そんな柄じゃないし」
女神様という単語で、一ノ瀬から笑顔が消えた。
これって、みんなが知らないだけでNGワードじゃねえか。ファンクラブの連中なんて、女神様ファンクラブとか名前だった気がするな。残念だが、終了のお知らせをしてあげよう。主に俺の心の中でだが。
一応、浩介とも共有しておくか?あいつ、たまに女神って言ってるからな……いや、何でそんなこと知ってるとか言われたら面倒だな。やめておこう。
「ああ、ちなみに俺じゃないからな」
「うん、それはもちろんわかってる」
先ほどの無表情から一転して笑顔を向けてくれた。不意打ちはヤバいな、他意はないとわかっていても、ドキリとしてしまう。
「一ノ瀬は定期考査で毎回1位だろ?」
「うん、勉強は頑張ってやってるから。相沢君も毎回一桁順位でしょ?」
「ああ、成績上位は一人暮らしの条件だからな。てか、よく知ってるな」
定期考査は30位まで順位が貼り出されるようになっている。ちなみに、菜摘もランクインしてる。浩介は見たことない。毎回テストの度に、菜摘に怒られてるからそんなに良くないのだろう。授業は結構真面目に受けているはずなんだけどな。
「貼り出されてる人の名前は大体覚えてるよ」
俺なんて毎回1位の一ノ瀬と菜摘と自分の名前しか覚えてないぞ。
「すげぇな。で、体育でもいつも活躍してるだろ?」
「ん~運動は嫌いじゃないし、全力でやるようにはしてる」
「頻繁に男子から告白されて全部断ってるって聞いてるが?」
「あ~それは……ね……私は誰とも付き合ったりする気はないの」
一瞬、視線を落として悲しげな表情を浮かべる。
何かあるのか……まぁ、俺が気にしても仕方ないか。
「ま、他にも色々あるだろうが、そんな感じで一ノ瀬は人気があるわけだ。そんな一ノ瀬がクラスの中でも特に目立つことのない、モブキャラの俺に話しかけたりでもしたら、間違いなく目立つ。周りから何でアイツが?みたいな視線で見られるに決まってるからな。クラスも違うから余計にだな。というわけでダメだ」
「なんか納得いかない事も多いんだけど、相沢君に迷惑かかるならダメかな~」
「わかってもらえてなによりだ」
「う~ん……あ、そうそう、相沢君、それなら連絡先教えてもらえないかな?ダメ?」
「え?ああ、もちろんいいけど。お前に言われてダメなんて言うやついないだろ?……ちょっと携帯取ってくるから待っててくれ」
おお、女神様の連絡先ゲットだぜ。こういうことは誰かに言いたくなるが、誰にも言えないな。
「あれ?どうかしたか?」
携帯取って玄関に戻ってきたら、一ノ瀬が口を半開きにして固まってた。
「あ、あの~相沢君?これって、もしかして、空き巣にでも入られたの?」
「ん?いや、そんなことないぞ」
「え?もしかしてこれが日常なの?」
「ああ、さっき掃除しようとは思ったんだけどな。まぁ、諦めた」
「ごめん、ちょっと上がらせてもらうね」
そう言って靴を脱ぐと、アスレチックなフィールドを進むかのように足場を探しながら部屋の中に入っていく。リビングに到達すると、ピタッと足が止まった。
「決めたわ。相沢君?明日は何か用事はあるかしら?ないわよね?」
一ノ瀬から強烈な圧力を感じる。これは拒否できないやつだ。俺は何かやらかしたか?
「ああ、明日も明後日も空いてる。大丈夫だ」
「じゃあ、明日、朝から掃除しましょう」
「いや、これを手伝ってもらうのはさすがになぁ……」
「そんなこと言ってられるような状況じゃないよ、これ……それとね、私の部屋、この真上なの」
おっと、そうだったのか、それは知らなかった。知ったからといって、行くわけじゃないけどな。
「私の部屋の下がゴミ屋敷っていうのは嫌。明日一日で終わるかどうかもわからないくらいだし、頑張って掃除しようね」
そう言った一ノ瀬は顔は笑っていたが、目がマジだった。ああ、明日は頑張ろう。
0
あなたにおすすめの小説
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話
頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。
綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。
だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。
中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。
とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。
高嶺の花。
そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。
だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。
しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。
それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。
他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。
存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。
両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。
拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。
そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。
それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。
イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。
付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる