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13話
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「神尾ー!!」
またしてもこの人は扉を壊さん勢いで入ってきて俺に拳をふるう。
「ぐぇっ」
そして俺は毎度のことながら床に沈めた。
「ある意味学習しませんね先輩」
俺は先輩を離して溜め息をつく。
「おう、これは俺なりのお前への挨拶だからな」
着崩れた制服を直しながらあっさりと言う。その言葉にやっぱりかと思った。
「ここじゃあれなんで、隣の部屋に行きますか?」
他の委員たちがいる場所で話すのもなんだろうと思い隣の小部屋に行くかと聞けば
「あぁ」
やっぱりな返事が返ってきた。
「間宮、隣の部屋にいる、何かあれば呼んでくれ。会長が来たらここにいるといってくれればいい」
引き継ぎようの書類といまだに格闘してる間宮に声をかければ
「はい、わかりました」
勢い良く返事が返ってきた。その返事を聞き恭先輩と一緒に小部屋へと入った。
「で、何を聞きに来たんですか?」
部屋に入って何が聞きたいのかを確認すれば
「静から連絡がきた。妊娠のことと、接近禁止のこと」
この場所に、俺に会いに来た目的を口にする。
「そうですか。ちゃんと神谷は連絡したんですね」
俺は神谷には言わなかった。恭先輩への連絡のことは…。だけど、この兄弟は仲がいいのは知ってたので、神谷ならちゃんと連絡するんじゃないかって思ったんだ。
「静の、あいつへの、永尾への気持ちはちゃんと聞いた。本当はどうしたいのかも…」
静かに言葉を発する恭先輩はいつもの先輩ではなく弟を想う兄そのものだった。
「神谷が永尾と一緒にいたいのは俺もわかってます。だけど、今あの二人はお互いにちゃんと考える時間が必要だと思いました。二人は先輩たちみたいに計画的にできた子じゃない。だからこそ神谷は悩んで、苦しんで、先輩ではなく俺に相談してきた」
悩み、苦しみ、家族である恭先輩ではなく俺に相談してきたのは、俺が神谷のことも永尾のこともわかってるから…。だからこそ、俺は神谷から永尾を切り離した。二人が離れてお互いのことを考えられやすくするために…。
俺自身が悪者扱いされようがかまわなかった。二人がちゃんと己自身で最良の答えを出せるなら…。
「神尾には辛い役目を背負わせてすまないと思ってる。静の気持ちを優先するということは神尾自身を追い込むことになるってわかってるんだ」
苦笑を浮かべながら告げる言葉に溜め息が出る。
「辛いとかは思わないですけど…。あいつに悪いことしたなって思います」
俺が自分で選んだ決断だからそれは構わないんだ。ただ…あいつには…聖には申し訳ないと思う。
「そうだな…聖には申し訳ないな。あいつは巻き添えを食った形になるもんな」
ますます苦笑を浮かべる。
「まぁ、そのために強力な助っ人を聖の傍にいてもらってるんですけどね」
俺自身にも苦笑が浮かぶ。寂しがり屋の聖を一人にさせることになる。そうなれば聖の精神が不安定になる。それをわかってるから俺は拓輝と煌太さんに聖のことを頼んである。俺が…聖の傍にいられないから…俺自身が聖の傍にいれば永尾を刺激することになる。そうすればますます生徒会役員たちに被害がいく可能性が高くなるのだ。
だから…聖にはみんなを守るために必要以上の接触はしないと告げ、拓輝と煌太さんの所で過ごすように伝えた。だから、聖とは本当にちゃんとは接触してないのだ。会長と風紀委員長、そしてただのクラスメイトという接触以外には…。
「静が望んでるのは永尾と一緒にいることだって気付いてて、どうして神尾はそれを永尾に言わないんだ?」
そんなことを聞かれ
「いえると思いますか?あのバカに?」
呆れながら言えば
「あー、そうだった。あいつ変なところでバカになるんだった。空気読めなくなるし…。なんかますます面倒かける」
その理由がわかったのか盛大に溜め息をついた。
永尾健汰という男は冷静な時は非常に頭脳明晰な男だが、思考が暴走すればただのバカになる。勝手に暴走して意味わからない男になるのだ。神谷のことで愚痴を言いに来るときが大概そういうときだ。神谷に拒絶されてその理由がわからなくて勝手に変な暴走を始めてただの空気の読めないバカになる。それを呆れながらも俺が神谷からのメールを見せて追い返すのだ。元の永尾健汰に戻すために…。
そう、今回、接近禁止令を出した時点で永尾は変な暴走を始めた。その為、俺は聖との接触を避けて永尾を刺激しないようにしている。
あいつのことだから、俺が聖とイチャついてたらお前たちだけなに考えてんだよ!とか言い出しかねないし、他の役員にも八つ当たりしかねない。それだけある意味、永尾は危険な男なのだ。それだけ神谷静哉に惚れているともいうんだがな…。
恭先輩と話をしてる時にコンコンと躊躇いがちにノックされ
「どうぞ」
返事をすれば聖が顔を出す。
「どうした?何かあったのか?」
ここにいるとは伝えてあったが、何かあったのだろうか?
「話し中にすまない。どうしても委員長に確認してもらいたい書類があって持ってきたんだ」
持ってきた書類を俺に差し出しながら言ってくる。
「今すぐに必要か?」
それを受け取りながら確認すれば
「イヤ、後で持ってきてくれれば大丈夫だ」
すぐじゃなくてもいいと返事をする。
「わかった。後でそっちに持っていく」
俺が返事をすれば
「話の最中にすまなかった」
そう告げて戻っていった。俺は小さく溜め息をついた。
「神尾、顔が怖い顔になってるぞ」
聖とのやり取りを見ていた恭先輩が声をかけてくる。
「先輩、少し待っててくれますか?」
俺の問いに不思議に思いながらも頷いてくれるので、俺は部屋を出てもらった書類を確認して風紀委員長のサインを記入してカバンの中から小瓶を二つ取り出し
「三条、仕事を頼みたい」
自分の席で仕事をしてる三条に声をかければ
「珍しいな。何をだ?」
すぐに俺の傍に来て聞いてくるから
「聖唯斗の保護だ。この書類を生徒会に届けてほしい。その足でこの薬を聖に渡して、そのまま保護して神尾先生の所に運んでほしい」
聖の持ってきた書類と小瓶を差し出しながら告げれば
「その役目が俺でいいのか?」
反対に聞かれた。
「救護班の総統括はお前だからな。信用してる。悪いが、頼む」
その理由を口にすれば
「委員長直々の頼みだ。へまはしない。届けてくる」
そう笑って、すぐに行ってくれた。俺は溜め息をつきもう一度、部屋に戻った。
「もういいのか?」
恭先輩が聞いてくるので
「信頼できる人間に任せたので大丈夫です」
少し痛む左目を押さえながら答えれば
「発情の兆しか?」
そう聞かれて
「えぇ。下手したら30分以内には…。なので保護を頼みました」
あいつの発情の周期を考えながら答えれば
「あの一瞬でわかるなんて相変わらず神尾は聖に関することは化け物だな」
小さく笑われた。
「化け物にならないとあいつを守れないんで…」
溜め息交じりに答えればまた笑われた。
あいつを守るためなら化け物にでもなろう。
俺はあいつをやっと手に入れたんだ。
あいつを失わないために化け物にでもなろう。
この学園のすべてを敵に回そうともあいつを、聖唯斗を守るために…
またしてもこの人は扉を壊さん勢いで入ってきて俺に拳をふるう。
「ぐぇっ」
そして俺は毎度のことながら床に沈めた。
「ある意味学習しませんね先輩」
俺は先輩を離して溜め息をつく。
「おう、これは俺なりのお前への挨拶だからな」
着崩れた制服を直しながらあっさりと言う。その言葉にやっぱりかと思った。
「ここじゃあれなんで、隣の部屋に行きますか?」
他の委員たちがいる場所で話すのもなんだろうと思い隣の小部屋に行くかと聞けば
「あぁ」
やっぱりな返事が返ってきた。
「間宮、隣の部屋にいる、何かあれば呼んでくれ。会長が来たらここにいるといってくれればいい」
引き継ぎようの書類といまだに格闘してる間宮に声をかければ
「はい、わかりました」
勢い良く返事が返ってきた。その返事を聞き恭先輩と一緒に小部屋へと入った。
「で、何を聞きに来たんですか?」
部屋に入って何が聞きたいのかを確認すれば
「静から連絡がきた。妊娠のことと、接近禁止のこと」
この場所に、俺に会いに来た目的を口にする。
「そうですか。ちゃんと神谷は連絡したんですね」
俺は神谷には言わなかった。恭先輩への連絡のことは…。だけど、この兄弟は仲がいいのは知ってたので、神谷ならちゃんと連絡するんじゃないかって思ったんだ。
「静の、あいつへの、永尾への気持ちはちゃんと聞いた。本当はどうしたいのかも…」
静かに言葉を発する恭先輩はいつもの先輩ではなく弟を想う兄そのものだった。
「神谷が永尾と一緒にいたいのは俺もわかってます。だけど、今あの二人はお互いにちゃんと考える時間が必要だと思いました。二人は先輩たちみたいに計画的にできた子じゃない。だからこそ神谷は悩んで、苦しんで、先輩ではなく俺に相談してきた」
悩み、苦しみ、家族である恭先輩ではなく俺に相談してきたのは、俺が神谷のことも永尾のこともわかってるから…。だからこそ、俺は神谷から永尾を切り離した。二人が離れてお互いのことを考えられやすくするために…。
俺自身が悪者扱いされようがかまわなかった。二人がちゃんと己自身で最良の答えを出せるなら…。
「神尾には辛い役目を背負わせてすまないと思ってる。静の気持ちを優先するということは神尾自身を追い込むことになるってわかってるんだ」
苦笑を浮かべながら告げる言葉に溜め息が出る。
「辛いとかは思わないですけど…。あいつに悪いことしたなって思います」
俺が自分で選んだ決断だからそれは構わないんだ。ただ…あいつには…聖には申し訳ないと思う。
「そうだな…聖には申し訳ないな。あいつは巻き添えを食った形になるもんな」
ますます苦笑を浮かべる。
「まぁ、そのために強力な助っ人を聖の傍にいてもらってるんですけどね」
俺自身にも苦笑が浮かぶ。寂しがり屋の聖を一人にさせることになる。そうなれば聖の精神が不安定になる。それをわかってるから俺は拓輝と煌太さんに聖のことを頼んである。俺が…聖の傍にいられないから…俺自身が聖の傍にいれば永尾を刺激することになる。そうすればますます生徒会役員たちに被害がいく可能性が高くなるのだ。
だから…聖にはみんなを守るために必要以上の接触はしないと告げ、拓輝と煌太さんの所で過ごすように伝えた。だから、聖とは本当にちゃんとは接触してないのだ。会長と風紀委員長、そしてただのクラスメイトという接触以外には…。
「静が望んでるのは永尾と一緒にいることだって気付いてて、どうして神尾はそれを永尾に言わないんだ?」
そんなことを聞かれ
「いえると思いますか?あのバカに?」
呆れながら言えば
「あー、そうだった。あいつ変なところでバカになるんだった。空気読めなくなるし…。なんかますます面倒かける」
その理由がわかったのか盛大に溜め息をついた。
永尾健汰という男は冷静な時は非常に頭脳明晰な男だが、思考が暴走すればただのバカになる。勝手に暴走して意味わからない男になるのだ。神谷のことで愚痴を言いに来るときが大概そういうときだ。神谷に拒絶されてその理由がわからなくて勝手に変な暴走を始めてただの空気の読めないバカになる。それを呆れながらも俺が神谷からのメールを見せて追い返すのだ。元の永尾健汰に戻すために…。
そう、今回、接近禁止令を出した時点で永尾は変な暴走を始めた。その為、俺は聖との接触を避けて永尾を刺激しないようにしている。
あいつのことだから、俺が聖とイチャついてたらお前たちだけなに考えてんだよ!とか言い出しかねないし、他の役員にも八つ当たりしかねない。それだけある意味、永尾は危険な男なのだ。それだけ神谷静哉に惚れているともいうんだがな…。
恭先輩と話をしてる時にコンコンと躊躇いがちにノックされ
「どうぞ」
返事をすれば聖が顔を出す。
「どうした?何かあったのか?」
ここにいるとは伝えてあったが、何かあったのだろうか?
「話し中にすまない。どうしても委員長に確認してもらいたい書類があって持ってきたんだ」
持ってきた書類を俺に差し出しながら言ってくる。
「今すぐに必要か?」
それを受け取りながら確認すれば
「イヤ、後で持ってきてくれれば大丈夫だ」
すぐじゃなくてもいいと返事をする。
「わかった。後でそっちに持っていく」
俺が返事をすれば
「話の最中にすまなかった」
そう告げて戻っていった。俺は小さく溜め息をついた。
「神尾、顔が怖い顔になってるぞ」
聖とのやり取りを見ていた恭先輩が声をかけてくる。
「先輩、少し待っててくれますか?」
俺の問いに不思議に思いながらも頷いてくれるので、俺は部屋を出てもらった書類を確認して風紀委員長のサインを記入してカバンの中から小瓶を二つ取り出し
「三条、仕事を頼みたい」
自分の席で仕事をしてる三条に声をかければ
「珍しいな。何をだ?」
すぐに俺の傍に来て聞いてくるから
「聖唯斗の保護だ。この書類を生徒会に届けてほしい。その足でこの薬を聖に渡して、そのまま保護して神尾先生の所に運んでほしい」
聖の持ってきた書類と小瓶を差し出しながら告げれば
「その役目が俺でいいのか?」
反対に聞かれた。
「救護班の総統括はお前だからな。信用してる。悪いが、頼む」
その理由を口にすれば
「委員長直々の頼みだ。へまはしない。届けてくる」
そう笑って、すぐに行ってくれた。俺は溜め息をつきもう一度、部屋に戻った。
「もういいのか?」
恭先輩が聞いてくるので
「信頼できる人間に任せたので大丈夫です」
少し痛む左目を押さえながら答えれば
「発情の兆しか?」
そう聞かれて
「えぇ。下手したら30分以内には…。なので保護を頼みました」
あいつの発情の周期を考えながら答えれば
「あの一瞬でわかるなんて相変わらず神尾は聖に関することは化け物だな」
小さく笑われた。
「化け物にならないとあいつを守れないんで…」
溜め息交じりに答えればまた笑われた。
あいつを守るためなら化け物にでもなろう。
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