僕とネコと君

槇瀬陽翔

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第7話

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「ご飯できたわよぉ。こっちに出ておいでぇ」
テーブルに人数分の食事を用意した美都が子供たちを呼ぶ。
「はーい」
その声に反応して凌と柚子がキッチンに走って行こうとするが

「あっ、ちょっと待った二人とも。子猫たちを触ったから先に手洗いをしよう」
知宙が2人を呼び止める。
「ほら、行くぞチビども」
知宙の言葉を付け足すように櫂莉も二人を呼ぶ。

「はーい。お手て洗わないと~」
「ばい菌いっぱーい。お腹、痛い痛いになっちゃう~」
2人は楽しそうに笑いながら知宙と櫂莉の方へついて行く。
「あら、ヤダわ。知宙くんたらうちの子たちの扱い上手くなってる」
4人のやり取りを見ながら美都が呟く。
「櫂莉くんと一緒でいいお兄さんだね彼」
雅人も子供たちのやり取りを見ながらいう。

「わーい、ごはん~」
手を洗い終わった2人が嬉しそうに戻ってきた。そんな後ろを櫂莉と一緒に知宙も戻ってくる。
「薗畑はここに座れ」
櫂莉は知宙に隣に座ればいいと教える。
「ありがとう」
知宙はお礼を言って座った。

「さぁ、食べましょう」
「いただきま~す」
美都の言葉にみんなは手を合わせ食べ始めた。


知宙にとってこんな楽しい食事は初めてだった。いつも、1人で寂しく食事をしていたから。子供のころからずっと、姉と一緒に食べたこともなかった。


「大丈夫か?」
食べるのが止まってしまった知宙に櫂莉は心配げに聞いてくる。
「えっ?」
知宙が驚いて櫂莉を見れば
「泣いてるから…。大丈夫か?」
少しだけ困った顔をしながら知宙の目元を拭っていく。

「えっ?あっ、ホントだ。なんでだろ?悲しくないのに…」
知宙は驚いて自分で目を拭い涙が流れ落ちてるのに気付き呟く。
「あっ、こら、擦るな。目が赤くなる」
目をゴシゴシと擦る手を櫂莉がやんわりと止め、変わりに自分の方に引き寄せ抱き締めて背中をポンポンと叩く。

「…っ…ごめ…ん…」
櫂莉のその優しさが余計に知宙の涙を誘った。


本人でも気が付いていなかった寂しさ。楽しくみんなと食事をすることで涙として現れたのだ。本当は誰かと仲良くなりたかった。友達同士でバカもやってみたかった。でも、知宙は全部それを諦めてきたのだ。いつか自分がまた転校していくのをわかっていたから。だから親しい人を作るのを諦めていたのだ。それなのに、櫂莉は一定の距離感を保ちつつも知宙に接してくれることで、知宙にはありがたかったのだ。まだ2日しかちゃんと話していないけど、それでも知宙には嬉しかったのだ。


ひとしきり泣いて落ちつた知宙が
「えっと、お見苦しい所を…」
少し照れながらいうが、
「全然、気にしないわ。知宙くんの気持ちがスッキリしてくれるならそれでいいと思うもの」
「無理して笑わなくてもいいよ。君には君の事情があるのはわかるからね」
美都も雅人も気にしなくていいと言ってくれる。
「ちーちゃん、ご飯食べたらまた遊んで~」
「遊んで遊んで~」
柚子と凌もまた遊んでと言ってくる。
「ありがとうございます」
知宙は小さく笑ってお礼を口にした。それは無理に笑うわけではなく、本当にごく自然にだった。


そして、6人はまた食事を再開させたのだった。本当に他愛もない会話をしながら、談笑をしながら食べたのだった。


知宙にとってそれは本当に初めての出来事で、胸の奥がほんのり暖かくなったのだった。


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