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影法師の後ろでヒョーと鳴く
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天を貫く永塔婆は、近くで見上げてもその全貌はつかめない。
タイヨウは鳥居をくぐると、石畳を通って建物の前へと近づいた。
「すみません」
入り口の前に立っていた人に話しかけた。
「おや、なんの御用で?」
オレンジの袈裟を着ており、手には槍のように長い錫杖を持っていた。手足には黒い羽がびっしりと生えており、口には手足と同じ色のくちばしが付いていた。
胸に突き刺さる芯の通った声。この声でツボなんかを勧められたら思わず買ってしまいそうだ。
「ここで、説教? が聞けるって聞いて」
「あぁ、それでしたらご案内しますね」
鋭い目が柔和に曲がって中へと促されるが、タイヨウの肩に乗ったツキを見て、その動きが止まった。
「すみません。そちらの肩の蛇は……」
「ツキのこと?」
「なに? 蛇は入っちゃダメなの? それとも、私がペットにでも見えた?」
明らかに不機嫌な声。僧侶は慌てて答えた。
「失礼しました。もちろん問題ありません。どうぞお入りください」
一瞬ひやりとしたが、問題なく中へと案内された。
永塔婆の中は意外に広い。
木の匂いとお香の香りで満ちていて、立っているだけで、リラックスした気持ちになる。
中に入って廊下を進むと広い部屋に出た。
等間隔に座布団が敷かれているが、座っている人は見当たらない。
部屋の最奥には、仏像と腰ほどの高さの扉があった。扉はしめ縄とお札で、厳重に縛られていた。まるでなにかを封印しているみたいだ。
「申し遅れましたが、今回、説法を担当いたします。烏色と申します」
タイヨウを連れてきた僧侶が振り返り、軽く一礼した。
「あ、僕はタイヨウ、こっちはツキです。こちらこそよろしくお願いします」
「それでは、タイヨウさん。もうしばらくしたら始めますので、お好きなところにお座りください」
言われるがままに、適当な位置の座布団に腰を下ろした。部屋の中は空調が効いているのか、部屋全体が少しひんやりとしていた。
「ねぇ、あの扉なんだろうね」
タイヨウの視線の先には、しめ縄で強固に縛られた扉。
「ああいうのは気にしないのが正解よ」
ツキはそれの正体に心当たりがあるのかないのか、適当な言葉ではぐらかした。
「あれ、気になるよね」
ツキではない、背後からの声に驚いて振り返った。
茶色い体毛に覆われた体。充血したような眼で、タイヨウの顔を覗き込むように立つ猿がそこにいた。
「ねぇ、そのリュック、何入ってるの?」
声を出し慣れていないのか上ずった声。その目線はタイヨウを上から下まで見定める。
「えっと」
「あんたには関係ないことよ」
「ふーん、ねぇ、そのリュック。ぬえに頂戴?」
「だめだよ。これは大切だから」
自らをぬえと名乗る猿から出された手に、タイヨウは首を横に振った。
「そっか、残念。ほしいなぁ」
分かり易く肩を落として、ぬえは左後部の座布団に座った。
「びっくりした。僕と同じ参加者だったんだね」
「タイヨウ……あまりかかわらないようにね」
ツキはぬえが離れてもなお、後方を警戒して睨んでいた。
タイヨウは鳥居をくぐると、石畳を通って建物の前へと近づいた。
「すみません」
入り口の前に立っていた人に話しかけた。
「おや、なんの御用で?」
オレンジの袈裟を着ており、手には槍のように長い錫杖を持っていた。手足には黒い羽がびっしりと生えており、口には手足と同じ色のくちばしが付いていた。
胸に突き刺さる芯の通った声。この声でツボなんかを勧められたら思わず買ってしまいそうだ。
「ここで、説教? が聞けるって聞いて」
「あぁ、それでしたらご案内しますね」
鋭い目が柔和に曲がって中へと促されるが、タイヨウの肩に乗ったツキを見て、その動きが止まった。
「すみません。そちらの肩の蛇は……」
「ツキのこと?」
「なに? 蛇は入っちゃダメなの? それとも、私がペットにでも見えた?」
明らかに不機嫌な声。僧侶は慌てて答えた。
「失礼しました。もちろん問題ありません。どうぞお入りください」
一瞬ひやりとしたが、問題なく中へと案内された。
永塔婆の中は意外に広い。
木の匂いとお香の香りで満ちていて、立っているだけで、リラックスした気持ちになる。
中に入って廊下を進むと広い部屋に出た。
等間隔に座布団が敷かれているが、座っている人は見当たらない。
部屋の最奥には、仏像と腰ほどの高さの扉があった。扉はしめ縄とお札で、厳重に縛られていた。まるでなにかを封印しているみたいだ。
「申し遅れましたが、今回、説法を担当いたします。烏色と申します」
タイヨウを連れてきた僧侶が振り返り、軽く一礼した。
「あ、僕はタイヨウ、こっちはツキです。こちらこそよろしくお願いします」
「それでは、タイヨウさん。もうしばらくしたら始めますので、お好きなところにお座りください」
言われるがままに、適当な位置の座布団に腰を下ろした。部屋の中は空調が効いているのか、部屋全体が少しひんやりとしていた。
「ねぇ、あの扉なんだろうね」
タイヨウの視線の先には、しめ縄で強固に縛られた扉。
「ああいうのは気にしないのが正解よ」
ツキはそれの正体に心当たりがあるのかないのか、適当な言葉ではぐらかした。
「あれ、気になるよね」
ツキではない、背後からの声に驚いて振り返った。
茶色い体毛に覆われた体。充血したような眼で、タイヨウの顔を覗き込むように立つ猿がそこにいた。
「ねぇ、そのリュック、何入ってるの?」
声を出し慣れていないのか上ずった声。その目線はタイヨウを上から下まで見定める。
「えっと」
「あんたには関係ないことよ」
「ふーん、ねぇ、そのリュック。ぬえに頂戴?」
「だめだよ。これは大切だから」
自らをぬえと名乗る猿から出された手に、タイヨウは首を横に振った。
「そっか、残念。ほしいなぁ」
分かり易く肩を落として、ぬえは左後部の座布団に座った。
「びっくりした。僕と同じ参加者だったんだね」
「タイヨウ……あまりかかわらないようにね」
ツキはぬえが離れてもなお、後方を警戒して睨んでいた。
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