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第三章 学園祭準備編
第十一話 決着をつけよう
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そして、決戦のときはあっという間にやって来た。
三回目の学園祭実行会議にして、一番人数が集まっているだろう。みんな、自分たちの企画はそっちのけで野次馬に回っていた。
教壇の前に机と椅子が置かれ、向井さんが座っている。その横に小内先輩と東野先輩が対峙する形で立っていた。
「えーと……。西棟の食堂をどちらが使うかは、料理で決着をつけます。それでいいんですよね?」
実行委員の人も困惑しつつ、進行を始める。小内先輩と東野先輩はしっかりと頷いた。
「それで、審査員を務めていただくのは、……こちらの方です。公正にお願いします」
「もちろんだ」
公正という意味では、向井さん以上に適任者はいないだろう。両者が持って来ている料理を準備している間、津川先輩が僕にこっそり耳に打ちしてきた。
「ところで、水上くんはどうして野球部側にいるんだい?」
そうなのだ。僕らトレジャーハンター部は少し離れた場所で見ているのに対して、水上くんだけ野球部の部長東野先輩のすぐそばにいる。
「水上くんは、監修をしていたんです……!」
「ふーん?」
津川先輩が首をひねっている内に、準備が整ったようだ。
「それでは、わたしから始めさせてもらいます」
先攻は小内先輩だ。紙に包んだものを皿にのせて、向井さんの前に置く。
「ベトナムの屋台で好んで食べられるサンドイッチ、バインミーです」
向井さんがサンドイッチの紙をめくる。
中に挟んでいるオレンジのあれは、にんじんだろうか。フランスパンは軽く焼いているのか、香ばしい匂いが僕の元まで漂ってきた。
「園芸部で育てた、にんじんと大根を使ったなますを挟んでいます。現地では味付けをした豚肉を挟むことが定番だそうですが、野菜の味をあじわってもらうために鶏モモ肉のソテーを挟んでいます。味付けも野菜が際立つように調整しました。ご賞味ください」
聞いているだけでよだれが出て来た。
「ふむ」
向井さんはみんなが注目している中で、咀嚼する。
「うん。とても美味しい」
それ以上何も言わずに、サンドイッチを置く向井さん。本当に審査員に徹するようだ。
続いて、東野先輩が机の上に皿を置く。
「俺が考案したのは、チョコバナナのクレープ包みです」
僕が試食した改良版だ。クレープが綺麗に焼けていて、チョコソースも細くらせん状に描かれている。一週間前とは雲泥の差だ。
「そして」
東野先輩は他にも小さな皿を向井さんの前に並べていく。
「イチゴソース、カラースプレー、生クリーム、マシュマロ、追いチョコ。好きなトッピングを選んで食べてください」
小さな皿には色とりどりのトッピングが盛られていた。向井さんはスプーンを手にして、イチゴの果肉が入ったソースをかける。棒を持って口に運んだ。
「うん。これも、とても美味しい」
試食はほんの一口ずつ。そして、促されることもなく、向井さんは右手を上げた。
「チョコバナナのクレープ包みの勝利だ」
あっさりとした言い方だ。僕らはなぜかシンと静まってしまう。
「な、なぜですか!」
最初に口を開いたのは小内先輩だ。
「どっちも美味い。ならば、味で生徒に優劣をつけるべきではない」
教師らしい言葉だろう。味が明らかに劣っている(例えば僕が食べさせられた最初の試食品とか)ならば、どちらが味で勝っているかはハッキリ言えたに違いない。
味で決めたのでなければ、理由は明らかだ。
「友人とどれにするか選びながら食べる料理は、きっと学園祭で心に残るだろう」
「そんな! ズルい!」
小内先輩はぐっと拳を握りしめている。鼻をすする音もした。
「わたしたちには学園祭が全てなのに……!」
――学園祭が全て。
その言葉を聞いて、ハッとしてしまった。
小内先輩が頑張っていたのは、憧れの先輩のためではなかったのだ。本当に小内先輩は学園祭に全てをかけていたのだ。園芸部が活躍するのは、模擬店を開く学園祭以外有り得ないからだ。
「小内……」
勝ったはずの東野先輩は絶望的な顔をしていた。幼なじみでも、泣き顔なんて見る機会はないだろう。
「……ッ!」
「えっ! 東野先輩!?」
「どうしたの!?」
驚いたことに東野先輩は、向井さんの前に置いていた小内先輩が作ったバインミーを掴んで食べ始めたのだ。
「ん、むぐ、……んぐ」
残っていたバインミーを全て口の中に詰め込むように食べ終えた。
これには小内先輩も呆気に取られて見ている。
「東野くん、どうして」
「うまい。めちゃくちゃ、うまい」
東野先輩は口を手の甲で乱暴に拭うと、ゆっくりと頭を下げた。
「ごめん。小内。俺、園芸部のことなめていた。めちゃくちゃ、なめた口叩いていていた。でも、こんな育てた野菜を使った美味い料理が出来るんだな。正直、俺のよりずっと美味いよ。用務員さんが言ったのは、やっぱり俺が学園の生徒だからだ」
「……東野くん」
「そんなお情けみたいな勝利いらねぇよ」
東野先輩は実行委員の人を見つめる。
「えっと……」
見つめられた実行委員の人は、向井さんの方を振り返る。だけど、向井さんが口を開く前に、野球部の人たちが前に出た。
「あのっ! 今年は俺たちと合同で西棟の食堂を使いませんか!?」
一瞬、どういうことか分からなかったけれど、横にいる水上くんが代弁してくれる。
「えーと、つまり運動部と園芸部と家庭科部が合同で模擬店をするってことだよね。つまり、スペシャルメニューが二つとも食べられるってこと!?」
すると、わっと大講堂内が沸く。
「両方食べたい!」
「せっかく作ったのに、もったいないよ!」
「美味しい野菜を食べさせてくれ、小内さん!」
小内先輩は大講堂を見回したあと、東野先輩を振り返る。
「えーと。みんな、ああ言っているし。いいか、小内」
ぶっきらぼうな言い方で、視線も合わせていない。あまり、誠意のある言い方でもない。
けれど、小内先輩は無言で頷いた。
第三回の学園祭実行会議は大円団で幕を閉じた。まだまだ、時間はある。
その間に、メニューの調整もするそうだ。さすがに大所帯なので、他の運動部の一部は他の企画をするのだと張り切っていた。
トレジャーハンター部も並んで、大講堂を後にする。
「水上くん、大活躍だったね」
「へへっ。そうかな。これを機会に小内先輩と東野先輩が仲良くなるといいね」
「二人とも鈍い。簡単にはいかない」
「ははっ。その通りだ」
僕らは肩の荷が下りたとばかりに足取りも軽い。
「あ! 待って! トレジャーハンター部!」
小内先輩だ。隣には東野先輩もいる。
なんだろう。もう用はないはずだ。
「二人で話あったのだけど、トレジャーハンター部に任せることにしました」
「何をですか?」
「ほら、俺たち毎年両棟の食堂を予約しているみたいなものだろ。それが今年は東棟の方が余るんだ」
トレジャーハンター部に任せる? 東棟の食堂を??
「……どうして? 運動部の人たちは……」
「それが今年は最高の舞台をやるって盛り上がっちまって。頼む! どこかが食堂で店を開かないといけないんだ!」
東野先輩にめちゃくちゃ拝まれた。
だけど、トレジャーハンター部が食堂を使って模擬店を開く。
それって、結構大変なことなんじゃない??
第四章につづく
三回目の学園祭実行会議にして、一番人数が集まっているだろう。みんな、自分たちの企画はそっちのけで野次馬に回っていた。
教壇の前に机と椅子が置かれ、向井さんが座っている。その横に小内先輩と東野先輩が対峙する形で立っていた。
「えーと……。西棟の食堂をどちらが使うかは、料理で決着をつけます。それでいいんですよね?」
実行委員の人も困惑しつつ、進行を始める。小内先輩と東野先輩はしっかりと頷いた。
「それで、審査員を務めていただくのは、……こちらの方です。公正にお願いします」
「もちろんだ」
公正という意味では、向井さん以上に適任者はいないだろう。両者が持って来ている料理を準備している間、津川先輩が僕にこっそり耳に打ちしてきた。
「ところで、水上くんはどうして野球部側にいるんだい?」
そうなのだ。僕らトレジャーハンター部は少し離れた場所で見ているのに対して、水上くんだけ野球部の部長東野先輩のすぐそばにいる。
「水上くんは、監修をしていたんです……!」
「ふーん?」
津川先輩が首をひねっている内に、準備が整ったようだ。
「それでは、わたしから始めさせてもらいます」
先攻は小内先輩だ。紙に包んだものを皿にのせて、向井さんの前に置く。
「ベトナムの屋台で好んで食べられるサンドイッチ、バインミーです」
向井さんがサンドイッチの紙をめくる。
中に挟んでいるオレンジのあれは、にんじんだろうか。フランスパンは軽く焼いているのか、香ばしい匂いが僕の元まで漂ってきた。
「園芸部で育てた、にんじんと大根を使ったなますを挟んでいます。現地では味付けをした豚肉を挟むことが定番だそうですが、野菜の味をあじわってもらうために鶏モモ肉のソテーを挟んでいます。味付けも野菜が際立つように調整しました。ご賞味ください」
聞いているだけでよだれが出て来た。
「ふむ」
向井さんはみんなが注目している中で、咀嚼する。
「うん。とても美味しい」
それ以上何も言わずに、サンドイッチを置く向井さん。本当に審査員に徹するようだ。
続いて、東野先輩が机の上に皿を置く。
「俺が考案したのは、チョコバナナのクレープ包みです」
僕が試食した改良版だ。クレープが綺麗に焼けていて、チョコソースも細くらせん状に描かれている。一週間前とは雲泥の差だ。
「そして」
東野先輩は他にも小さな皿を向井さんの前に並べていく。
「イチゴソース、カラースプレー、生クリーム、マシュマロ、追いチョコ。好きなトッピングを選んで食べてください」
小さな皿には色とりどりのトッピングが盛られていた。向井さんはスプーンを手にして、イチゴの果肉が入ったソースをかける。棒を持って口に運んだ。
「うん。これも、とても美味しい」
試食はほんの一口ずつ。そして、促されることもなく、向井さんは右手を上げた。
「チョコバナナのクレープ包みの勝利だ」
あっさりとした言い方だ。僕らはなぜかシンと静まってしまう。
「な、なぜですか!」
最初に口を開いたのは小内先輩だ。
「どっちも美味い。ならば、味で生徒に優劣をつけるべきではない」
教師らしい言葉だろう。味が明らかに劣っている(例えば僕が食べさせられた最初の試食品とか)ならば、どちらが味で勝っているかはハッキリ言えたに違いない。
味で決めたのでなければ、理由は明らかだ。
「友人とどれにするか選びながら食べる料理は、きっと学園祭で心に残るだろう」
「そんな! ズルい!」
小内先輩はぐっと拳を握りしめている。鼻をすする音もした。
「わたしたちには学園祭が全てなのに……!」
――学園祭が全て。
その言葉を聞いて、ハッとしてしまった。
小内先輩が頑張っていたのは、憧れの先輩のためではなかったのだ。本当に小内先輩は学園祭に全てをかけていたのだ。園芸部が活躍するのは、模擬店を開く学園祭以外有り得ないからだ。
「小内……」
勝ったはずの東野先輩は絶望的な顔をしていた。幼なじみでも、泣き顔なんて見る機会はないだろう。
「……ッ!」
「えっ! 東野先輩!?」
「どうしたの!?」
驚いたことに東野先輩は、向井さんの前に置いていた小内先輩が作ったバインミーを掴んで食べ始めたのだ。
「ん、むぐ、……んぐ」
残っていたバインミーを全て口の中に詰め込むように食べ終えた。
これには小内先輩も呆気に取られて見ている。
「東野くん、どうして」
「うまい。めちゃくちゃ、うまい」
東野先輩は口を手の甲で乱暴に拭うと、ゆっくりと頭を下げた。
「ごめん。小内。俺、園芸部のことなめていた。めちゃくちゃ、なめた口叩いていていた。でも、こんな育てた野菜を使った美味い料理が出来るんだな。正直、俺のよりずっと美味いよ。用務員さんが言ったのは、やっぱり俺が学園の生徒だからだ」
「……東野くん」
「そんなお情けみたいな勝利いらねぇよ」
東野先輩は実行委員の人を見つめる。
「えっと……」
見つめられた実行委員の人は、向井さんの方を振り返る。だけど、向井さんが口を開く前に、野球部の人たちが前に出た。
「あのっ! 今年は俺たちと合同で西棟の食堂を使いませんか!?」
一瞬、どういうことか分からなかったけれど、横にいる水上くんが代弁してくれる。
「えーと、つまり運動部と園芸部と家庭科部が合同で模擬店をするってことだよね。つまり、スペシャルメニューが二つとも食べられるってこと!?」
すると、わっと大講堂内が沸く。
「両方食べたい!」
「せっかく作ったのに、もったいないよ!」
「美味しい野菜を食べさせてくれ、小内さん!」
小内先輩は大講堂を見回したあと、東野先輩を振り返る。
「えーと。みんな、ああ言っているし。いいか、小内」
ぶっきらぼうな言い方で、視線も合わせていない。あまり、誠意のある言い方でもない。
けれど、小内先輩は無言で頷いた。
第三回の学園祭実行会議は大円団で幕を閉じた。まだまだ、時間はある。
その間に、メニューの調整もするそうだ。さすがに大所帯なので、他の運動部の一部は他の企画をするのだと張り切っていた。
トレジャーハンター部も並んで、大講堂を後にする。
「水上くん、大活躍だったね」
「へへっ。そうかな。これを機会に小内先輩と東野先輩が仲良くなるといいね」
「二人とも鈍い。簡単にはいかない」
「ははっ。その通りだ」
僕らは肩の荷が下りたとばかりに足取りも軽い。
「あ! 待って! トレジャーハンター部!」
小内先輩だ。隣には東野先輩もいる。
なんだろう。もう用はないはずだ。
「二人で話あったのだけど、トレジャーハンター部に任せることにしました」
「何をですか?」
「ほら、俺たち毎年両棟の食堂を予約しているみたいなものだろ。それが今年は東棟の方が余るんだ」
トレジャーハンター部に任せる? 東棟の食堂を??
「……どうして? 運動部の人たちは……」
「それが今年は最高の舞台をやるって盛り上がっちまって。頼む! どこかが食堂で店を開かないといけないんだ!」
東野先輩にめちゃくちゃ拝まれた。
だけど、トレジャーハンター部が食堂を使って模擬店を開く。
それって、結構大変なことなんじゃない??
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