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9話
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「神尾委員長の風紀内部崩壊は聖会長を守るための土台を作るためと、前期風紀委員長と前期生徒会長を守るために起こしたものなんです」
神谷が内部崩壊の理由をもう一度、教えてくれる。
「じゃぁ、そのおかげで今のシステムが出来上がって、校内での混乱が避けられてるってことなのか?」
もう一度、俺が神谷に確認の為に聞く。
このシステムがいつから出来てたのか俺にはわからなかったが、俺が会長になった頃には完全に今のシステムで覚醒した生徒は救護班に保護されていた。その為、発情中のオメガによるアルファの性的暴行事件は月に数件起きるかどうかだと風紀からの報告で聞いた。
「はい、そうです。今のシステムを作り上げたのが風紀委員長なので、第2の性に関しては全て風紀管轄にあり、風紀委員長にその全ての権限が与えられてます。そして、風紀内もそのように人員配置されて管理されてます」
神谷が俺の問いに答えてくれる。それは副委員長としての言葉。なぜ、オメガである神谷が副委員長という椅子に座っているのかというのも今の話で何となく分かった。
大我はオメガを会長にアルファを副会長にしたように、風紀委員長をアルファが副委員長をオメガにすることで、この学園内の均衡を守ってるんだろう。アルファだろうとオメガだろうとその地位に差別はないと。そしてベータを救護班にしてるのはアルファとオメガ両方をサポートできる存在だと示してるんだろう。
そう考えればあのあの男はどれだけ周りのことを考えて行動してきたのか計り知れない。
「あの…神谷…一つ聞いてもいいか?」
俺はふと思ったことを聞こうと思って神谷に声をかける。
「はい?僕に答えられることなら…」
不思議そうな顔をしながら返事をしてくれる。
俺は神谷を見ながら思う。本当に聞いてもいいのかと…。一瞬の躊躇い。それでも小さく息を吐き
「これは…俺の純粋な疑問だから答えたくなかったら答えなくてもいんだ。それに神谷を問い詰めるつもりでもないから…」
前もって答えたくなかったら答えなくてもいいと宣言をする。そうすることで、神谷には逃げ道が出来るから…
「はい、わかりました。何ですか?」
不思議そうな顔をしながら聞いてくる。
「神谷は本当は…永尾とどうなりたいんだ?お腹の子のことは今は考えなくていいから…純粋にこの先も永尾とどうしたいのかって思って…俺が口出す問題じゃないのは百も承知なんだ…ただ…神谷も永尾も俺にとっては大事な友人だと思ってるから…」
そう、俺にとって他人は興味のない存在。神尾大我がいれば俺には必要ない。そう思う自分は確かにいる。だけど、そう思う自分の中にもちゃんと友人だと思える人物はいる。その中に神谷と永尾がいるのだ。だからこそ、俺は二人にとってちゃんと幸せだと思える関係を選んで欲しいと思った…。
「僕は…本当は…健汰にちゃんと話したいって思ったんです。でも…彼の家のことを考えたら言えなくて…だから…委員長には無理を言いました…勉強もしたい…でも…この子を産みたい…そう思った…でも…」
神谷はそこまで言って黙ってしまった。俺は自然と身体が動き神谷を抱きしめてた。
「大丈夫。神谷なら大丈夫。俺は神谷だったら大丈夫だって思う。じゃなきゃ…あの男が、神尾大我がこんな無茶なことで動かないと思うから…」
俺はそう思った。大我は人を見る目がずば抜けている。周りをよく観察しているからだとは思うけど…。そんな男が神谷の一時の感情のままに動くはずないと思った。俺よりも永尾や神谷のことを知ってる男が何も考えずに動くはずないって思ったんだ。確信はないけど…
「会長って…時々…驚く行動しますよね」
俺の制服を掴みながら神谷が呟く。
「あー、それ大我にも言われる。俺は別にそんなつもりじゃないんだけどな」
神谷を抱きしめたままで答えれば
「そういうところがゆいちゃんのいいところでしょ?」
「だから余計にあいつが化け物扱いされるんだけどな」
後ろからこうちゃんとヒロさん言われた。
「えぇ!こういうのがダメなの?」
俺は驚きながら聞けば
「そうですねぇ、我々の予想してない行動をとる会長を委員長は平然と守ってるし、フォローしてるんで化け物呼ばわりしてます」
神谷がクスリと笑いながら教えてくれる。
「そんなぁ、俺のせいかぁ」
ガックリと肩を落とせば
「でも、それが会長のいいところだし、そんな会長がいるから委員長は化け物じみたことを平然とやってのけてるんですよ。って、これフォローになってない?」
神谷が自分の言葉に疑問を持ちながら言ってくれる。
「俺は神谷は笑ってる方が似合うと思うな。今は色んな事考えなきゃいけないから大変だろうと思うけど、ちゃんと永尾と話し合って、自分の気持ちをぶつけて最後には神谷には笑っててほしい。悪態付きながら永尾をこき使ってる方が神谷らしいもん」
これは俺が本当に思ってること。神谷は笑ってる方が似合ってる。永尾をこき使ってる方が神谷は生き生きしてて見てる方が楽しい。
「あっ…ありがとう会長…そんな風に思ってくれてるなんて思わなかったらちょっとびっくりした」
俺の言葉に本当にびっくりしたんだろうな神谷が驚いてた。
「うん。神谷は永尾をこき使ってる方が生き生きしてて見てる方が楽しんだ。大我は永尾の愚痴を聞かされてうんざりしてるみたいだけど、嫌がってないし…」
うん、実はこれも本当のことだ。永尾の愚痴を聞くのはうんざりしてるけど嫌がってない。嫌がってたら大我の場合は追い返すか締め出すもん。
「なんか二人とも僕と健汰の事をよく見てますね」
神谷が恥ずかしそうに笑う。
「まぁ、役員のことはちゃんと見とかないとさ。俺も生徒会長だし。神谷はさ時々、自分に我慢しちゃうからこういうときぐらい素直になってもいいと思う。って、俺が言えるのはここまで。結局は答えを出すのは神谷自身だから…」
俺から見ても神谷は我慢してるって思うときがあるから、大我はきっとそれをわかってるんだと思うんだ。
だからこそ、一人で考える時間を神谷に与えたんだ。
己と向き合う時間を…。
本当はどうしたいのかを考える時間を…。
永尾とどういう道を歩んでいきたいのかを決める時間を…。
それがたとえ間違った選択だとしても自分と向き合う時間を…。
神谷が内部崩壊の理由をもう一度、教えてくれる。
「じゃぁ、そのおかげで今のシステムが出来上がって、校内での混乱が避けられてるってことなのか?」
もう一度、俺が神谷に確認の為に聞く。
このシステムがいつから出来てたのか俺にはわからなかったが、俺が会長になった頃には完全に今のシステムで覚醒した生徒は救護班に保護されていた。その為、発情中のオメガによるアルファの性的暴行事件は月に数件起きるかどうかだと風紀からの報告で聞いた。
「はい、そうです。今のシステムを作り上げたのが風紀委員長なので、第2の性に関しては全て風紀管轄にあり、風紀委員長にその全ての権限が与えられてます。そして、風紀内もそのように人員配置されて管理されてます」
神谷が俺の問いに答えてくれる。それは副委員長としての言葉。なぜ、オメガである神谷が副委員長という椅子に座っているのかというのも今の話で何となく分かった。
大我はオメガを会長にアルファを副会長にしたように、風紀委員長をアルファが副委員長をオメガにすることで、この学園内の均衡を守ってるんだろう。アルファだろうとオメガだろうとその地位に差別はないと。そしてベータを救護班にしてるのはアルファとオメガ両方をサポートできる存在だと示してるんだろう。
そう考えればあのあの男はどれだけ周りのことを考えて行動してきたのか計り知れない。
「あの…神谷…一つ聞いてもいいか?」
俺はふと思ったことを聞こうと思って神谷に声をかける。
「はい?僕に答えられることなら…」
不思議そうな顔をしながら返事をしてくれる。
俺は神谷を見ながら思う。本当に聞いてもいいのかと…。一瞬の躊躇い。それでも小さく息を吐き
「これは…俺の純粋な疑問だから答えたくなかったら答えなくてもいんだ。それに神谷を問い詰めるつもりでもないから…」
前もって答えたくなかったら答えなくてもいいと宣言をする。そうすることで、神谷には逃げ道が出来るから…
「はい、わかりました。何ですか?」
不思議そうな顔をしながら聞いてくる。
「神谷は本当は…永尾とどうなりたいんだ?お腹の子のことは今は考えなくていいから…純粋にこの先も永尾とどうしたいのかって思って…俺が口出す問題じゃないのは百も承知なんだ…ただ…神谷も永尾も俺にとっては大事な友人だと思ってるから…」
そう、俺にとって他人は興味のない存在。神尾大我がいれば俺には必要ない。そう思う自分は確かにいる。だけど、そう思う自分の中にもちゃんと友人だと思える人物はいる。その中に神谷と永尾がいるのだ。だからこそ、俺は二人にとってちゃんと幸せだと思える関係を選んで欲しいと思った…。
「僕は…本当は…健汰にちゃんと話したいって思ったんです。でも…彼の家のことを考えたら言えなくて…だから…委員長には無理を言いました…勉強もしたい…でも…この子を産みたい…そう思った…でも…」
神谷はそこまで言って黙ってしまった。俺は自然と身体が動き神谷を抱きしめてた。
「大丈夫。神谷なら大丈夫。俺は神谷だったら大丈夫だって思う。じゃなきゃ…あの男が、神尾大我がこんな無茶なことで動かないと思うから…」
俺はそう思った。大我は人を見る目がずば抜けている。周りをよく観察しているからだとは思うけど…。そんな男が神谷の一時の感情のままに動くはずないと思った。俺よりも永尾や神谷のことを知ってる男が何も考えずに動くはずないって思ったんだ。確信はないけど…
「会長って…時々…驚く行動しますよね」
俺の制服を掴みながら神谷が呟く。
「あー、それ大我にも言われる。俺は別にそんなつもりじゃないんだけどな」
神谷を抱きしめたままで答えれば
「そういうところがゆいちゃんのいいところでしょ?」
「だから余計にあいつが化け物扱いされるんだけどな」
後ろからこうちゃんとヒロさん言われた。
「えぇ!こういうのがダメなの?」
俺は驚きながら聞けば
「そうですねぇ、我々の予想してない行動をとる会長を委員長は平然と守ってるし、フォローしてるんで化け物呼ばわりしてます」
神谷がクスリと笑いながら教えてくれる。
「そんなぁ、俺のせいかぁ」
ガックリと肩を落とせば
「でも、それが会長のいいところだし、そんな会長がいるから委員長は化け物じみたことを平然とやってのけてるんですよ。って、これフォローになってない?」
神谷が自分の言葉に疑問を持ちながら言ってくれる。
「俺は神谷は笑ってる方が似合うと思うな。今は色んな事考えなきゃいけないから大変だろうと思うけど、ちゃんと永尾と話し合って、自分の気持ちをぶつけて最後には神谷には笑っててほしい。悪態付きながら永尾をこき使ってる方が神谷らしいもん」
これは俺が本当に思ってること。神谷は笑ってる方が似合ってる。永尾をこき使ってる方が神谷は生き生きしてて見てる方が楽しい。
「あっ…ありがとう会長…そんな風に思ってくれてるなんて思わなかったらちょっとびっくりした」
俺の言葉に本当にびっくりしたんだろうな神谷が驚いてた。
「うん。神谷は永尾をこき使ってる方が生き生きしてて見てる方が楽しんだ。大我は永尾の愚痴を聞かされてうんざりしてるみたいだけど、嫌がってないし…」
うん、実はこれも本当のことだ。永尾の愚痴を聞くのはうんざりしてるけど嫌がってない。嫌がってたら大我の場合は追い返すか締め出すもん。
「なんか二人とも僕と健汰の事をよく見てますね」
神谷が恥ずかしそうに笑う。
「まぁ、役員のことはちゃんと見とかないとさ。俺も生徒会長だし。神谷はさ時々、自分に我慢しちゃうからこういうときぐらい素直になってもいいと思う。って、俺が言えるのはここまで。結局は答えを出すのは神谷自身だから…」
俺から見ても神谷は我慢してるって思うときがあるから、大我はきっとそれをわかってるんだと思うんだ。
だからこそ、一人で考える時間を神谷に与えたんだ。
己と向き合う時間を…。
本当はどうしたいのかを考える時間を…。
永尾とどういう道を歩んでいきたいのかを決める時間を…。
それがたとえ間違った選択だとしても自分と向き合う時間を…。
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