会長様を手に入れたい

槇瀬陽翔

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35話

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朝、起きた時からなんだか身体が怠いなって感じてた。とはいえ、特別何かあったとかそういうのはない。


「なんだろ?」
不思議に思いながらも学校に行く準備をして部屋を出れば、同じように部屋を出てきた大我と鉢合わせた。


「おはよう」
大我に挨拶をすれば、大我の眉間に一瞬だけ皺が寄った。


あれ?なんか俺やったかな?


「おはよう。お前、これ後で飲んどけ」
そう言って差し出されたのは補助剤。


大我さん、あなたは一体どれだけ俺の補助剤を持ってるんですか?


「ありがとう。後で飲んどく」
俺はそれを受け取りポケットの中にしまった。大我がこれを渡すときは大抵、数日間の間に俺に発情期が来るということ。本人よりも把握してるのはどうなんだろうか?とは思うが、いつも助かているのでそこは文句言わない。

「ほら、行くぞ」
大我に促され俺は大我と一緒に学校に行くこととなった。


授業を受けていて不意に眠気が襲う。いつもはそんなことないんだけど、なんだか今日は本当に変だ。眠気と戦いながら授業を受けていれば、不意に視線を感じ、そっちの方を見ればジッと俺を見てる大我と目が合った。


ヘラって笑ってみたらすっごく険しい顔になった。


あれれ?俺ってなんか今日は朝からずっと大我を怒らせてるんだろうか?


なんて思ってしまった。大我は小さく息を吐き前を向いてしまうからその表情はわからないし、何を考えてるのかもわからない。


結局、眠気と戦いつつ、大我の行動に悩みながら授業を終えた。放課後になっても眠気は取れずじまいだし、大我も何も言わない。だから不安だけが募っていく。


「大我…あの…」
大我の背に声をかければ
「今日は早めに帰れよ」
そう言われてしまう。何も聞くなと言わんばかりに…。
「…わかった…」
それ以上は俺も何も言えなくて言うことを聞くことしかできなかった。

大我に生徒会室まで送ってもらって部屋に入れば、大我が永尾を呼んで出て行ってしまった。


俺に聞かれたくない話でもあるのかな?


なんて思いながら俺は自分の席に座り机の上にある書類を手に取った。



「あれ?…」
自分でも間抜けな声を出してしまった。


「ここどこだろう?」
なんて言うのにもちゃんと理由はあるんだ。俺は確か生徒会室で書類に目を通そうと書類を手に取ったまでは記憶がある。あるんだが、それ以上の記憶がない。

「どうしたんだっけ?」
そう考えるけど、記憶がないし、答えになるものはない。そもそもここはどこだろうか?


なんて考えていれば
「起きてたのか」
そんな声が聞こえて、声がした方を見れば大我がいた。
「俺って…どうしたんだ?」
それが知りたくて聞けば
「気を失ったかのように寝た」
そう言われてえっ?って思った。

「えっと…俺寝ちゃったのか?」
信じられなくて聞き返せば
「あぁ、それはもう、見事に爆睡してたな」
少し呆れた顔をしながら教えてくれる。

「確かに眠いとは思ってたけど…ちゃんと俺、夜寝たけどなんでだろ?」
寝不足になるなんてことはないはずなんだ。夜はそれなりにちゃんと寝てるし、熟睡した感はある。
「それは…アレが関係してるからだろうな」
溜め息交じりの言葉に眉間に皺が寄ったのがわかる。
「どうして…」
発情の時期が前回から計算しても近いのはわかるけど、どうしてアレが関係してるって思うんだろうか?

「中学の時のこと覚えてるか?」
大我の言葉に意味が分からず首を振る。
「中学の時、アレが起こる前に今と同じ状況になってるんだよお前」
溜め息交じりに大我が教えてくれる。
「そうだっけ?」
自分では全く覚えてない。

「本当に覚えてないんだな。アレが起きたのはまだ1度だけだけど、あの時も数日間お前は眠気と戦ってて、時折、気を失ったかのように寝てたんだよ」
苦笑を浮かべながら大我が教えてくれる。ずっと俺と一緒にいてくれたからこその言葉。
「じゃぁ、本当に俺にアレが来るってことなんだ…」
来なければと思ったけど、こうやって体調に異変が起きてるということはやっぱり来るといういことなんだ。

「そうなるな。フェロモンの香りも微妙に変わってるからな」
大我のその言葉に驚き大我を見れば
「朝はそれに気が付いたからちょっと眉間に皺が寄った」
朝の出来事をちゃんと教えてくれた。


あっ、だからあんな難しい顔してたんだ。


「俺が変なことしたのかって思ってた」
ポツリ言えば
「悪いな。そういうわけじゃないんだが…。ちょっと俺的にも準備というか覚悟も必要になるからな」
そう言いながら優しく頭を撫でていく。
「所でここは?」
いつも借りてる部屋じゃない気がするんだ。

「いつもの場所じゃない。発情の暴走が起きても大丈夫な部屋だ。学園側が前もって作ってた部屋で、お前じゃない他のヤツもこの部屋を使ってたことがある」
大我の説明にへ~って暢気に思っちゃった。


イヤ、俺みたいに発情の暴走が起きるヤツは稀にいるし、それに対応してるのは校医の神田先生だし、風紀や救護班たちもだ。だからそういったヤツのための専用の部屋があるっていうのも驚きだが、この学園は第2の性を基本として扱っているので当たり前かと納得もする。


「じゃぁ、しばらく俺はここで生活することになるのか?」
この場所に連れてきたってことはそう言うことなんだろうなぁ。
「あぁ、校医がその方がいいってことだからな。まぁ、俺も一緒だし問題はないだろ?」
大我の言葉にう~んと唸ってしまう。

「なんだよ、不満か?」
唸った俺に大我が聞いてくるから俺は慌てて首を振り
「そうじゃないんだけど、俺の心臓がもちません」
素直に言う。
「本当に発情の時と普段の時との差がありすぎだろ?別に何もしねぇよ」
呆れながらも言う大我はどこか楽しそうだ。

「う~!お手柔らかにお願いします」
だから俺は慣れるしかないし、大我が嫌いじゃないからドキドキするんだと自分に言い聞かせた。


好きだからドキドキするし、恥ずかしいとも感じる。一緒にいたくないんじゃなくて、傍にいたいんだ。自分のすべてを曝け出してもいいと思う相手は大我だけで、大我だからこそ見せたいとも思う。


ただ気持ちは矛盾ばっかりだけど…。ホント…性格が変わりすぎるんだよ俺…


「まぁ、アレが来るまでは普段通りだし、抱き合うことだけが愛を確かめる方法じゃないだろ」
大我の言葉に頷いた。
「暫くお前はその眠気と戦うことになるから頑張れよ」
大我はそう言って笑う。
「えっ、マジで!それ辛いんですが…」
本当に今日1日辛かったんだよ…。

「アレが本当に近くなったり、起こり始めれば眠くなくなるから大丈夫だ。まぁ、それ以外が大変になるけどな」
苦笑気味に言われる言葉に俺は項垂れた。


本当に俺は中学の時に起きたアレの記憶が曖昧で、ちゃんと思い出せないんだ。ただ、あの時も大我が傍にいてくれたんだろうってことしか覚えてないんだ。


発情期の時は記憶が飛ぶから余計かもしれないが…。


そっか…今度こそ本当にアレが起こるのか…。


アレが起こったとき俺はどうなるんだろう?



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