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同級生の七瀬くん、現状を初めて知る
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朝、このオンボロアパートで目覚める。この部屋の畳の滲み具合とか、天井の木目が変にアンバランスなのがとても心地いい。昔、そういえば、日本家屋の家に両親と暮らしていた時、天井の木目が気になって、なぜか寝られなかったなーっなんて思い出してしまった。たぶん、こんな感傷的になったのは、昨日の銀座での経験が全てが非現実的世界だったからだろうと美代は思った。なんだろう、やっぱり私って日本人なんだよねっと思ってしまう。大理石の床とかあのギリシャ神殿みたいな柱とか、なんていうか、血が受け付けないっていうか、とにかく居心地が悪い。まあ、もしかして、それって貧乏性なのかも……っと思い、ふっと笑ってしまう。
でも、あの二人をあのクラブで見つけた時は本当に驚いた。想像はついていたけど、あまりにあの異世界のようなゴージャスな世界に二人とも溶け込んでいたからだ。
ザ・王者って感じでソファーに座り込んでいた。
あのいつもは真面目な七三分けの真田さんでさえあんな着飾って、しかも似合っていたのが意外だった。もしかして、昔遊び人だったのかと疑ってしまう。うーーーん、でもないかな、あの真田さんだし……。
ちょっとあの後、真田さんが生きて帰れてか心配だが、あのホステスさんがあそこまで言ったのだから、大丈夫だろうと思った。
でも、問題はあのペット問題だ。ため息が出てしまう。
今日は9時から学校だから、割合とパタパタと朝ごはんやら洗濯とやら忙しい。まあでも、早朝バイトなどしてた時よりは天国のような生活だ。あんなちょっと変わった上司でも、こういう生活ができるようになったのは今の仕事があるおかげだ。感謝していることには変わりない。だからできるだけ、あの変わり者の上司の希望は叶えるべきだと思ってしまう。またどうしても気になって、朝からネットで調べてしまう。
野生のリスね……。
昨日、夜帰宅してから、ネットで野生のリスについて調べれば調べるほどヤバかったからだ。でも、いまも調べているが、どう考えても蓮司会長のライフスタイルに合うようなペットではないし、おすすめペットとしても記述はされていない。
蓮司会長の夢の『野生のリス』とのペット生活はかなり現実的に難しいことがわかってきた。
ーーああ、よくありがちなパターンだよね……。
あらいぐまもそうらしいけど、可愛いと思って買ったペット……実は理想とは全然違って、かなり大変な飼育をしないというケース。
これは、会長に野生のリスは断念してもらって、やっぱり猫とか犬の方がいいのではないかと進言するべきかなっと考える。
あんまり人間に触られるのが嫌な動物だけど、ハムスターとかうさぎでも良いかもね・・・とか考えていく。あ、モルモットは初心者にいいなって聞いたな。それがいいかもっと思いながら、急いで朝食を終えた。
そして、まったく主人の意図がわかっていない花の大学生の美代は駅に急いで走って行った。
***
その日の午後。やっと大学での最後の講義を受け終わった。今日はいろいろ学内で補講やら授業で忙しかったから、すでに4時を回っていた。大学の構内を歩いていると、歩美ちゃんが私を見つけて走ってやってきた。
さすが美少女歩美ちゃん。みんな男子生徒が振り返る。
「美代!!!昨日、連絡しなくてごめん!!ちょっと昨晩は応援するのに精神統一していて!!今日は学校でも全然会えなかったね」
「そうだね。歩美ちゃん。だ、だいじょうぶ? そんな走って。あ、どうだった?勝てたの? 昨日の大勝負。なんとか名人?」
「あ、昨日のこと。最高だった。一時危ないと思ったけど、やっぱりものすごい巻き返しでさ~。また惚れ直しちゃった~」
アイドルを応援しているかのように頬を染める歩美ちゃん。可愛い。でも、やっぱり相手は将棋の名手の紳士、70歳らしいから、そんなところもまったく面白いというか、さすが歩美ちゃん、と言うしかない。
「そ、そんなことより、美代はだいじょうぶだった? あの真田さんって人と会長を成敗できたの?」
「う~~~ん。なんだろう。成敗っていうより、最後は動物飼育相談になっちゃった……あ、これ洋服と靴。洗濯して返したかったんだけど、今日返して欲しいって言っていたよね。これで本当にいいの?」
「いいの。いいの。うちで洗濯するからだいじょうぶ。ありがとね。でも、なに?その動物飼育相談って?」
しばしの沈黙。
「わかった。美代。よくわからないけど、あの銀座のクラブに着いてから起こった出来事を詳細に話しなさい。些細なことでも良いからね。詳しく言って」
美少女の睨みって、なにか有無を言わせない強烈な効果がある。もともと今日はその話になるだろうと思っていたから、仕方がなくいろいろ覚えている限り話した。
あのクラブがとても華やかで、まるで別世界だったこと。黒服さんやらホステスさんたちが超大人で驚いたこと。あと、最初、みんなに子供が入ってきたと思われて、ギローーッと睨まれたこと。会長までもが美代の格好をけなしてきたこと。
「え?会長が、けなしたの? あの姿?」
「うん。もうね、剣幕!!こんなみっともない格好!!って感じでジャケットを被せられた上、その後、手編みの厚手のマフラーでぐるぐる巻きだよ……ちょっと凹んだけど、まあそんなの気にしていたら、生きていけないし、慣れているから……私!」
歩美が無言で下を向いていた。かすかに肩が揺れている。その後、いきなり顔を上げたかと思えば、急に大笑いを始めた。
「わははははっ。いいね。それ!! 美代、あんたやっぱり会長を成敗したんだよ。大丈夫。あの格好は絶対に変じゃなかったよ。そんな女の視線は無視して大正解。あの姿、やっぱりあの鬼畜には堪えただろうな……はあ、面白い」
「え、よくわかんないけど、ドレスはありがたかったよ。さすがにつなぎやリクルート姿はちょっとやばかったかもしれない。あ、あと言われた通り、二人に不潔って伝えました……」
「ま、マジ!!すごいね。美代。やるじゃん! それで?」
「か、固まっていました。二人とも……」
「まあそうだろうね。無難だわ」
「でも、結局、私と会長だけがクラブを去ることになって、しかも……(ごにょごにょ)されて……」
「え? なにされたの?」
「抱っこ……お姫様抱っこされて……車に入れられた」
「!!!!あいつめ!!許せん!真田さんがいないから暴走したな!」
「そうなの!!真田さんがいないから、なんていうかペットが欲しいことが露見したみたい!!」
「え、ペット?」
そして、蓮司会長が実はペットを飼育したがっていることを教える。もちろん、野生のリスのところもだ……。
無言で美代を見つめる歩美がいた。
「王手かかっているの? もしかして、いまの状態?」
「え? 歩美ちゃん、その顔、マジで怖いよ」
**
そんな話をしていると、同じ大学で先ほど一緒に哲学の補講を受けていた七瀬くんが現れた。七瀬くんはたぶん歩美ちゃんのことが気に入っている同学年の男の子だ。これも、またたぶんだが、歩美ちゃんと仲がいい私を見つけて、哲学の講義の時も私の隣にすわっている。最近、私と歩美ちゃんが仲よくなった男の子だ。正直、人生の中で、男友達っていたことがなかったら、この存在はかなり珍しい。まあ、歩美ちゃん目的でも爽やか青年の七瀬くんは、あんまり嫌味がないので許せる。
だから、彼には『歩美ちゃんは将棋マニアだから、七瀬くんも将棋始めたら?』といつも言っているのに、彼はちょっとおバカさんなのかよくその辺、わかっていない。
「美代ちゃんは将棋するの?」
とか聞いてくるから、
「あー、私はね、全然だめ。ちょっとはできるけど悲惨なもんです」
と答えたら、かなり笑われた。
その七瀬くんが私たちをキャンパスで見つけたようだ。彼もかなり背が高いので、キャンパスでこちらの方が彼を見つけやすい。
「お!でたな。オタク女子! 相変わらず、将棋か何かの変な話してんのか?」
こんな感じで七瀬くんは、美少女歩美ちゃんにも容赦がない。まあ、そういうところがたぶん、歩美ちゃんも友達?として認定しているのかもしれない。
だって、歩美ちゃん、知り合ってからまだ10ヶ月くらいだと思うけど、すでに何度男子に告白されたか・・・両手の指では足りないくらいだ。びっくりしてしまう。
彼女の定義として、告白のスキを与えないが原則らしい。だから、ちょっとあとで二人で話したいんだけどと言われると、必ず、
「いま、私の友達の前で言えるぐらいの勇気のない人とは、付き合うことさえ考えられないので……それに、私、心に決めた人がいるんです!」
と宣言している。
ああ、でもその心の中の男性70歳なんですっとは親友として突っ込めない。
それでも、ガッツのある男子がいて、時々、私が隣にいるのに、
「あ、歩美さん! 好きです! 付き合ってください!!」
と、顔を真っ赤にして告白してくる男子も何人かいた。
大体、そういう輩には、
「んんんーーーーっ。気合いは認める。だけどね、基本、私、策士じゃないとね、受け付けないの。なんていうのかな……いきなり飛車でぐっと責められてもね、なんの刺激も感じないのよね……王手には程遠いの」
と言って、その告白者を切り捨てている。
もちろん、いつも一緒にいる七瀬くんもこの場面を何回も目撃している。
「すげーよな。歩美って。あの顔であの態度。しかも、ブレないっていうかなんというか。どんな奴なんだよ。あいつが心に決めてるって奴。サイコーにすげーやつなんだろうな」
とか言っている。
もちろん、その相手について、私は七瀬くんに言いたかったけど、まあ、その辺りは、歩美ちゃんの乙女心(いや将棋愛?)について言及したくなかったので、無難に無言に徹した。
**
美代がちょっと購買部に足りないノート買ってくるねと言って二人から離れた。その時、意味深に歩美が七瀬をじっと見つめる。そして、ちょっとその視線に慄いている七瀬に対して、歩美がつぶやいた。
「あんたの勝負の相手、かなりキテいるよ。もう王手かかっているっぽいから」
「え? 歩美、それ、どういう意味」
「……七瀬はちょっと策士になれるかと思っていたけど、かなり……部が悪いというか、なんというか……同じ将棋の盤の上に立てる以前の問題かもね」
といいながら、残念そうな微笑みを七瀬に浮かべた。
「ど、どういうことだよ。それって……」
憮然としながら、歩美を見つめ返した。
でも、あの二人をあのクラブで見つけた時は本当に驚いた。想像はついていたけど、あまりにあの異世界のようなゴージャスな世界に二人とも溶け込んでいたからだ。
ザ・王者って感じでソファーに座り込んでいた。
あのいつもは真面目な七三分けの真田さんでさえあんな着飾って、しかも似合っていたのが意外だった。もしかして、昔遊び人だったのかと疑ってしまう。うーーーん、でもないかな、あの真田さんだし……。
ちょっとあの後、真田さんが生きて帰れてか心配だが、あのホステスさんがあそこまで言ったのだから、大丈夫だろうと思った。
でも、問題はあのペット問題だ。ため息が出てしまう。
今日は9時から学校だから、割合とパタパタと朝ごはんやら洗濯とやら忙しい。まあでも、早朝バイトなどしてた時よりは天国のような生活だ。あんなちょっと変わった上司でも、こういう生活ができるようになったのは今の仕事があるおかげだ。感謝していることには変わりない。だからできるだけ、あの変わり者の上司の希望は叶えるべきだと思ってしまう。またどうしても気になって、朝からネットで調べてしまう。
野生のリスね……。
昨日、夜帰宅してから、ネットで野生のリスについて調べれば調べるほどヤバかったからだ。でも、いまも調べているが、どう考えても蓮司会長のライフスタイルに合うようなペットではないし、おすすめペットとしても記述はされていない。
蓮司会長の夢の『野生のリス』とのペット生活はかなり現実的に難しいことがわかってきた。
ーーああ、よくありがちなパターンだよね……。
あらいぐまもそうらしいけど、可愛いと思って買ったペット……実は理想とは全然違って、かなり大変な飼育をしないというケース。
これは、会長に野生のリスは断念してもらって、やっぱり猫とか犬の方がいいのではないかと進言するべきかなっと考える。
あんまり人間に触られるのが嫌な動物だけど、ハムスターとかうさぎでも良いかもね・・・とか考えていく。あ、モルモットは初心者にいいなって聞いたな。それがいいかもっと思いながら、急いで朝食を終えた。
そして、まったく主人の意図がわかっていない花の大学生の美代は駅に急いで走って行った。
***
その日の午後。やっと大学での最後の講義を受け終わった。今日はいろいろ学内で補講やら授業で忙しかったから、すでに4時を回っていた。大学の構内を歩いていると、歩美ちゃんが私を見つけて走ってやってきた。
さすが美少女歩美ちゃん。みんな男子生徒が振り返る。
「美代!!!昨日、連絡しなくてごめん!!ちょっと昨晩は応援するのに精神統一していて!!今日は学校でも全然会えなかったね」
「そうだね。歩美ちゃん。だ、だいじょうぶ? そんな走って。あ、どうだった?勝てたの? 昨日の大勝負。なんとか名人?」
「あ、昨日のこと。最高だった。一時危ないと思ったけど、やっぱりものすごい巻き返しでさ~。また惚れ直しちゃった~」
アイドルを応援しているかのように頬を染める歩美ちゃん。可愛い。でも、やっぱり相手は将棋の名手の紳士、70歳らしいから、そんなところもまったく面白いというか、さすが歩美ちゃん、と言うしかない。
「そ、そんなことより、美代はだいじょうぶだった? あの真田さんって人と会長を成敗できたの?」
「う~~~ん。なんだろう。成敗っていうより、最後は動物飼育相談になっちゃった……あ、これ洋服と靴。洗濯して返したかったんだけど、今日返して欲しいって言っていたよね。これで本当にいいの?」
「いいの。いいの。うちで洗濯するからだいじょうぶ。ありがとね。でも、なに?その動物飼育相談って?」
しばしの沈黙。
「わかった。美代。よくわからないけど、あの銀座のクラブに着いてから起こった出来事を詳細に話しなさい。些細なことでも良いからね。詳しく言って」
美少女の睨みって、なにか有無を言わせない強烈な効果がある。もともと今日はその話になるだろうと思っていたから、仕方がなくいろいろ覚えている限り話した。
あのクラブがとても華やかで、まるで別世界だったこと。黒服さんやらホステスさんたちが超大人で驚いたこと。あと、最初、みんなに子供が入ってきたと思われて、ギローーッと睨まれたこと。会長までもが美代の格好をけなしてきたこと。
「え?会長が、けなしたの? あの姿?」
「うん。もうね、剣幕!!こんなみっともない格好!!って感じでジャケットを被せられた上、その後、手編みの厚手のマフラーでぐるぐる巻きだよ……ちょっと凹んだけど、まあそんなの気にしていたら、生きていけないし、慣れているから……私!」
歩美が無言で下を向いていた。かすかに肩が揺れている。その後、いきなり顔を上げたかと思えば、急に大笑いを始めた。
「わははははっ。いいね。それ!! 美代、あんたやっぱり会長を成敗したんだよ。大丈夫。あの格好は絶対に変じゃなかったよ。そんな女の視線は無視して大正解。あの姿、やっぱりあの鬼畜には堪えただろうな……はあ、面白い」
「え、よくわかんないけど、ドレスはありがたかったよ。さすがにつなぎやリクルート姿はちょっとやばかったかもしれない。あ、あと言われた通り、二人に不潔って伝えました……」
「ま、マジ!!すごいね。美代。やるじゃん! それで?」
「か、固まっていました。二人とも……」
「まあそうだろうね。無難だわ」
「でも、結局、私と会長だけがクラブを去ることになって、しかも……(ごにょごにょ)されて……」
「え? なにされたの?」
「抱っこ……お姫様抱っこされて……車に入れられた」
「!!!!あいつめ!!許せん!真田さんがいないから暴走したな!」
「そうなの!!真田さんがいないから、なんていうかペットが欲しいことが露見したみたい!!」
「え、ペット?」
そして、蓮司会長が実はペットを飼育したがっていることを教える。もちろん、野生のリスのところもだ……。
無言で美代を見つめる歩美がいた。
「王手かかっているの? もしかして、いまの状態?」
「え? 歩美ちゃん、その顔、マジで怖いよ」
**
そんな話をしていると、同じ大学で先ほど一緒に哲学の補講を受けていた七瀬くんが現れた。七瀬くんはたぶん歩美ちゃんのことが気に入っている同学年の男の子だ。これも、またたぶんだが、歩美ちゃんと仲がいい私を見つけて、哲学の講義の時も私の隣にすわっている。最近、私と歩美ちゃんが仲よくなった男の子だ。正直、人生の中で、男友達っていたことがなかったら、この存在はかなり珍しい。まあ、歩美ちゃん目的でも爽やか青年の七瀬くんは、あんまり嫌味がないので許せる。
だから、彼には『歩美ちゃんは将棋マニアだから、七瀬くんも将棋始めたら?』といつも言っているのに、彼はちょっとおバカさんなのかよくその辺、わかっていない。
「美代ちゃんは将棋するの?」
とか聞いてくるから、
「あー、私はね、全然だめ。ちょっとはできるけど悲惨なもんです」
と答えたら、かなり笑われた。
その七瀬くんが私たちをキャンパスで見つけたようだ。彼もかなり背が高いので、キャンパスでこちらの方が彼を見つけやすい。
「お!でたな。オタク女子! 相変わらず、将棋か何かの変な話してんのか?」
こんな感じで七瀬くんは、美少女歩美ちゃんにも容赦がない。まあ、そういうところがたぶん、歩美ちゃんも友達?として認定しているのかもしれない。
だって、歩美ちゃん、知り合ってからまだ10ヶ月くらいだと思うけど、すでに何度男子に告白されたか・・・両手の指では足りないくらいだ。びっくりしてしまう。
彼女の定義として、告白のスキを与えないが原則らしい。だから、ちょっとあとで二人で話したいんだけどと言われると、必ず、
「いま、私の友達の前で言えるぐらいの勇気のない人とは、付き合うことさえ考えられないので……それに、私、心に決めた人がいるんです!」
と宣言している。
ああ、でもその心の中の男性70歳なんですっとは親友として突っ込めない。
それでも、ガッツのある男子がいて、時々、私が隣にいるのに、
「あ、歩美さん! 好きです! 付き合ってください!!」
と、顔を真っ赤にして告白してくる男子も何人かいた。
大体、そういう輩には、
「んんんーーーーっ。気合いは認める。だけどね、基本、私、策士じゃないとね、受け付けないの。なんていうのかな……いきなり飛車でぐっと責められてもね、なんの刺激も感じないのよね……王手には程遠いの」
と言って、その告白者を切り捨てている。
もちろん、いつも一緒にいる七瀬くんもこの場面を何回も目撃している。
「すげーよな。歩美って。あの顔であの態度。しかも、ブレないっていうかなんというか。どんな奴なんだよ。あいつが心に決めてるって奴。サイコーにすげーやつなんだろうな」
とか言っている。
もちろん、その相手について、私は七瀬くんに言いたかったけど、まあ、その辺りは、歩美ちゃんの乙女心(いや将棋愛?)について言及したくなかったので、無難に無言に徹した。
**
美代がちょっと購買部に足りないノート買ってくるねと言って二人から離れた。その時、意味深に歩美が七瀬をじっと見つめる。そして、ちょっとその視線に慄いている七瀬に対して、歩美がつぶやいた。
「あんたの勝負の相手、かなりキテいるよ。もう王手かかっているっぽいから」
「え? 歩美、それ、どういう意味」
「……七瀬はちょっと策士になれるかと思っていたけど、かなり……部が悪いというか、なんというか……同じ将棋の盤の上に立てる以前の問題かもね」
といいながら、残念そうな微笑みを七瀬に浮かべた。
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