私は、御曹司の忘れ物お届け係でございます。

たまる

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甘い真田に歩美ちゃんが悶えました

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 即されて、お風呂に入る。
 ちょっと外に男の人、しかも、真田さんがいると思うと、半端なく緊張した。

 先程のキスされるかもしれないと思って目をつぶってしまった自分が、恥ずかしくてたまらない。
 ボコボコと豪華な湯船に顔半分を浸した。

 何かいつもような気がする。
 いや、もう負けを認めるしかなかった。
 正直、もっと真田さんに近づきたい自分がいた。
 それは、キスとかそういうのだけではなくて、本当の素顔の真田さんを知りたくなったのだ。

 あの深夜現れた真田さんが真の姿なのだろうか?
 いや、それともいつもすっとぼけている真田が素顔に近いのだろうか。
 いやいや、もっと単純なことを知りたくなる。

 あなたが今持っているその箱の中身、あげようと思っている人は一体誰なの?

 私?
 そう考えてもいいのかな。

 お腹のあたりがジーンとする。

 いやいや。
 まだわからない。
 自分は自信過剰は、だったのに、今では、歩美はどこかに行ってしまったようだった。

 まさかと思うけど、美代が蓮司の婚約者フィアンセだから、ここまでしてくれたのかもしれない。

 でも、好きって言ってくれたよね?

 恋ってこんな厄介なものだなんて、知らなかった。

 ドキドキと不安がよぎった。

 早く済まそうと思ったお風呂も、考え過ぎてしまい、長風呂になってしまった。
 洋服は昨日、迎えに来てくれた人が、に買って来てくれたと言って、その中から、軽装のTシャツと短パンを選んで着替えた。ほかの洋服も揃えられていてびっくりした。
 適当と言った割には、全てジャストフィットサイズだった。
 
 浴室から出ると、とてもいい匂いがした。
 どうやら、真田さんがエプロンをつけて! 朝食を作り終えた後だった。

 「え、あ、ごめんなさい。やらしちゃって……」
 「いえいえ、歩美さんはこの家のゲストですから……もちろん、何もしなくていいんですよ」
 
 気になって謝り続けていたら、真田が椅子を引いてくれた。
 流石、大原財閥の会長の補佐、いや本来なら補佐兼執事に近い仕事ぶりの真田ならではの手慣れた行動だった。
 思わず昔の癖で、すんなりと歩美が座った。
 
 「あ、ごめんなさい。貴方に給仕してもらいたいとか、そう言う高飛車な意味合いはなかったの。真田さんが、そのタイミングが上手すぎて……」
 「……歩美さん、起きてからずっと貴方は謝りっぱなしだ。私は、貴方にここでリラックスして欲しいんです。そんなもう、私がしたいのですから、気にしないでください」

 エプロンを取りながら、ニコニコしている真田がいた。

 「でも、言い換えせば、貴方が昔のクセが出るほど、リラックスしているってこともありますかね……」

 な、なにそれっと言っている間に全てのものがテーブルに乗った。

 カリカリのベーコンに、目玉焼き。
 クロワッサンと南国を感じさせるフルーツ。
 グアバジュースなんて、自分にとっては初体験だった。
 コーヒーも紅茶もありますと言われる。

 こんなコテコテのおもてなし、男性のお料理は、かなりきゅんとくると聞いていたが、まさか自分がその術中にはまるとは、全く思わなかった。

 二人は日が気持ちよく入る広いダイニングルームで食事を取る。
 目の前には絶景のビーチがある。
 朝日を浴びてキラキラしている海面はまるで現実感がなかった。
 しかも、ゆったりとした半袖シャツを着ている真田の姿は新鮮だった。
 食事を取りながら、歩美はこのまるでのような食事風景に、心が落ち着かない。

 ハワイだし、こんな二人きりって……。
 ドキドキが昨日、いや一昨日から止まらない。

 違う。
 真田さんに会ってからかもしれない。
 
 忘れもしない。
 最初は電話で正月に起こされた。
 なんて失礼なやつと思ったが、意外と美代の事をきちんと考えてくれていた。
 それには、今では感謝している。

 美味しく焼かれた目玉焼きを食べながら、質問する。

 「真田さんって、お料理も出来るの?」
 「いえいえ、嗜み程度です。うちにはお抱えの松田シェフがいますし……」
 「……」

 会話が緊張して続かない。
 どうしようと思う。
 気のせいか真田がクスッと笑ったような気がした。

 「……な、何よ! 今、笑ったでしょ?」
 「失礼いたしました。あまりに歩美さんが可愛らしいので……」
 「な、それって、ちょっと人をからかっているの? ば、馬鹿に…し、」

 いきなりフォークを持っていた手を掴まれた。
 真田さんが首を傾げながら、こちらを見つめている。
 先ほどはなかったメガネをしていた。
 包まれている手から火のような熱を感じた。
 言葉に詰まっている自分にさらに追い討ちをかけられる。

 「……そんな事はないよ。可愛いよ。歩美……」

 漆黒の瞳に自分が射られた。
 体温が一気に上がった。

 ごくんってつばを飲み込む。

 「……本当に……可愛い」
 「!!!」

 異性にじっと見られて、今までこんなに追い詰められた事って会っただろうかと歩美は思う。

 きゃーーっとまた心で叫んでる。
 よ、よして、本当に心臓がもたない!

 思わず、フォークに乗っかっていた卵が落ちた。

 まるで、さっきから誰かにの自分の心のようだった。

 そして、最後の言葉に撃沈する。

 「……それ以上、可愛くならないで……。私が本当にから……」



 
 
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