僕とネコと君

槇瀬陽翔

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第8話

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「じゃぁ、今日は帰るわね。また明日の朝、迎えに来るわ」
9時ぐらいになって美都が帰るからと寝てしまった子供たちを雅人と2人で抱きながら言ってくる。
「あの、晩御飯、美味しかったです」
知宙はそんな美都にいう。

「またリクエスト言ってね。知宙くんの食べたいもの作ってあげるから」
美都は知宙に向かって笑う。
「あっ、はい」
知宙は嬉しそうに返事をした。

「じゃぁ、櫂莉、明日は9時に迎えに来るからね」
美都は知宙の隣に立っている櫂莉に迎えに来る時間を告げる。
「わかった。気を付けて帰れよ」
「じゃぁ、おやすみ」
櫂莉の返事に美都は小さく頷き帰って行った。

玄関の鍵を閉めて2人はリビングへと戻ってくる。


「薗畑、風呂先に入っていいぞ」
櫂莉はお風呂にはいれるように準備して知宙に告げる。
「先に入ってもいいの?」
知宙は本当に自分が先に入っていいのか聞いてしまった。
「あぁ、お前は客だからな。先に入っていいに決まってるだろ」
櫂莉はそんなこと気にせずに入れという。
「ありがとう。じゃぁ、先に入るよ」
知宙はお礼を言って、自分の着替えを持って教えてもらったお風呂場に向かった。


知宙がお風呂からリビングに戻ってきたら櫂莉がパソコンで何かをしていた。
「お風呂ありがとう」
知宙が声をかければ
「あぁ、ちゃんと温まって来たか?」
顔を上げて知宙を見て櫂莉が聞く。
「うん、大丈夫だよ。って、藍原って目が悪いのか?」
知宙は顔をあげた櫂莉を見て聞いてみた。その顔にはさっきまでかかってなかったメガネがついているからだ。

「あぁ、違う。パソコンで作業するときはメガネをかけてるだけだ。目が疲れるからな」
櫂莉はメガネを外しながらメガネの理由を話す。
「へぇ、そうなんだ。俺はパソコン触らないからわかんないや」
そういうもんなんだと知宙は納得する。
「まぁ、薗畑もパソコン触るようになればわかるかもな」
櫂莉はパソコンを閉じ風呂行ってくると言い残しリビングを出て行った。知宙は子猫たちの傍に行き様子を見てることにした。


「こら、そんなところで寝るな」
櫂莉がお風呂から戻ってくると子猫たちのいる場所で転がってる知宙を見つけて声をかける。
「んーっ」
だが、知宙からはそんな返事が返ってきた。
「寝てるのか?起きてるのか?」
どっちかわからず櫂莉が傍に行き知宙を覗き込めば子猫たちに腕枕されてウトウトし始めていた。
「こら、起きろ。そこで寝ると風邪をひくから」
櫂莉は小さく溜息をつき子猫たちを箱の中に戻しながら知宙を起こす。

「んー、子猫たちが暖かくて、眠くなっちゃった」
目を擦りながら知宙が身体を起こす。
「だったらせめて布団で寝ろ。そこに敷いてやるから」
櫂莉は客間から布団を持って来て、子猫たちのいる場所の傍に布団を敷いてやる。

「ほら、寝ていいから布団に入れ」
知宙を布団に行けと言えば
「んー、藍原は?」
半分寝惚けたままの知宙が櫂莉は寝ないのかと聞く。
「俺はまだ少しやることがあるから先に寝ろ。電気も消してやるから」
櫂莉はそんな知宙を布団の中に押し込む。
「ん、おや…す…みぃ…」
余程、眠かったのか布団の中に押し込んで数秒で知宙は眠りの中に墜ちていった。
「秒殺かよ」
櫂莉は小さく笑い
部屋の電気を消しリビングに戻りさっきまでしていた作業を再開させたのだった。


シンとした部屋の中には櫂莉が打つキーボードの音と知宙の寝息が静かに響いていた。


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