39 / 200
右四間飛車という響きはなんかこわい。
しおりを挟む
自分がヘリコプターに乗る前のことをふと思い出す。
サングラスをかけ黒のハーフコートを前開きにしながら、自分に手を貸す御曹司があまりにもかっこよすぎて、サイコーにむかついてしまったのだ。しかし、もっと問題なのは、あの御曹司……手編みの青緑のマフラーなぞをしている。
ーー似合わないよ。似合わない!!
本人はそんなことも気にせずに、強い風がプロペラの回転によって起きる中、その首に巻いているマフラーの裾を手に取りさらにしっかり自分の身に巻きつけると、
「美代。おいで……」
と言った。まあ、正確にはそういう風に言ったように見えた。
プロペラ音で聞こえないはずないのに、奴が言っている言葉が腹立たしい。
女たらしめ。しかもやめてほしい! そのセレブオーラ使用! 知っているんだから、ティッシュ大魔王だし、忘れん坊王子だし!!!
が、そんな気持ち的にたるんでいる私を現実社会に戻してくれるのが友達の歩美ちゃんだった。
寮で寝正月をしていた歩美は、真田からの連絡後(真田さんはなぜか歩美ちゃんの連絡先を知っていた。怖いですっと言ったら、ニヤっと笑われた! やっぱりここヤーさんの世界なのか???)伊勢崎さんの迎えが行き、かなりびびった状態でその株式会社大原のヘリポートについていた。
彼女の姿を見て、美代も悶絶する!!
寝起きをおそわれたような髪型だ。洋服はやっぱりあるものを着てきましたという格好だ。
小声で歩美が美代に話す。
『み、美代!!貸しだからね!!これ! よくわかんないけど、あんたとんでもないヤツに巻き込まれているわね!! これ将棋だと、挟み撃ちだから!!』
『ごめーーーん。歩美。悪い!!正月から!悪いけど付き合ってよ』
なぜか出る直接、真田が、
「会長!約束ですよ。後生ですからお願いします!」
と大原のヘリポートで言われていた。
「わかった。男の約束だ。最善を尽くす。」
「な、なっ!? 最善じゃダメで……」
最後の声は、激しく回り始めたヘリコプターのプロペラ音で消え去った。
***
ヘリコプターの中ではマイクつきのヘッドセットがあり、それを通し、歩美が話しかける。ボタンを押さないとみんなに声が繋がらないらしい。ただし、操縦士だけの音声は絶えず聞こえてくる。操縦士の坂田さんがいろいろな情報をヘッドセットから話してくれる。
眼下にみえる東京のビル高層群を見ながら、坂田さんの説明がひと段落する。
『これからはしばし、元旦の東京、神奈川の風景をお楽しみください……』
と、坂田操縦士が話を終えた。
「美代。これは右四間飛車かも……」
耳元から歩美ちゃんの声がする。歩美ちゃんはどきどき将棋語録を使用するので、ときどき理解不明だ。
「な、なにそれ……」
「受け方を知らなければ、相手に一気に攻められる戦法……」
もちろんその声は蓮司にもパイロットにも聞こえてる。
「なにそれ、よくわからないけど、怖いね……」
外の景色を見ながら、関東平野ってやっぱり平らなんだーとか思っていた。そして、大山やらその奥に見える大きな物体を確認する。
それは、はるか先にそびえ立つ富士山だ。
すごい! 元旦に富士山。ご利益ありそう……でも、いまは全く実感がわかない。なぜなら、組長上司のおかげでどこかに売り飛ばされるか、埋められるかもしれないからだ。
「綺麗だな……」
蓮司がそう呟いたように聞こえた。ヘリコプターの窓から注がれる光が彼の薄い色素の髪の毛を光らせる。私の視線に気がついた上司は、にこっと優しく私に微笑んだ。
「んんぎゃーーーーーー!!!」
私が赤面するより、歩美ちゃんの方がその蓮司の表情をみて愕然として叫んだ。
「美代!!美代!!!****。*****」
歩美ちゃんがボタンを押さないから、その声がまったく聞こえない。が、美代を掴んでガシガシをその体を揺らす。気持ち悪くなるので、よしてほしい。冷静さを保たせるために、ボタンを押しながら、歩美ちゃんに話しかける。
「歩美ちゃん。聞こえないよ」
「ああ、危ない。やばいよ。蓮司さん!」
その声をもちろん聞いている蓮司がさらに甘く微笑む。
「美代! 大丈夫。あんたを私が守る! 飛車の攻撃から守ったる!△3二銀型対策や!」
その声を聞いた瞬間、蓮司の顔から微笑みが消え、いつものむすっとした上司の顔になったのだ。なぜか隣にすわっている歩美ちゃんがガシッと美代を抱きしめる。
美代は、もしかしてやっぱり私、埋められちゃうの? とか不安になりだした。でも、△3二銀型対策ってなに? 将棋語録がまったくわからん美代は、ただ歩美の力強い言葉に勇気をもらっただけだった。
ーーーーーーー
将棋は好きなんですけど、弱いです。
今回はウェブで『目指せ将棋初段!』と言う名のwebsiteから参照させていただいております。
https://mezaseshodan.net/
サングラスをかけ黒のハーフコートを前開きにしながら、自分に手を貸す御曹司があまりにもかっこよすぎて、サイコーにむかついてしまったのだ。しかし、もっと問題なのは、あの御曹司……手編みの青緑のマフラーなぞをしている。
ーー似合わないよ。似合わない!!
本人はそんなことも気にせずに、強い風がプロペラの回転によって起きる中、その首に巻いているマフラーの裾を手に取りさらにしっかり自分の身に巻きつけると、
「美代。おいで……」
と言った。まあ、正確にはそういう風に言ったように見えた。
プロペラ音で聞こえないはずないのに、奴が言っている言葉が腹立たしい。
女たらしめ。しかもやめてほしい! そのセレブオーラ使用! 知っているんだから、ティッシュ大魔王だし、忘れん坊王子だし!!!
が、そんな気持ち的にたるんでいる私を現実社会に戻してくれるのが友達の歩美ちゃんだった。
寮で寝正月をしていた歩美は、真田からの連絡後(真田さんはなぜか歩美ちゃんの連絡先を知っていた。怖いですっと言ったら、ニヤっと笑われた! やっぱりここヤーさんの世界なのか???)伊勢崎さんの迎えが行き、かなりびびった状態でその株式会社大原のヘリポートについていた。
彼女の姿を見て、美代も悶絶する!!
寝起きをおそわれたような髪型だ。洋服はやっぱりあるものを着てきましたという格好だ。
小声で歩美が美代に話す。
『み、美代!!貸しだからね!!これ! よくわかんないけど、あんたとんでもないヤツに巻き込まれているわね!! これ将棋だと、挟み撃ちだから!!』
『ごめーーーん。歩美。悪い!!正月から!悪いけど付き合ってよ』
なぜか出る直接、真田が、
「会長!約束ですよ。後生ですからお願いします!」
と大原のヘリポートで言われていた。
「わかった。男の約束だ。最善を尽くす。」
「な、なっ!? 最善じゃダメで……」
最後の声は、激しく回り始めたヘリコプターのプロペラ音で消え去った。
***
ヘリコプターの中ではマイクつきのヘッドセットがあり、それを通し、歩美が話しかける。ボタンを押さないとみんなに声が繋がらないらしい。ただし、操縦士だけの音声は絶えず聞こえてくる。操縦士の坂田さんがいろいろな情報をヘッドセットから話してくれる。
眼下にみえる東京のビル高層群を見ながら、坂田さんの説明がひと段落する。
『これからはしばし、元旦の東京、神奈川の風景をお楽しみください……』
と、坂田操縦士が話を終えた。
「美代。これは右四間飛車かも……」
耳元から歩美ちゃんの声がする。歩美ちゃんはどきどき将棋語録を使用するので、ときどき理解不明だ。
「な、なにそれ……」
「受け方を知らなければ、相手に一気に攻められる戦法……」
もちろんその声は蓮司にもパイロットにも聞こえてる。
「なにそれ、よくわからないけど、怖いね……」
外の景色を見ながら、関東平野ってやっぱり平らなんだーとか思っていた。そして、大山やらその奥に見える大きな物体を確認する。
それは、はるか先にそびえ立つ富士山だ。
すごい! 元旦に富士山。ご利益ありそう……でも、いまは全く実感がわかない。なぜなら、組長上司のおかげでどこかに売り飛ばされるか、埋められるかもしれないからだ。
「綺麗だな……」
蓮司がそう呟いたように聞こえた。ヘリコプターの窓から注がれる光が彼の薄い色素の髪の毛を光らせる。私の視線に気がついた上司は、にこっと優しく私に微笑んだ。
「んんぎゃーーーーーー!!!」
私が赤面するより、歩美ちゃんの方がその蓮司の表情をみて愕然として叫んだ。
「美代!!美代!!!****。*****」
歩美ちゃんがボタンを押さないから、その声がまったく聞こえない。が、美代を掴んでガシガシをその体を揺らす。気持ち悪くなるので、よしてほしい。冷静さを保たせるために、ボタンを押しながら、歩美ちゃんに話しかける。
「歩美ちゃん。聞こえないよ」
「ああ、危ない。やばいよ。蓮司さん!」
その声をもちろん聞いている蓮司がさらに甘く微笑む。
「美代! 大丈夫。あんたを私が守る! 飛車の攻撃から守ったる!△3二銀型対策や!」
その声を聞いた瞬間、蓮司の顔から微笑みが消え、いつものむすっとした上司の顔になったのだ。なぜか隣にすわっている歩美ちゃんがガシッと美代を抱きしめる。
美代は、もしかしてやっぱり私、埋められちゃうの? とか不安になりだした。でも、△3二銀型対策ってなに? 将棋語録がまったくわからん美代は、ただ歩美の力強い言葉に勇気をもらっただけだった。
ーーーーーーー
将棋は好きなんですけど、弱いです。
今回はウェブで『目指せ将棋初段!』と言う名のwebsiteから参照させていただいております。
https://mezaseshodan.net/
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる