私は、御曹司の忘れ物お届け係でございます。

たまる

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歩美の嫉妬

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 無情にもその甘い三十分は過ぎていく。
 真田のスマホにセットしていたアラームが鳴ったのだ。

 ああ、残念。
 もっと見ていたかったわ。

 そう残念そうに歩美が呟く。

 ぱっと真田が歩美の身体から離した。
 その仕草がちょっと気になったが、「急ぎましょう」と掛け声にいきなり急かされた。
 車に乗り、車内でサンドイッチを食べる。
 温かい御茶も用意され寒かった体に温かさが戻ってきた。

 「すみません、飛行場の使用時間の問題がありまして、食事がこんなところで……」
 「え? 別に全然構わないわ」

 先程の抱擁のが残っている自分にはこれくらいのカジュアルな食事があっていた。
 サンドイッチをかじる真田さんが、なんだか可愛く感じて、じっと見てしまう。
 でも、その視線に気がついたのか、メガネをちょっと人差し指で直して、そのままサンドイッチを食べ始める。
 真田の様子がおかしい。
 何か緊張しているのか、それとも他に何かがあるのだろうかと思った。
 何故なら、彼が少しよそよそしいのだ。

 「美味しいですか?」
 と聞いてくる彼に、ただ
 「うん、おいしい……」
 と答えた。

 そのあと、彼は終始無言だった。
 だが、減っていたお腹はすぐに満たされた。

 真田の態度の変化の意味がわからないと思ったが、忙しいので、よく考えられない。
 今日中にあのマウイ島に帰るために、個人用の飛行機を二島間で、真田がアレンジしたことを知る。
 ほとんどのあの天文台にいた客がハワイ島に宿泊している客なんですと説明を受けた。

 不思議に思う。
 なんでこんなに焦っているのかと……。
 正直、このハワイ島で、一泊というのにも、素敵じゃない!っと乙女心が騒いだ。
 でも、現状は違ったらしい。

 そして、バタバタとガイドさんに別れを告げ、何度もお幸せを祈っていますと勘違いな言葉をもらいながらも、プロペラ音がうるさい飛行機に乗り、マウイ島に到着する。
 嵐のようにまた真田の別荘にたどり着いた。

 日帰りでこのスケジュール、かなりきついわね、っと思ったが、それだけの価値はあったと歩美は思った。
 と言ってもまだ夜の十一時程度だった。

 明後日、日本に帰るはずだから、今日はゆっくり出来ると思う。

 すると、真田がノックをして寝室に入ってきた。
 歩美は何か彼の態度にまた新たにさを感じていた。

 あの目眩のするようなステキな三十分から、どう考えても彼の態度がおかしいのだ。
 いや、元の真田さんに完璧に戻ってしまったと言う感じだ。

 それは、今の歩美には到底ものだった。

 まるで業務事項のように、フライトスケジュールを目の前で話す男がいる。
 明日は自分はちょっと片付けないといけない仕事と会わないといけない人がいるから、遊べないが、歩美さんは、買い物でも、ビーチでも遊ぶといいと言われた。車と案内人をつけるとも言われた。

 その言い方に歩美はぐさっときた。
 きっと普通の今までの真田の言い方なのだ。
 でも、それでも、あの口から甘い言葉が出てくると知った後には、とても耐えれないだった。

 じゃー、遅いから、もうお風呂を入ってお休みなさいとまで言われた。
 お腹が空いたら、冷蔵庫にスープや果物がありますからとまで言われる。
 そういうことだけ、ものすごい気の使える人だ……。

 でも、私の気持ちは?

 もてあそんでいるの?
 しかも昨日まであんなものをポケットに忍ばせているのを知っている。

 え、もしかして、このハワイの土地に女、囲っているとか……。
 自分はただの遊びなの?

 あの箱の中身をその知っているだけに、歩美は動揺した。
 あれをその知らない現地の女にあげるって言うわけ?

 実は、もしかして……あの満天の煌めきのなか、真田さんが自分にプロポーズするのではないかとちょっと期待していた自分がいた。
 でも、それはあの無情なアラームによって打ち消された。

 がっくりしたと言ってもよかった。
 うなだれていた歩美を待ち構えていたのは、こののいけずな真田だった。
 
 またお風呂に入りながら、考え込む。
 自分が見た目より、はるかに幼稚だって自分でもわかっている。
 でも、でも……。

 初恋って叶わないって言うけど、こう言うことなの?っと風呂の中で自問自答する。

 何かがフツフツと自分の中に湧き起こってきた。
 形容し難い感情だ。

 他の女?

 私よりいい女がいて?

 まあ美代は、地球絶滅種に近いから、別として、ありえないと思う。

 このをほって置いて、他の女にいくなんて!

 な、納得できないわ!
 到底無理!
 そんなこと、許せない!

 真田慎一郎、覚悟しなさい!!

 歩美はまるで戦場に挑むかのように、風呂から出た。
 その湯だった肌はピンク色にほんのりと染まり、色気を出させていたことなんて、本人は全く気がついていなかった。
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