会長様を手に入れたい

槇瀬陽翔

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21話

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大我と話をしてモヤモヤしていた気持ちは不思議と消えていた。

自分の知らなかった大我の気持ちを知れて嬉しかったからだと思う。



でも、これだけは言っておく、俺たちまだしてないからな!

気持ちが通じ合ったんだからいいじゃんって思うんだろうけどさ…俺の心臓がもたなかった…。

発情期の時はどうにかして欲しいって気持ちが強いから大我に抱いてほしいって思うんだけど、普通の時は恥ずかしさの方が勝ってどうしようもできなかった。


そんな俺の気持ちを知ってるのか大我もキス以上のことはしてこなかったんだ。蛇の生殺しじゃんって思う。ごめん、大我。いつかちゃんと発情期以外でも受け入れるから待っててくれ。



そんなわけで、大我と気持ちが通じ合い噂だったのを本当のことにして早数日。俺も大我も普通に過ごしていた。

ただ、いつ俺のアレが始まるかわからない状態だから俺も大我も油断だけはしていない。


「大我、これ風紀の方で処理できるか?」
俺は生徒会で作成した書類を持って大我の元へやってきた。
「どれだ?」
顔を上げて俺を見た大我に違和感を覚える。


あれ?今一瞬なんか変だった?


「どうした?」
大我の声で我に返り
「えっ?あっ、いや、何でもない。気のせいみたいだ」
俺を見る大我はいつもの大我だった。


気のせいだったんだろうか?


一瞬、大我の左目が変だった気がする。でもそれは一瞬だったから見間違いかもしれない。
「期限はいつだ?」
書類に目をやりながら聞かれる言葉に
「えっと、それを開催するのが3ヶ月後の予定だから来月の末には決めたいんだ」
みんなが楽しめるようなイベントごとがあると風紀の助けが必要になる。その為の書類を作成して依頼をしに来たというわけだ。
「わかった。今週中には返事をする。風紀のメンバーや救護班にも頼まないといけないからな」
顔を上げて言う大我の左目が変化する。今度のは間違いない。
「た…大我…左…あれ?」
大我に聞こうとしたときにはもう戻っていた。
「どうした?」
不思議そうな顔で聞かれるけどなんて言っていいのかわからず
「イヤ、何でもない。じゃぁ、その書類の件は頼んだ」
書類のことだけ頼んで俺は風紀委員室を出た。


どうしようか悩んだが俺は相談できる相手は一人だと思い、アポなしで目的の場所へと向かった。



「先生、いますか?」
部屋の扉を開け部屋の中を覗き込む。
「いらっしゃ~い。今日は聖くんだけなんだねぇ」
相変わらずのんびりとした喋りで迎え入れてくれた。
「今は大丈夫ですか?」
急な仕事が入ってると困るから確認だけはしてみる。
「うん、大丈夫だよ~。あっ、でも折角、聖くんが来てくれたから仕事が入ってもボイコットしちゃう」
なんて恐ろしいことを言ってくれる。
「イヤ、それは困りますから、仕事はしてください」
そこんとこは念を押しておく。俺はこれでも生徒会長だからな。

「もぉ~つれないなぁ~。で?神尾くんとはやっちゃったのぉ??」
なんて急に聞かれて
「やってないですって!!そこ気になるんですか??」
速攻で答えた。きっと赤くなってるはず。
「うん。お約束だよね」
いや、そんなお約束いらないですから。
「してないですよ」
これだけは断言しておこう。
「えぇ~!!やっぱり神尾くんは不能なのぉ。若いのに可愛そぉ~」
なんて今度は大我をターゲットにし始めたよこの先生。
「違いますって!大我はちゃんと反応してます。ただ俺が恥ずかしく逃げたんです!」
って俺は一体何をバラしてるんだ!!!
「そっかぁ、発情してないから恥ずかしかったんだねぇ。ちゃんと気持ちが通じ合えたから余計かなぁ」
校医の言葉にあれ?って思う。俺この人に付き合ってるって言ってないんだけど何で知ってんだ?
「ふふふ。聖くんがすごく幸せそうだから。気持ちが満たされてるって顔してるよ」
「先生ってエスパーですか?なんで俺の考えてることわかるんですか??」
俺口に出してないし…。
「顔に書いてあるから。で、今日は神尾くんのことかな?」
校医は小さく笑う。
「えっ?なんでわかるんですか?」
俺はそれが不思議だった。
「うん、君が一人でここに来るってことは神尾くんのことだろうなって。君自身のことなら神尾くんと来るか、神尾くんだけが来るからね」
あぁ、バレバレなんだ。
「えっと…実は俺の気のせいかもしれないんですけど…大我の左目がおかしいなって…」
「左目?」
俺の言葉に聞き返してくれる。気のせいだと言わないのはこの人が生徒の相談役も担ってるからなのか?
「えっと…なんて言っていいのかな?本当に一瞬だったんで見間違いかもしれないんですけど、一瞬左目の色が変わってような気がして…」
言葉を選びながらさっきの出来事を思い出しながら言葉を紡げば
「色が変わったねぇ…なら本人が来るから聞けばいい」
校医はあっさりを言い放った。
「えっ?本人に聞く?」
どういうことかわからず聞き返せば、部屋の扉が開き誰かが入ってきた。


「先生、薬が欲しんだけど…ってここにいたのか聖」
声をかけながら入ってきたのは大我だった。
「君の左目の秘密が知りたいみたいだよ神尾くん」
先生はそう言いながら薬品棚を開けて紙袋を取り出し大我に渡す。
「ありがとうございます。あー、これか…さっきのアレはこれのことか」
紙袋を受け取り俺を見ながらかき上げた前髪。そこに現れたのは完全に色の変わった左目だった。
「それって…どういうこと?」
初めて見るソレに驚きが隠せない。
「早い話がさかりの始まり。オメガが発情だとするとアルファはさかり。俺の場合はちょっと血筋が特殊でさかりが始まるというか近くなると左目がシルバーに変化するんだ」
大我の言葉にん?と疑問に思う。
「いや、俺それ初めて見るんだけど?いつもそんなことあったっけ?」
俺の記憶の中にそんなものはない。中学からずっと大我と一緒にいるけど今回が初めてだ。
俺の言葉に校医と大我は笑っていた。



一体どういうことだろうか?


俺の頭の中に疑問ばかりが浮かんでいた。


やっぱり俺は大我のことを知らなさすぎるみたいだ…。


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