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53話
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「あのさ…大我」
大我に抱きしめられたまま声をかける。
「ん?今度は何が聞きたいんだ?」
今の俺が話しをしたがってるのと、何か聞きたいことがまだあるんだろうなって気が付いてる大我は話せと促してくれる。
「あのさ…今更こんなことを聞くのは遅いとは思うんだけど…大我にとっての番っているのか?ってか大我は誰が番かってわかってるのか?」
俺は本当に今更だと思うことを聞いていた。
いや、だって俺の発情に初めて大我が反応したあの時から随分と経つし、付き合いだしてからもそれなりに経ってるんだ。
それを今更このタイミングで聞くのって遅すぎるだろ!って自分でも思うんだけど、聞けなかったんだ。
色んな意味で、怖くて、聞くことができなかったんだ。
「えっと、唯斗くんはどう思うのかな?」
大我は俺を離しジッと顔を見ながら問われた。
「えっと…前に聞いた時はそう言う存在はいるって言ってたような気がするから…いるのかなって…」
付き合ってるっていう噂を本物にするしないで言い争ってるときにそんなことを言ってたような気がするんだ。ちゃんと覚えてないんだけど…。
はぁってでっかい溜め息つかれちゃったよ…。
「あのな、結論から言うと、俺の番はちゃんといる。その相手もわかってる」
真剣な顔をして言われた言葉にズキリと胸が痛む。
あぁ、やっぱりいたんだと…。相手もわかってるんだ…。
「俺の番は鈍感で、こうやって話してるのにもかかわらず、理解してくれてない。どれだけアプローチしてても記憶に残らないんだから厄介なもんだ」
半ば呆れ顔で言われる言葉。
「そう…なんだ…」
誰のことを言ってるのかわからないし、ズキズキと痛む胸を隠すのが精一杯で余裕がなかった。
「ホントに…俺の番は今、目の前にいるお前だ唯斗」
溜め息交じりに言われた言葉に
「ふぅ~ん。ん?えっ?俺?えぇぇぇ!!!」
ビックリして声をあげちゃったよ。しかも、その言葉の意味を理解するまでに1分以上かかった。
「気付けよ」
苦笑を浮かべながら言われた言葉に
「嘘だ!マジ?」
信じられなくて、つい掴みかかっちゃった。
「嘘を言ってどうすんだよ。本当だって」
信じろよと呟く。
「だって…俺よくわからないから」
本当に俺にはよくわからないんだ。自分の番が誰なのかっていうのも…。
「ゆいの発情が俺にとって毒だって言ったのは覚えてるか?」
その言葉にコクリと頷けば
「唯斗のフェロモンの香りは俺にとっては猛毒に近い。気を抜けば唯斗の気持ちなんて無視してまでも、コトにおようぼうとするぐらいには危険なんだ。特に発情の時は全身の血が沸騰するぐらいには危ない」
説明してくれる内容を聞きながら思う。
大我ってやっぱり化け物じゃないだろうか?と…。
「フェロモンの香りに敏感て言うのは唯斗のフェロモンだけにであって、他のオメガはさほど気にならない。そんなんだから唯斗の僅かなフェロモンでもわかるし、変化にも気が付ける。唯斗が番じゃなかったらいくらさかりが来てても俺の目はここまで変化しない」
そう言う大我の瞳はさかりの時と同じで碧。
「それを俺に気付かれないようにしてたってことだろ?やっぱり大我って化け物じみた精神力してんじゃん」
つい本心を口にしたのは許してほしい。だって、ずっと俺に反応を示してこなかった男の台詞とは思えないんだ。
「そりゃお前、色々と我慢することはあるだろ?大体、唯斗はオメガだってことで自棄になってるし、甘えたが発動してるときはキス魔になるし。そういうのを相手してるうちに忍耐力もつくだろ?下手に手は出せないんだし…」
苦笑したままで言われる言葉に反論の余地はない。
「それは…その節は大変ご迷惑を…」
それしか言えない。
「いえいえ、あれはあれで十分に楽しませてもらったので平気です。まぁ、普通に好きな相手からキス迫られたら嬉しいしな」
いやぁ~、よく押し倒さなかったよ~。なんて笑う大我に俺はますます小さくなる。
自分でちゃんと覚えてないだけにバツが悪い。
俺は今まで一体どんだけ大我に対してムリ意地をしてきてたんだろうか?
最近は少しだけ記憶はあるんだ。自分がキス魔になって大我に甘えまくってるっていう記憶が…。
「唯斗自身は本当にわかってないのか?」
急にそう言われて首を傾げた。
「なにが?」
なんの事だろうか?
「自分の番のこと」
大我に言われてう~んと悩む。
「よくわからないんだ。でも…大我に抱かれるようになって思うことがあるんだ…」
番だとわかる方法がよくわからない。でも、もしかしたらこれなのかなって思うことはあって…
「何をだ?」
大我は俺の考えてることを言いやすいように聞いてくれる。焦らないで、俺が話しやすいように待っててくれる。
「うん、俺って大我としたことがないからよくわからないんだけど大我とすると、絶対に身体の奥から何かが溢れてくるんだ。それが大きな波になって、初めは怖ったんだけど、今回、初めてそれが大きな波と大我が一緒に欲しいって思った。お腹がスッゴイ、キュンキュンして大我の事、今まで以上に欲してるのがわかる。あれ?これってもしかして?」
大我に話してて自分でもあれ?って思う。
発情した時に、他のヤツが触ったらメチャクチャ気持ち悪くて、思いっきり振り解くほど嫌悪感があったんだ。だけど、大我に触れられると全身が、それこそ身体の奥から快楽というか甘い痺れが走るんだ。
そこまで考えてあって思った。
「そっか…俺は自分でも気が付かないうちに大我を欲してたのは大我が自分にとっての番だったからなんだ。だからずっと大我に構って欲しくて、相手をして欲しかったんだ」
ずっと、心のどこかに引っかかってた謎が今、全て解けた感じがした。
「唯斗」
不意に呼ばれて
「なに?…あっ」
大我を見て俺は固まった。
いつになく真剣な顔。その瞳は両目とも碧に変化していた。
俺はドキドキと高鳴る胸を掴み、大我を見ることしかできなかった。
言葉を発することも出来なくて、息ができないほど高鳴る胸が苦しかった。
次に来るであろう、言葉が聞きたいようで、聞きたくないようでそんな矛盾した気持ちを胸に大我の口から発せられる言葉を待っていた。
大我に抱きしめられたまま声をかける。
「ん?今度は何が聞きたいんだ?」
今の俺が話しをしたがってるのと、何か聞きたいことがまだあるんだろうなって気が付いてる大我は話せと促してくれる。
「あのさ…今更こんなことを聞くのは遅いとは思うんだけど…大我にとっての番っているのか?ってか大我は誰が番かってわかってるのか?」
俺は本当に今更だと思うことを聞いていた。
いや、だって俺の発情に初めて大我が反応したあの時から随分と経つし、付き合いだしてからもそれなりに経ってるんだ。
それを今更このタイミングで聞くのって遅すぎるだろ!って自分でも思うんだけど、聞けなかったんだ。
色んな意味で、怖くて、聞くことができなかったんだ。
「えっと、唯斗くんはどう思うのかな?」
大我は俺を離しジッと顔を見ながら問われた。
「えっと…前に聞いた時はそう言う存在はいるって言ってたような気がするから…いるのかなって…」
付き合ってるっていう噂を本物にするしないで言い争ってるときにそんなことを言ってたような気がするんだ。ちゃんと覚えてないんだけど…。
はぁってでっかい溜め息つかれちゃったよ…。
「あのな、結論から言うと、俺の番はちゃんといる。その相手もわかってる」
真剣な顔をして言われた言葉にズキリと胸が痛む。
あぁ、やっぱりいたんだと…。相手もわかってるんだ…。
「俺の番は鈍感で、こうやって話してるのにもかかわらず、理解してくれてない。どれだけアプローチしてても記憶に残らないんだから厄介なもんだ」
半ば呆れ顔で言われる言葉。
「そう…なんだ…」
誰のことを言ってるのかわからないし、ズキズキと痛む胸を隠すのが精一杯で余裕がなかった。
「ホントに…俺の番は今、目の前にいるお前だ唯斗」
溜め息交じりに言われた言葉に
「ふぅ~ん。ん?えっ?俺?えぇぇぇ!!!」
ビックリして声をあげちゃったよ。しかも、その言葉の意味を理解するまでに1分以上かかった。
「気付けよ」
苦笑を浮かべながら言われた言葉に
「嘘だ!マジ?」
信じられなくて、つい掴みかかっちゃった。
「嘘を言ってどうすんだよ。本当だって」
信じろよと呟く。
「だって…俺よくわからないから」
本当に俺にはよくわからないんだ。自分の番が誰なのかっていうのも…。
「ゆいの発情が俺にとって毒だって言ったのは覚えてるか?」
その言葉にコクリと頷けば
「唯斗のフェロモンの香りは俺にとっては猛毒に近い。気を抜けば唯斗の気持ちなんて無視してまでも、コトにおようぼうとするぐらいには危険なんだ。特に発情の時は全身の血が沸騰するぐらいには危ない」
説明してくれる内容を聞きながら思う。
大我ってやっぱり化け物じゃないだろうか?と…。
「フェロモンの香りに敏感て言うのは唯斗のフェロモンだけにであって、他のオメガはさほど気にならない。そんなんだから唯斗の僅かなフェロモンでもわかるし、変化にも気が付ける。唯斗が番じゃなかったらいくらさかりが来てても俺の目はここまで変化しない」
そう言う大我の瞳はさかりの時と同じで碧。
「それを俺に気付かれないようにしてたってことだろ?やっぱり大我って化け物じみた精神力してんじゃん」
つい本心を口にしたのは許してほしい。だって、ずっと俺に反応を示してこなかった男の台詞とは思えないんだ。
「そりゃお前、色々と我慢することはあるだろ?大体、唯斗はオメガだってことで自棄になってるし、甘えたが発動してるときはキス魔になるし。そういうのを相手してるうちに忍耐力もつくだろ?下手に手は出せないんだし…」
苦笑したままで言われる言葉に反論の余地はない。
「それは…その節は大変ご迷惑を…」
それしか言えない。
「いえいえ、あれはあれで十分に楽しませてもらったので平気です。まぁ、普通に好きな相手からキス迫られたら嬉しいしな」
いやぁ~、よく押し倒さなかったよ~。なんて笑う大我に俺はますます小さくなる。
自分でちゃんと覚えてないだけにバツが悪い。
俺は今まで一体どんだけ大我に対してムリ意地をしてきてたんだろうか?
最近は少しだけ記憶はあるんだ。自分がキス魔になって大我に甘えまくってるっていう記憶が…。
「唯斗自身は本当にわかってないのか?」
急にそう言われて首を傾げた。
「なにが?」
なんの事だろうか?
「自分の番のこと」
大我に言われてう~んと悩む。
「よくわからないんだ。でも…大我に抱かれるようになって思うことがあるんだ…」
番だとわかる方法がよくわからない。でも、もしかしたらこれなのかなって思うことはあって…
「何をだ?」
大我は俺の考えてることを言いやすいように聞いてくれる。焦らないで、俺が話しやすいように待っててくれる。
「うん、俺って大我としたことがないからよくわからないんだけど大我とすると、絶対に身体の奥から何かが溢れてくるんだ。それが大きな波になって、初めは怖ったんだけど、今回、初めてそれが大きな波と大我が一緒に欲しいって思った。お腹がスッゴイ、キュンキュンして大我の事、今まで以上に欲してるのがわかる。あれ?これってもしかして?」
大我に話してて自分でもあれ?って思う。
発情した時に、他のヤツが触ったらメチャクチャ気持ち悪くて、思いっきり振り解くほど嫌悪感があったんだ。だけど、大我に触れられると全身が、それこそ身体の奥から快楽というか甘い痺れが走るんだ。
そこまで考えてあって思った。
「そっか…俺は自分でも気が付かないうちに大我を欲してたのは大我が自分にとっての番だったからなんだ。だからずっと大我に構って欲しくて、相手をして欲しかったんだ」
ずっと、心のどこかに引っかかってた謎が今、全て解けた感じがした。
「唯斗」
不意に呼ばれて
「なに?…あっ」
大我を見て俺は固まった。
いつになく真剣な顔。その瞳は両目とも碧に変化していた。
俺はドキドキと高鳴る胸を掴み、大我を見ることしかできなかった。
言葉を発することも出来なくて、息ができないほど高鳴る胸が苦しかった。
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