30 / 200
乙女に鼻毛って言葉はきついです。
しおりを挟む
予想していなかった主人の登場に、みな慌てる。
「悪い、脅かして。皆、続けてくれ………」
いつもなら考えられないくらいの丁重な態度の主人だが、ちょっとお酒がはいっている精鋭たちの男はなにやら構わない感じだ。
「「「「「ありがとうござーーーすっ」」」」」
男性軍が威勢良く会長に答えた。
真田が顔を青くさせながら、蓮司に近づく。
「あれ………会長。経済連会長との会合は??」
「真田、なんだ。もう一回言ってみろ」
「経団連の……」
「なんだ!!!」
あまりにもの睨みに声が引っ込んだ。
「いえ、なんでもありません!!!!」
「俺も参加したい……」
「え? 蓮司会長も参加されるんですか? 一応2000円以下のものですよ? いきなり豪華商品など出さないでくださいね。みんながバトルになってしまいます。まあ一応、番号は残してありますけど」
「ああ、値段は大丈夫だ……」
みんなが見守るなか、そのプレゼントの山に会長のシンプルな小さい箱のプレゼントが置かれた。おおおっと、どよめきが起こる。
次に券の番が来たのが龍騎くんだった。龍騎くんはその会長のプレゼントを選んだ。緊張感がはしるなか、その小さい箱を開く。みんなの視線がそのプレゼントに注目した。
少年は開けてみた物が、まったく想像していないものだったせいか、明らかにがっかりしている。
「時計だ。大人用だよ。でも、なんだか古ぼったい……」
中から出てきたのは使い古した大人用の時計であった。
「んんん、ぼく、違うのがいいな~」
「こら龍騎! そんなこと言うんではない!!」
お父さんの松田さんが焦りながら怒っている。
「いいんだ。大丈夫だよ。松田」
なぜか優しく蓮司会長が微笑んでいる。
みんながその事態を眺めているあいだに、美代の心拍数は急上昇していた。
えええ? どうして??
そして、残っていた券を引いた蓮司の番だった。真田とちょこっと話しをしている。そして、おもむろに一つのプレゼントを選ぶ。
「ああ、これだ」
蓮司がつぶやいた。
美代は完全にパニックに陥る。だって、あのマフラーはビリオネラー向けでは全くない!!ああ、完全に似合わない。あの100円ショップで購入したあの花柄模様のラッピングさえ全くこの男には合わない。やばい!!私の渾身の手編みマフラーなんて、完全にミスマッチではないか!!!
思わず、声が出てしまう。
「ああ!会長、それあんまり会長には不向きかもしれません!!」
「そうなのか? お前はおれの必要なものがわかるもんな……でもおれはこれに決めた……」
「……」
もういいです。いやだったら、返品してくださいとか思う。
封をあけてみると、鮮やかな緑と青が混じった太めの手編みのマフラーが出てきた。
あああーーー、似合わないよ。こんなハイスペックなイケメンな上司に、手編みのマフラーなんて……ああ、笑われる。
「……いい色だ。気に入った…」
「……はぁ?? えええ?」
「おれはこれをキープする。他にはゆずらない」
その色っぽい野獣な目が美代を捉える。
えええ、なんだか恥ずかしくて自分が作っただなんて言えない。
「では最後から2番目の美代様。どうぞ……」
と、真田が催促する。
「は、はい……」
さっきから疑問を思っていたことを明確にするために、龍騎くんの元へいく。
「龍騎くん。その時計、お姉ちゃんにちょっと見せてくれない?」
「うん、いいよ。お姉ちゃんにあげる。ぼくいらないから」
ぼこってまたお父さんの松田さんに頭を叩かれている。かわいい。
手にそのかなり使い古したこげ茶の皮バンドの感触を味わう。薄い金色の文字盤を良く眺める。
嗚呼!! これ!! 本当にそれしかありえない。
「龍騎くん。これ、お姉ちゃんに譲ってくれる?」
「うん!!いいよ」
「おい、美代さん、いいのか?」
「いいの。ありがとう。これ、私本当に欲しいの……」
嬉しくて、目から光るものが出てきた。
「蓮司会長……これって……」
「予算2000円以下だぞ。一応。そんなボロ時計だれも欲しがらないだろう。お前ぐらいじゃないか? そんなに欲しがるのは……」
「ほ、ほんとうですね。わたしぐらいしか貰い手なさそうだから、わたしもらっておきます。ありがとうございます。蓮司会長」
「……ああ、喜んでもらってうれしい」
これは、美代の父の腕に長い間あったものだ。どうやら、美代のおじいちゃんが美代の父にあげたもので、それを美代の父はずっと愛用していた。いろんなアイデアマンだった父は、普段は奇想天外な行動をする時も多かったが、このシンプルな奇抜性のない腕時計をこよなく愛していた。会社が破産しすべての相続を放棄した時、家のなかの貴金属でさえもすべて取り上げられた。それはもう醜いほどだった。この男性ものの時計がどれぐらいの価値があるのか美代にはさっぱりわからなかったが、それも没収されてしまったのだ。
蓮司が美代に近づいた。
「いまはこれだけしか見つからなかった。すまん」
その言葉の裏に彼がいろいろ探してくれていたことがわかった。
「………かいちょう!!!!」
いつもエロ大魔王とか言ってごめんなさい!!と心のなかで謝る。
「あ、ありがとうございます!! なにも残っていないので……両親のものは……写真ぐらいで……」
そこにいた会場の人たちはちょっと涙ぐみながら、その様子を見守っていた。
「会長もなかなかやるな。あんな古時計が美代の好みと知っていたとは……」
と拓がもらす。完全にこの男、鈍い。残念系だ。
龍騎くんは、もう一個プレゼントを選んだ。チョコレートセットを当て大いに喜んでる。
そんななか、最後のくじを引いていた真田の番だ。
「では、私がこの最後のプレゼントをいただきます」
真田がそのプレゼントを開ける。
絶句している! なにをもらったの? と思って、見ると!!
「ま、まさか、みなさん、狙ってわたしにこれを!!とかないですよね……」
SPの山川さんが肩を震わせて笑っている。
なんと電動鼻毛処理セット!!!
あ、そういえば、みんなに言われた。あのブルーの水玉のプレゼントは開けるなよっと伝言ゲームのように回ってきたのだ。
これはいつも冷静な真田を揺さぶろうという魂胆らしい。電動鼻毛処理器をもらった真田は焦っている。
山川隊長が、
「それ、俺からお前に特別にプレゼントだ!」
なんて言ってる。
「すみません! ちょっと冷静ではいられません。じゃーメリークリスマス!!!」
と叫んでどこかへ消えていった。
まあ、きっとお手洗いに逃げ込んだにちがいないっとみんな同情した。
大丈夫、真田さん。
鼻毛見えてないよ。
とはいえなかった。ごめんなさい。
乙女には、鼻毛ってきつい言葉です。
「悪い、脅かして。皆、続けてくれ………」
いつもなら考えられないくらいの丁重な態度の主人だが、ちょっとお酒がはいっている精鋭たちの男はなにやら構わない感じだ。
「「「「「ありがとうござーーーすっ」」」」」
男性軍が威勢良く会長に答えた。
真田が顔を青くさせながら、蓮司に近づく。
「あれ………会長。経済連会長との会合は??」
「真田、なんだ。もう一回言ってみろ」
「経団連の……」
「なんだ!!!」
あまりにもの睨みに声が引っ込んだ。
「いえ、なんでもありません!!!!」
「俺も参加したい……」
「え? 蓮司会長も参加されるんですか? 一応2000円以下のものですよ? いきなり豪華商品など出さないでくださいね。みんながバトルになってしまいます。まあ一応、番号は残してありますけど」
「ああ、値段は大丈夫だ……」
みんなが見守るなか、そのプレゼントの山に会長のシンプルな小さい箱のプレゼントが置かれた。おおおっと、どよめきが起こる。
次に券の番が来たのが龍騎くんだった。龍騎くんはその会長のプレゼントを選んだ。緊張感がはしるなか、その小さい箱を開く。みんなの視線がそのプレゼントに注目した。
少年は開けてみた物が、まったく想像していないものだったせいか、明らかにがっかりしている。
「時計だ。大人用だよ。でも、なんだか古ぼったい……」
中から出てきたのは使い古した大人用の時計であった。
「んんん、ぼく、違うのがいいな~」
「こら龍騎! そんなこと言うんではない!!」
お父さんの松田さんが焦りながら怒っている。
「いいんだ。大丈夫だよ。松田」
なぜか優しく蓮司会長が微笑んでいる。
みんながその事態を眺めているあいだに、美代の心拍数は急上昇していた。
えええ? どうして??
そして、残っていた券を引いた蓮司の番だった。真田とちょこっと話しをしている。そして、おもむろに一つのプレゼントを選ぶ。
「ああ、これだ」
蓮司がつぶやいた。
美代は完全にパニックに陥る。だって、あのマフラーはビリオネラー向けでは全くない!!ああ、完全に似合わない。あの100円ショップで購入したあの花柄模様のラッピングさえ全くこの男には合わない。やばい!!私の渾身の手編みマフラーなんて、完全にミスマッチではないか!!!
思わず、声が出てしまう。
「ああ!会長、それあんまり会長には不向きかもしれません!!」
「そうなのか? お前はおれの必要なものがわかるもんな……でもおれはこれに決めた……」
「……」
もういいです。いやだったら、返品してくださいとか思う。
封をあけてみると、鮮やかな緑と青が混じった太めの手編みのマフラーが出てきた。
あああーーー、似合わないよ。こんなハイスペックなイケメンな上司に、手編みのマフラーなんて……ああ、笑われる。
「……いい色だ。気に入った…」
「……はぁ?? えええ?」
「おれはこれをキープする。他にはゆずらない」
その色っぽい野獣な目が美代を捉える。
えええ、なんだか恥ずかしくて自分が作っただなんて言えない。
「では最後から2番目の美代様。どうぞ……」
と、真田が催促する。
「は、はい……」
さっきから疑問を思っていたことを明確にするために、龍騎くんの元へいく。
「龍騎くん。その時計、お姉ちゃんにちょっと見せてくれない?」
「うん、いいよ。お姉ちゃんにあげる。ぼくいらないから」
ぼこってまたお父さんの松田さんに頭を叩かれている。かわいい。
手にそのかなり使い古したこげ茶の皮バンドの感触を味わう。薄い金色の文字盤を良く眺める。
嗚呼!! これ!! 本当にそれしかありえない。
「龍騎くん。これ、お姉ちゃんに譲ってくれる?」
「うん!!いいよ」
「おい、美代さん、いいのか?」
「いいの。ありがとう。これ、私本当に欲しいの……」
嬉しくて、目から光るものが出てきた。
「蓮司会長……これって……」
「予算2000円以下だぞ。一応。そんなボロ時計だれも欲しがらないだろう。お前ぐらいじゃないか? そんなに欲しがるのは……」
「ほ、ほんとうですね。わたしぐらいしか貰い手なさそうだから、わたしもらっておきます。ありがとうございます。蓮司会長」
「……ああ、喜んでもらってうれしい」
これは、美代の父の腕に長い間あったものだ。どうやら、美代のおじいちゃんが美代の父にあげたもので、それを美代の父はずっと愛用していた。いろんなアイデアマンだった父は、普段は奇想天外な行動をする時も多かったが、このシンプルな奇抜性のない腕時計をこよなく愛していた。会社が破産しすべての相続を放棄した時、家のなかの貴金属でさえもすべて取り上げられた。それはもう醜いほどだった。この男性ものの時計がどれぐらいの価値があるのか美代にはさっぱりわからなかったが、それも没収されてしまったのだ。
蓮司が美代に近づいた。
「いまはこれだけしか見つからなかった。すまん」
その言葉の裏に彼がいろいろ探してくれていたことがわかった。
「………かいちょう!!!!」
いつもエロ大魔王とか言ってごめんなさい!!と心のなかで謝る。
「あ、ありがとうございます!! なにも残っていないので……両親のものは……写真ぐらいで……」
そこにいた会場の人たちはちょっと涙ぐみながら、その様子を見守っていた。
「会長もなかなかやるな。あんな古時計が美代の好みと知っていたとは……」
と拓がもらす。完全にこの男、鈍い。残念系だ。
龍騎くんは、もう一個プレゼントを選んだ。チョコレートセットを当て大いに喜んでる。
そんななか、最後のくじを引いていた真田の番だ。
「では、私がこの最後のプレゼントをいただきます」
真田がそのプレゼントを開ける。
絶句している! なにをもらったの? と思って、見ると!!
「ま、まさか、みなさん、狙ってわたしにこれを!!とかないですよね……」
SPの山川さんが肩を震わせて笑っている。
なんと電動鼻毛処理セット!!!
あ、そういえば、みんなに言われた。あのブルーの水玉のプレゼントは開けるなよっと伝言ゲームのように回ってきたのだ。
これはいつも冷静な真田を揺さぶろうという魂胆らしい。電動鼻毛処理器をもらった真田は焦っている。
山川隊長が、
「それ、俺からお前に特別にプレゼントだ!」
なんて言ってる。
「すみません! ちょっと冷静ではいられません。じゃーメリークリスマス!!!」
と叫んでどこかへ消えていった。
まあ、きっとお手洗いに逃げ込んだにちがいないっとみんな同情した。
大丈夫、真田さん。
鼻毛見えてないよ。
とはいえなかった。ごめんなさい。
乙女には、鼻毛ってきつい言葉です。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる